Samsung Foundryが低い歩留まりを考慮して、3nmに基づく3GAPの量産を2023年末から2024年末へ延期したと韓国の情報通が明らかにしました。
Samsungの3nmは業界最大手のTSMCと異なり、FinFET(Fin Field-Effect Transistor)構造ではなくMBCFET(Multi-Bridge Channel FET)と呼称するGAA(Gate-All-Around)構造を採用します。業界初の取り組みで、3nm GAAの初期版の3GAE(3nm Gate-All-Around Early)は2022年末に量産予定、改良版の3GAP(3nm Gate-All-Around Plus)は2023年末に量産を予定し大きな注目を集めていましたが、3GAEの歩留まりが想定よりも低く、2024年末の延期を示唆したようです。
情報通は現在の3GAEの歩留まりは10%程度(1枚のウェハあたり10%程度が規格適合品、90%程度が規格不適合品)と明らかにし、この結果を受けてSamsung Foundryは計画を変更して3GAEの改善を選択したため、結果的に3GAPの量産予定が延期されたようです。
ちなみに、2021年に量産を開始した4nmも歩留まりが低く、例年のGalaxy製品は6割がExynos、4割がSnapdragonを搭載していましたが、Galaxy S22の3製品は約8割(77%)がSnapdragon、約2割(23%)がExynosを搭載しており、例年から大きく逸脱するほど製造能力が低いと露呈しています。
Samsung Foundryは度重なる歩留まりの低さによって大口顧客のQualcommとNVIDIAを失っており、Snapdragon 8 Gen 2はTSMC N4で製造される予定、NVIDIA H100はTSMC N4での製造が明らかになっています。3nm GAAで巻き返しを図る予定でしたが、最先端技術の採用は残念ながら自社の首を絞める結果となりました。