QualcommがSnapdragon 8 Gen 3を発表、CPU性能は30%、GPU性能は25%向上

QualcommがSnapdragon 8 Gen 3を発表、CPU性能は30%、GPU性能は25%向上

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Qualcommは日本時間2023年10月25日にSnapdragon Summit 2023を開催し、モバイルデバイス向けに新製品としてSnapdragon 8 Gen 3を発表しました。同製品はOryon (オライオン) CPUではなくKryo (クライオ) CPUを搭載しています。

 

Snapdragon 8 Gen 3はXiaomi 13シリーズやMeizu 20シリーズが搭載したSnapdragon 8 Gen 2の後継製品です。「Gen 3」は新しい命名規則になってから3世代目の製品であることを意味しています。

 

名称 Snapdragon 8 Gen 3 Snapdragon 8 Gen 2 Snapdragon 8 Gen 1
CPU Kryo

1x Cortex-X4

3x Cortex-A720

2x Cortex-A720

2x Cortex-A520

(12MB sL3 Cache)

Kryo

1x Cortex-X3

2x Cortex-A715

2x Cortex-A710

3x Cortex-A510 Refreshed

(8MB sL3 Cache)

Kryo

1x Cortex-X2

3x Cortex-A710

4x Cortex-A510

(6MB sL3 Cache)

動作周波数 3.30GHz + 3.15GHz + 2.96GHz + 2.27GHz 3.19GHz + 2.80GHz + 2.80GHz + 2.02GHz 3.00GHz + 2.50GHz + 1.79GHz
GPU Adreno 750

(Snapdragon Elite Gaming)

Adreno 740

(Snapdragon Elite Gaming)

Adreno 730

(Snapdragon Elite Gaming)

動作周波数 903MHz 680MHz 818MHz
NPU/DSP Hexagon Hexagon 7th Gen Hexagon
カメラ Triple 18-bit Spectra Cognitive ISP

2億画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3600万画素(ZSL) or 3x3600万画素(ZSL)

Triple 18-bit Spectra Cognitive ISP

2億画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3600万画素(ZSL) or 3x3600万画素(ZSL)

Triple 18-bit Spectra ISP

2億画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3600万画素(ZSL) or 3x3600万画素(ZSL)

3.2 Gigapixels per Second

リフレッシュレート 60Hz (4K)

144Hz (QHD+)

60Hz (4K)

144Hz (QHD+)

60Hz (4K)

144Hz (QHD+)

エンコード/デコード Encode: 8K@30fps/4K@120fps H.265, VP9

Decode: 8K@60fps/4K@120fps H.265, VP9, AV1

Google Ultra HDR: Encode Only

HDR10+, HDR10, HLG, Dolby Vision

Slow-mo: 720p@960fps

Encode: 8K@30fps/4K@120fps H.265, VP9

Decode: 8K@60fps/4K@120fps H.265, VP9, AV1

HDR10+, HDR10, HLG, Dolby Vision

Slow-mo: 720p@960fps

Encode: 8K@30fps/4K@120fps H.265, VP9

Decode: 8K@30fps/4K@120fps H.265, VP9

HDR10+, HDR10, HLG, Dolby Vision

Slow-mo: 720p@960fps

RAM LPDDR5X (4800MHz) LPDDR5X (4200MHz)

6MB System Level Cache

LPDDR5 (3200MHz)]

4MB System Level Cache

ストレージ UFS 4.0 UFS 4.0 UFS 3.1
Wi-Fi Wi-Fi 7 (11be)

Peak Speed: 5.8Gbps

Wi-Fi 7 (11be)

Peak Speed: 5.8Gbps

Wi-Fi 6E (11a)

Peak Speed: 3.6Gbps

Bluetooth Bluetooth 5.4

LE Audio

Bluetooth 5.3

LE Audio

Bluetooth 5.3

LE Audio

位置情報 GPS, GLONASS, BeiDou (北斗), Galileo, QZSS, NavIC GPS, GLONASS, BeiDou (北斗), Galileo, QZSS, NavIC GPS, GLONASS, BeiDou (北斗), Galileo, QZSS, NavIC
通信 統合: Snapdragon X75 5G Modem

