Helio G37とHelio G35、Helio G25、Snapdragon 662を比較

Helio G37とHelio G35、Helio G25、Snapdragon 662を比較

2022年3月3日

Helio G37を搭載したInfinix Hot 11のAnTuTu Benchmark v8とGeekbench 5の性能が明らかになったので、Helio G35、Helio G25、Snapdragon 662と比較します。

 

実はInfinix Hot 11は2種類あり、型番で記すとX662はHelio G70を、X689FはHelio G37を搭載しています。“劣った”Infinix Hot 11はウガンダやナイジェリア市場の他に、さまざまな問題に揺れるロシア市場で販売されています。

 

今回の比較はAnTuTu v9ではなく前の世代のAnTuTu v8で行っているため、自身の端末で算出された性能と比較する際は注意してください。また、iOS製品との比較はAnTuTuは不適当と声明を発表しています。

 

Helio G37の主な仕様は、プロセス技術はTSMC 12nm FinFET、CPUは4xCortex-A53 2.3GHz+4xCortex-A53 1.8GHzのオクタコア構成、GPUはIMG PowerVR GE8320 @680MHz、RAM規格はLPDDR4X、ストレージ規格はeMMC 5.1、5G通信に非対応で、4G通信に対応しています。

 

Helio G37はMediaTekが仕様を公開していない製品ですが、TCLがMWC 2022の直前に発表したTCL 30とTCL 30+の仕様を見ると、Helio G35とHelio G37は基本的な仕様が同じと判明しました。

 

Helio G37のAnTuTu Benchmark v8の性能は、CPU性能が44,564点、GPU性能は14,990点、MEM性能は31,973点、UX性能は27,632点で総合性能は119,159点となりました。

 

CPU性能はHelio G35と共通した構成を採用しているので44,564点と44,533点で差は発生しませんでした。両製品はA53で構成されているので瞬間的な性能は低いですが、継続的な性能においては優位点を発揮し省電力性が優れるため、大容量バッテリーを搭載したエントリー製品との相性は完璧です。

 

GPU性能はCPU性能と同様に共通した構成を採用しているため、14,990点と15,164点で差はありません。名称が変わると性能が変化すると認識している人が多いので、難儀な製品が誕生したと感じます。

 

Geekbench 5での性能は、シングルコア性能が181点、マルチコア性能が1,012点で、同じ構成を採用しているHelio G35と変わらない性能を発揮しました。差はまったくありません。

 

比較対象として競合他社のSnapdragon 662を選択しましたが、これはHelio G37を初搭載したのがmoto g power(2022)で、従来製品のmoto g power(2021)がSnapdragon 662を搭載しているためです。

 

それを踏まえてSnapdragon 662の性能を見ると、シングルコア性能が312点でマルチコア性能が1,289点のため、後継製品なのに性能が劣っている現象が発生しています。ただ、Helio G37はSnapdragon 662と異なってCortex-A73を採用していないので“moto g power”が追求する長時間の利用が可能になるため、性能は確かに落ちましたが、優位性はあると思います。

 

Helio G35とHelio G37は基本的な仕様が同じなので性能に差はありません。そのため、安易に「Helio G37はHelio G35より優れている」と記載するのはMediaTekによる公式の発表がない現在では厳しいと思います。

 

ただ、名称が異なるのは何か意味があると思うので推測すると、ゲーム体験の向上を図るHyperEngineの更新が考えられます。この機能が更新されてもCPUとGPUの性能は向上しないので、AnTuTu BenchmarkとGeekbenchの性能がHelio G35と変わらないのは納得ができます。