MediaTekは2023年2月16日に新製品としてDimensity 7200を発表しました。また、同時にDimensity 7000シリーズを新設したとも発表しました。
MediaTek Dimensity 7000シリーズは、性能を犠牲にすることなく、携帯電話のバッテリー寿命を最大限に延ばす手頃な方法を探しているモバイルゲーマーや写真愛好家にとって不可欠な存在となるでしょう。
新シリーズの設立についてMediaTekのワイヤレス通信ビジネスユニットの副ゼネラルマネージャーのCH Chen氏は以上のように述べ、すべての性能を高品質に提供するシリーズになると明らかにしました。
今回発表された新シリーズの上にはDimensity 8000シリーズ、Dimensity 9000シリーズが控えており、消費者の選択肢が増えました。
名称 | Dimensity 9200 | Dimensity 8200 | Dimensity 7200 |
CPU | 1x Cortex-X3
3x Cortex-A715 4x Cortex-A510 Refreshed (8MB sL3 Cache) |
1x Cortex-A78
3x Cortex-A78 4x Cortex-A55 (4MB sL3 Cache) |
2x Cortex-A715
6x Cortex-A510 Refreshed (2MB sL3 Cache) |
動作周波数 | 3.05GHz+2.85GHz+1.80GHz | 3.10GHz+3.00GHz+2.00GHz | 2.80GHz+2.00GHz |
GPU | Immortalis-G715 MC11
HyperEngine 6.0 |
Mali-G610 MC6
HyperEngine 6.0 |
Mali-G610 MC4
HyperEngine 5.0 |
動作周波数 | 981MHz | 950MHz | |
NPU/DSP | 6th Gen APU 690
(30 TOPS) |
5th Gen APU 580
(2x Performace + 1x Flexble) |
6th Gen APU 650 |
カメラ | Triple 18-bit Imagiq 890 ISP
3億2000万画素 or 1億800万画素(ZSL) |
Triple 14-bit Imagiq 785 HDR-ISP
3億2000万画素 or 3x3200万画素 |
Dual 14-bit Imagiq 765 HDR-ISP
2億画素 |
リフレッシュレート | MiraVision 890
60Hz(2x2.5K) 144Hz(WQHD+) 240Hz(FHD+) |
MiraVision 785
120Hz(WQHD+) 180Hz(FHD+) |
MiraVision 765
144Hz(FHD+) |
エンコード/デコード | Encode: 8K@24fps HEVC, H.264
Decode: 8K@30fps HEVC, H.264, VP-9, AV1 |
Encode: 4K@60fps HEVC, H.264
Decode: 4K@60fps HEVC, H.264, VP-9, AV1 |
Encode: 4K@30fps HEVC, H.264
Decode: 4K@30fps HEVC, H.264, VP-9 |
RAM | LPDDR5X(4266.5MHz)
6MB System Level Cache |
LPDDR5(3200MHz)
LPDDR4X(2133MHz) |
LPDDR5(3200MHz)
LPDDR4X(2133MHz) |
ストレージ | UFS 4.0 + MCQ | UFS 3.1 | UFS 3.1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 7 ready(11be) | Wi-Fi 6E(11ax) | Wi-Fi 6E(11ax) |
Bluetooth | Bluetooth 5.3
LE Audio |
Bluetooth 5.3
LE Audio |
Bluetooth 5.3
LE Audio |
位置情報 | GPS, BeiDou, Glonass, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, BeiDou, Glonass, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, BeiDou, Glonass, Galileo, QZSS, NavIC |
通信 | 統合: M80
Sub-6GHz/mmWave (7.91Gbps/3.76Gbps) |
統合: M80
Sub-6GHz (4.7Gbps/2.5Gbps) |
統合: M80
Sub-6GHz (4.7Gbps/2.5Gbps) |
充電規格 | - | - | - |
製造プロセス | TSMC 4nm N4P | TSCM 4nm N4 | TSMC 4nm N4P |
型番 | MT6985 | MT6896 | MT6886 |
Dimensity 7200の主なスペックは、製造プロセスがTSMC 4nm N4P、CPUは2.80GHzで動作するCortex-A715を2基、2.00GHzで動作するCortex-A510 Refreshedを6基の2+6構成、GPUはMali-G610 MC4、RAM規格はLPDDR5に対応、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1に対応、通信は5GはSub-6GHzに対応、Wi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.3対応となっています。
Dimensity 7000シリーズはDimensity 7200の登場をもって新設されたものなので、現時点ではDimensity 7000とDimensity 7100は存在していません。ただ、Dimensity 700シリーズではDimensity 720が発表された後にDimensity 700が登場したこともあるので、7000と7100は欠番で確定ではなく、今後発表される可能性があります。
CPUはCortex-A715とCortex-A510 Refreshedを組み合わせており、Cortex-A715は最大2.80GHzで動作します。Dimensity 8200の3.10GHzで動作するCortex-A78とどちらが優れるのか気になると思いますが、現時点で流れている情報をまとめるとDimensity 8200の方が優れています。最新であることは素晴らしいですが、最新であることは優れているとは限りません。
そして、Cortex-A715はAArch64をサポートしていませんが、設計を見直したCortex-A510 RefreshedはAArch64をサポートしているので、中国やロシアなどで残っている古いアプリを動作する際は、Cortex-A715ではなくCortex-A510 Refreshedが率先して動作するため、期待する動作が得られない可能性があります。Armは64-Bit Onlyを目指していますが、Cortex-A510 Refreshedが存在する限りは、完全に達成されるのは時間が掛かるでしょう。
GPUはMali-G610 MC4を採用しており、Dimensity 8200のMali-G610 MC6よりも積載数が減っています。クロック数に関しては現時点では不明ですが、Mali GPUは積載数が正義なところがあるので、こちらはDimensity 7200の方が劣った性能を発揮すると思います。そのため、CPUとGPUの性能でDimensity 7200が下回っていますので、名前を見るだけでどちらが優れているのかわかりやすく、非常にありがたい製品が誕生したと思います。
通信は5Gに対応しており、その中でも利用者が多いSub-6GHz帯のみに対応しております。限られたエリアで高速な通信が可能なmmWaveは限られた国と地域でしか対応していないので、非対応であることは残念ですが非対応であることの欠点はそれほどないでしょう。非対応が原因で購入を見送る、という人は限定的だと思います。
エンコードやデコードに関しては、大きな特徴としてデコードでAV1をサポートしていない点が挙げられます。現時点ではAV1のサポートの有無で旗艦なのか準旗艦なのかを判別できるようになっているため、Dimensity 7200は準旗艦と呼ぶには少し難しい状態です。
製造プロセスはTSMC 4nm N4Pを採用しており、これは現時点で最新の旗艦製品向けSoCのDimensity 9200と同じものです。N4PはN4の改良型で、TSMCは6%も性能が向上すると謳っていますので、やや廉価なミドルハイの製品に搭載するSoCとしては素晴らしすぎる製造プロセスを採用していることがわかります。
MediaTekによると、Dimensity 7200を初搭載した製品は2023年Q1(1月-3月)に国際市場で販売される予定としています。現時点ではvivoが搭載機を開発しているとの情報がありますが、初搭載機を発表するかどうかは不明です。