Sub-6GHz/mmWave

(DL: 10Gbps/UL: 3.5Gbps)

統合: Snapdragon X70 5G Modem

Sub-6GHz/mmWave

(DL: 10Gbps/UL: 3.5Gbps)

統合: Snapdragon X65 5G Modem

Sub-6GHz/mmWave

(DL: 10Gbps/UL: 3.5Gbps)

充電規格 Quick Charge 5 Quick Charge 5 Quick Charge 5
製造プロセス TSMC 4nm N4P TSMC 4nm N4 Samsung 4nm 4LPX
型番 SM8650-AB SM8550-AB SM8450

今回発表されたSnapdragon 8 Gen 3の主な仕様は、製造プロセスはTSMC 4nm N4P、CPUはKryoで詳細には最大3.30GHzで動作するCortex-X4を1基、最大3.15GHzのCortex-A720を3基、最大2.96GHzのCortex-A720を2基、最大2.27GHzのCortex-A520を2基の1+3+2+2構成、GPUは最大903MHzのAdreno 750、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.0、モバイルデータ通信は5Gに対応しSub-6GHz帯とmmWave (ミリ波)をサポート、この他の通信としてWi-Fi 7やBluetooth 5.4をサポートします。

 

今回、Snapdragon 8 Gen 2と比較して大きく進化したのはCPUとGPU、NPUの性能で、それぞれ30%、25%、98%の性能向上に成功しています。特にNPU性能は2倍近い性能向上に成功しており、AI時代の幕開けを強く意識しているように見受けられます。

 

CPUはプライムコアを1基、高性能コアを5基、高効率コアを2基のユニークな1+5+2構成を採用しています。ただ、高性能コアは3基が最大3.15GHzで動作、2基が最大2.96GHzで動作するため、実際にはもっとユニークな1+3+2+2構成を採用しています。

 

この構成によって30%の性能向上に成功し、電力効率は25%も改善したとしています。従来品のSnapdragon 8 Gen 2ですでに普通の人にとってオーバーな性能を有していますが、8シリーズの製品は常に最新かつ最高の性能を追求する必要があります。

 

GPUは最大903MHzで動作するAdreno 750を採用し、Snapdragon 8 Gen 2が採用したAdreno 740と比較して25%の性能向上、同じく25%の電力効率の改善に成功しました。

 

また、可変リフレッシュレートをサポートし、最小1Hzから最大240Hzまでスムーズに動作することでデバイスの電力消費を最小限にできます。しかし、最大240HzはFHD+環境時に利用できるため、解像度が上がると最小1Hzから最大144Hzや最大60Hzまで制限されます。

 

NPUは新しいHexagonを搭載し、Snapdragon 8 Gen 2が搭載したHexagonと比較して性能は98%も向上、電力効率は40%も改善することに成功しました。

 

ISPは引き続きCognitive ISPを採用し、最大12レイヤーでリアルタイムのセマンティックセグメンテーションに対応します。これにより、より優れた写真を撮影することができます。

 

写真撮影においては、撮影した写真を拡張できる「Photo Expansion」が利用できる他、動画撮影ではArcsoftによる不要な人物やオブジェクトを削除する「Video Object Eraser」が利用できます。

 

モデムはSnapdragon X75 5G Modemを統合し、ダウンリンクは最大10Gbps、アップリンクは最大3.5Gbpsの速度を実現します (いずれも理論値)。

 

また、この製品は大きな特徴として5G Advanced-readyとなっており、より高速な通信に対応する準備が整いつつあります。5G Advancedは5.5Gとも呼称される通信規格で、2024年にも商用化されるとの見通しがあります。

 

Snapdragon 8 Gen 3はXiaomiが世界で初めて採用し、Xiaomi 14シリーズでの採用を発表会で明らかにしました。Xiaomi 13シリーズではSnapdragon 8 Gen 2の初搭載を中国国内の不幸によって他の企業の奪われてしまいましたが、再びXiaomiが世界初の偉業を達成します。

 

初搭載製品のXiaomi 14シリーズは、Snapdragon 8 Gen 3が発表された日の翌日となる中国時間2023年10月26日19:00に発表会が開催されます。驚異的な速度での発表会開催となり、初搭載することに並々ならぬ本気度が伺えます。

 

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