MediaTekの旗艦SoCのDimensity 9000と準旗艦のDimensity 8100、Dimensity 8000を比較

MediaTekの旗艦SoCのDimensity 9000と準旗艦のDimensity 8100、Dimensity 8000を比較

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MediaTekが旗艦SoCとして発表したDimensity 9000と、準旗艦SoCのDimensity 8100、Dimensity 8000をAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5で算出された数値を用いて比較を行います。

 

Dimensity 9000、Dimensity 8100、Dimensity 8000の3製品の主な違いを上の表(画像)にまとめました。

 

CPUはDimensity 9000はArmv9に基づいたCortex-X2とCortex-A710、Cortex-A510を採用し、Dimensity 8100とDimensity 8000は1世代古いCortex-A78とCortex-A55を採用しています。

 

当然、最新のCortex-A710とCortex-A510で構成した方が性能が優れますが、少しだけ専門的な話をするとCortex-A510が64-Bit Onlyなので、主に中国で未だに残る32bit版のアプリを起動・動作させた際にCortex-A510が駆動せずCortex-A710のみが駆動するため、不要な消費電力が発生して省電力性が犠牲になるので、現状はCortex-A78とCortex-A55の組み合わせが最善だと思います。

 

ちなみに、Dimensity 9000は1+3+4構成、Dimensity 8100とDimensity 8000は4+4構成ですが、後者の2製品も1+3+4での動作を確認しているため、高性能な製品は1+3+4が標準化しています。

 

GPUはDimensity 9000はMali-G710を、Dimensity 8100とDimensity 8000はMali-G610を採用しています。名称が異なるので性能差が大きいと考える方が多いと思いますが、実はMali-G710はMP7-MP16の際の名称、Mali-G610はMP1-MP6の際の名称なので、極端な例ですが動作周波数が同じ場合はひとつあたりの性能は同じになります。

 

Governorは「?」表記ですが、私が得ている情報ではsugov_extを採用しています。しかし、Geekbench 5では何故かその表記が表示されないので、現状は「?」が正しいと思っています。ちなみに、競合他社製品のSnapdragon 8 Gen 1はwalt、Exynos 2200はenergy_awareを採用しており、製品の高性能化に合わせて独自のGovernorを採用するようになっています。

 

RAM規格はDimensity 9000はLPDDR5Xを採用していますが、今のところ商用化されていないので、Dimensity 9000を搭載したOPPOやvivo、Xiaomiの製品はLPDDR5 RAMを搭載しています。2022年後半にはDimensity 9000+LPDDR5Xを搭載した製品が発表される可能性があり、その時に真価を発揮するでしょう。

 

通信は共通してMediaTek M80を統合していますが、Dimensity 9000は4CC CA、Dimensity 8100とDimensity 8000は2CC CAなので理論上の最大通信速度に差があり、通信でも旗艦と準旗艦で差別化を図っています。

 

AnTuTu Benchmark v9の総合性能は、Dimensity 9000が1,025,654点、Dimensity 8100が852,150点、Dimensity 8000が774,133点で、Dimensity 9000は大台の100万点を超えました。

 

Dimensity 8100とDimensity 8000の性能差は78,017点で、前者はSnapdragon 888 5Gと同水準、後者はSnapdragon 870 5Gよりも高い性能を有しています。2022年の旗艦製品が2021年の旗艦製品と同水準のため、技術革新の素晴らしさを感じます。

 

CPU性能は、Dimensity 9000が258,427点、Dimensity 8100が203,616点、Dimensity 8000が191,686点で、Dimensity 8100とDimensity 8000はCortex-A78の動作周波数が2.85GHzと2.75GHzで異なるので11,930点の性能差が発生しました。

 

GPU性能は、Dimensity 9000が394,939点、Dimensity 8100が316,995点、Dimensity 8000が277,620点で、Dimensity 8100とDimensity 8000は動作周波数が852MHzと700MHzで異なるので39,375点の性能差が発生しました。

 

CPU性能を専門的に計測するGeekbench 5では、AnTuTu Benchmark v9と異なってiPhone 13の4製品が搭載しているApple A15 Bionicとの比較が出来ます。

 

それを踏まえてDimensity 9000とA15 Bionicを比較すると、前者は1,303点と4,321点、後者は1,733点と4,689点なので、まだまだ大きな差があります。ただ、1世代古いA14 Bionicは1,585点と4,115点なので、Dimensity 9000は優れた性能を発揮していると理解できます。

 

Dimensity 8100とDimensity 8000の違いはCortex-A78の動作周波数なので、シングルコア性能とマルチコア性能の差がしっかりと発生し、名称による差がわかりやすくなっています。

 

ちなみに、AnTuTu Benchmark v9では似た性能を発揮したSnapdragon 888 5Gは1,109点と3,459点、Dimensity 8000を下回ったSnapdragon 870 5Gは1,007点と3,089点なので、瞬間的な操作に関しては比較対象に分がありますが、継続的な使用は優位点があるため、省電力性能を特に求められる準旗艦製品として確固たる地位を確立したと感じます。