Snapdragon 7 Gen 1のAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5の性能が判明

Snapdragon 7 Gen 1のAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5の性能が判明

2022年9月13日
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OPPO Reno8 Proが初搭載したSnapdragon 7 Gen 1のAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5の性能が判明したので、旧世代のSnapdragon 7 Seriesと比較したいと思います。

 

今回の比較の対象は、Snapdragon 780G 5G、Snapdragon 778G 5G、Snapdragon 765G 5G、Snapdragon 750G 5Gの4製品で、この他にSnapdragon 778G+ 5G、Snapdragon 768G 5Gなどがありますが、これらの製品は広く普及していないことを考慮して比較対象に加えていません。

 

Snapdragon 7 Gen 1は「Snapdragon 7」において初めて「Gen 1」が付与された製品で、この製品の後継製品の名称はSnapdragon 7 Gen 2になり、世代の番号が増えていきます。

 

CPUはArmv9に基づいたCortex-A710を4基、Cortex-A510を4基の1+3+4構成で、クロック周波数は2.40GHz、2.36GHz、1.80GHzに設定されています。

 

GPUはAdreno 662を採用し、クロック周波数は540MHzに設定されています。Qualcommの命名規則を鑑みると、Snapdragon 888 5Gが採用したAdreno 660よりも優れていることになりますが、実際のところは不明です。

 

5G通信はSnapdragon X62 5Gを統合し、Sub-6GHz帯とmmWave(ミリ波)に対応しています。また、Wi-Fi 6EとWi-Fi 6、Bluetooth 5.2に対応しており、基本的なところは抑えていると思います。

 

製造プロセスはSamsung 4nm(4LPE)で、Snapdragon 8 Gen 1は5nmに限りなく近いSamsung 4nm(4LPX)で製造されているため、製造にかかわる技術だけ比較するとSnapdragon 7 Gen 1のほうが最先端です。

 

ガバナーはSnapdragon 8 Gen 1と同様に独自のwaltを採用しています。以前の製品が採用していたschedutilとは異なって、Qualcommの独自のものなので発揮したい性能を色濃く表現できます。

 

Snapdragon 7 Gen 1のAnTuTu Benchmark v9の性能は、CPU性能が163,943点、GPU性能が179,235点、MEM性能が107,766点、UX性能が129,840点で、総合性能は580,784点となりました。

 

CPU性能は163,943点で、Snapdragon 780G 5GとSnapdragon 778G 5Gよりやや優れるといった結果になりました。。CPU IPの世代が更新し、クロック周波数がほぼ同じなのに関わらず性能に差がないのは、非常に残念な結果となりました。Cortex-A710を開発したArmは同じ製造プロセスの場合、Cortex-A710はCortex-A78と比較して性能が10%も向上したと発表しているので、このような成長が見られないのはQualcommかSamsungに原因があると考えています。

 

GPU性能は179,235点で、Snapdragon 780G 5Gよりはやや高く、Snapdragon 778G 5Gよりは高い性能を発揮しました。ただ、Snapdragon 765G 5GからSnapdragon 780G 5Gのような劇的な進化はありません。

 

CPU性能とGPU性能を勘案すると、やや抑えめな性能を発揮していると感じます。省電力性に関しては考慮していないので不明ですが、Snapdragon 780G 5GやSnapdragon 778G 5Gよりも優れている場合、このような性能に収まっても不満な点はありません。

 

Snapdragon 7 Gen 1のGeekbench 5の性能は、シングルコア性能が795点、マルチコア性能が2,830点となりました。

 

シングルコア性能は795点で、Snapdragon 780G 5Gが805点、Snapdragon 778G 5Gが800点なので、それよりも低い性能が発揮されました。搭載製品の性能を総合的に計測するAnTuTu BenchmarkでCPU性能にほとんど差が見られない状態で、Geekbench 5の計測結果でも差が見られない状態となりました。「後継製品」と考えると物足りなさを覚えます。

 

マルチコア性能は2,830点で、Snapdragon 780G 5Gが2,821点、Snapdragon 778G 5Gが2,992点なので、Snapdragon 780G 5Gと差がまったくなく、Snapdragon 778G 5Gとは大きな差が発生し劣る結果となりました。

 

Snapdragon 7 Gen 1は2.40GHzのCortex-A710が1基、2.36GHzのCortex-A710が3基、1.80GHzのCortex-A510が4基の1+3+4構成、Snapdragon 778G 5Gは2.40GHzのCortex-A78が4基、1.80GHzのCortex-A55を4基の4+4構成なので順当に考えればSnapdragon 7 Gen 1が優れるはずですが、残念ながらSnapdragon 778G 5Gが優れる結果となりました。

 

Snapdragon 7 Gen 1のCPU性能は、Snapdragon 780G 5Gとほぼ同等、Snapdragon 778G 5Gよりも劣っていることが判明し、この製品の位置づけが非常に不安定だと感じます。製造プロセスはSamsung 4nmで、これらの製品よりも最先端の技術を採用していますが、残念ながらTSMC 6nmで製造されたSnapdragon 778G 5Gが優れており、わざわざSnapdragon 7 Gen 1を搭載した製品を購入する意味がありません。

 

今のところ、2022年5月に発表されたOPPO Reno8 ProのみがSnapdragon 7 Gen 1を搭載しており、日本市場で搭載製品が販売されていないので性能を強く意識する必要はないと思います。ただ、XiaomiのMi 11 Lite 5Gが搭載したSnapdragon 780G 5Gの後継製品のSnapdragon 7 Gen 1は大きな進化が見られてない状況であることは認識していて損はありません。

 

そのため、Snapdragon 7 Gen 1を搭載した製品が日本市場で販売された場合、Snapdragon 780G 5Gを搭載した製品、Snapdragon 778G 5Gを搭載した製品を所有しているのであれば、買い替える必要はまったくありません。