ROG Phone 6D系列の「特別な」Dimensity 9000+と、通常版のDimensity 9000+、Dimensity 9000の性能を比較

ROG Phone 6D系列の「特別な」Dimensity 9000+と、通常版のDimensity 9000+、Dimensity 9000の性能を比較

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ROG Phone 6DとROG Phone 6D Ultimateが搭載したDimensity 9000+が通常のDimensity 9000+と異なった仕様を採用しているため、通常のDimensity 9000+と、標準版のDimensity 9000と比較します。

 

今回の比較はAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5で算出された点数を用いて行うので、1Wあたりの性能や、数回計測した後のいくつか落ちた性能は考慮していません。

 

ROG Phone 6D系列が搭載した特別なDimensity 9000+に触れる前にDimensity 9000の仕様をまとめると、製造プロセスはTSMC 4nmに基づくN4、CPUは3.05GHzのCortex-X2を1基、2.85GHzのCortex-A710を3基、1.80GHzのCortex-A510を4基の1+3+4構成、GPUはMali-G710 MC10で動作周波数は848MHzに設定されています。

 

性能向上版のDimensity 9000+は基本的な構成は同じですが、CPUはCortex-X2の動作周波数が3.20GHzへ上昇し、GPUもMali-G710 MC10で共通ですが955MHzへ上昇しました。これらの変更によってMediaTekはCPU性能は5%、GPU性能は10%も向上したと案内しています。

 

更に、ROG Phone 6D系列が搭載した特別な仕様に仕上がったDimensity 9000+は、CPUの動作周波数が上昇し、Cortex-X2は3.35GHzへ、Cortex-A710は3.20GHzへ上昇しました。GPUに関しては955MHzで同じなので、変更点はCPUの動作周波数のみです。

 

ROG Phone 6D系列が搭載した特別なDimensity 9000+のAnTuTu Benchmark v9における性能は、CPU性能は284,662点、GPU性能は429,065点、MEM性能は210,903点、UX性能は203,648点で、総合性能は1,128,278点となりました。

 

CPU性能はDimensity 9000と比較して約10.4%の性能向上、通常のDimensity 9000+と比較して約5.3%の性能向上に成功しました。主な要因はCortex-X2とCortex-A710の動作周波数が向上したためで、特にCortex-A710が3.20GHzへ上昇したことで性能向上に成功しました。

 

GPU性能はDimensity 9000と比較して約9.3%、通常のDimensity 9000+と比較して約4.3%の性能向上に成功しました。性能の向上幅が小さいように感じられますが、Dimensity 9000+は通常のDimensity 9000から約4.8%の成長なので、動作周波数が同じなのに同等の成長ができているのは、優れた散熱機構とLPDDR5X RAMの搭載が関係しているでしょう。

 

ROG Phone 6D系列が搭載した特別なDimensity 9000+のGeekbench 5における性能は、シングルコア性能は1,401点、マルチコア性能は4,711点となりました。

 

シングルコア性能はCortex-X2を比較しており、順当に動作周波数が高いROG Phone 6D系列のDimensity 9000+が優れた性能を発揮しました。Android陣営で1,400点を超えた事例はありません。

 

マルチコア性能はCPUを構成するCortex-X2、Cortex-A710、Cortex-A510のすべてを比較しており、こちらも動作周波数が高い特別なDimensity 9000+が優位に立ちました。

 

通常のDimensity 9000+が4,345点、特別なDimensity 9000+が4,711点で、大きな差がついた理由はCortex-X2だけでなく、3基も搭載したCortex-A710の動作周波数の上昇が関係しているでしょう。

 

ROG Phone 6D系列は特別なDimensity 9000+を搭載していますが、残念ながらそれを消費者に知らせることなく「Dimensity 9000+」と記載されているだけなので、同じ性能と勘違いする人が出てくるかもしれません。

 

そのため、この製品を欲しいと思った方が性能を気にして検索してくれることを望んで、今回の記事を作成しました。そして、この記事を見て更に動作周波数が向上したものであると認識して、購入を考えてもらいたいと思っています。

 

「動作周波数の上昇」にまつわる問題として過度な発熱の発生がありますが、今のところそういった報告はないので、ROG Phone 6DとROG Phone 6D Ultimateの優れた散熱機構によって発熱が抑えられていると考えています。

 

この特別なDimensity 9000+は、2018年に発表された初代ROG PhoneのSnapdragon 845と同じく、競合他社が搭載する可能性は低いので、ROG Phone 6D系列は少し変な表現をすると歴史に残る製品となるでしょう。