HiSilicon製の新SoC「Kirin 960」をKirin 950、Snapdragon821、Exynos 8890と比較。CPU性能はSnapdragonに匹敵

HiSilicon製の新SoC「Kirin 960」をKirin 950、Snapdragon821、Exynos 8890と比較。CPU性能はSnapdragonに匹敵

2016年11月19日
注:当サイトは広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

Huawei Mate 9に搭載されているHiSilicon製の新SoC「Kirin 960」がどれほど素晴らしいのかをAnTuTuベンチマークを提供しているAnTuTu社がデータをまとめました。

比較するSoCは従来機となるKirin 950、Qualcomm製Snapdragon 821、SAMSUNG製Exynos 8 Octa(8890)で、それぞれ搭載機はHuawei Mate 9、Huawei Mate 8、LeEco Le Pro 3、SANSUNG Galaxy S7(韓国版)です。

 

基本性能

18091422-content

プロセスは16nm、16nm、14nm、14nmで基本的に低い方が高性能化や省電力性に期待ができますので、今回のスペック表はSnapdrago 821とExynos 8890の方がKirin 960よりも様々なことに期待ができます。コア数はSnapdragon 821のみクアッドコア、その他はオクタコア構成となっています。

CPUは4xA72 + 4xA53から4xA73 + 4xA53にスペックアップし、クロック数は2.52GHz+1.81GHzから2.36GHz+1.84GHzとなっているのでbigコアはクロック数が下がっています。GPUは新GPUとなるMali-G71を採用し、8コアも搭載することで大幅に3D処理能力が上がりました。

RAM規格は全てLPDDR4を採用していますのでKiri 960は載せるのであればRAM 6GBのスマートフォンを開発することが出来ます。LTEカテゴリはKirin 950がCat.6でしたが最新のKirin 960によってCat.12/13にまでスペックアップし、フラッグシップ向けSoCと名乗ってもいいスペックになっています。

 

総合性能

18091436-content

Kirin 960は10万点の大台に乗せて132,289天となり、Kirin 950が約93,000点なのでKirin 860は4万点近く数値を伸ばすことに成功しました。製造プロセスの微細化、CPUの高性能化、GPUの高性能化とコア数の増加が大きく数値を伸ばした要因となっているでしょう。

しかし大きく数値を伸ばしましたが、Snapdragon 821とは3万点近くの差が生まれておりますので頂点に立つことは出来ませんでした。Snapdragon 821よりも後期に開発発表されたSoCなのに数値がSnapdragon 821の方が高いというのは、Qualcommの開発能力の高さが伺えます。

 

シングルコア性能

18091449-content

A72の後継機となるA73を採用していますがクロック数が0.16Ghzも下がっているので高性能なマイクロプロセッサを採用していても高パフォーマンスを発揮できないということになります。AnTuTuによりますとGPUにMali-G71を採用したことでGPUの消費電力が増え、CPUのクロック数を下げざるを得なかったのだろうと予想されています。

 

マルチコア性能

18091502-content

マルチコア性能ではKirin 960がKirin 950に1,000点上回り、更にはSnapdragon 821を微差ですが上回ることに成功しました。シングルコア性能ではA73(2.36GHz)のひとつのみをベンチマークしますが、マルチコア性能では全てのコアを検査するので高性能なA73の本領発揮となり、Kirin 950とは大きな差が生まれました。

Snapdragon 821を上回ることに成功しましたがExynos 8890が13,745点で一歩及ばず。

 

18091519-content

GPU性能に問題のあったHiSilicon KirinですがMali-G71 MP8を搭載することによってGPUの性能不足を解消することに成功しました。数値で見ると18.082点から46,167点で約155%の成長となっています。しかし、Snapdragon 821が60,277点でKirin 960から24,000点の差がありますのでゲームをするならSnapdragon搭載機の定説は崩れることはありませんでした。

とは言えHUAWEIとHonorスマートフォンでもそれなりに満足のいくゲームプレイが出来るでしょう。これは確実に大きな成長をしています。

 

総括

Kirin 950からKirin 960への成長は目覚しく、HiSiliconの開発環境が優れていることが判明しました。細かい数値で見ていくとCPU性能はSnapdragon 821以上、GPU性能はExynos 8890以上ということで、今までのKirinプロセッサーとは違ったものになっています。

しかし、Snapdragon 821という高い壁を超えることは出来ず、マルチコア性能を除き全ての性能で負けている現状なのでHUAWEIとHonorスマートフォンの筐体デザインやEMUIに惹かれなければSnapdragon 821搭載機を買ったほうが実使用感としては確実に満足できると考えています。

 

そろそろ頭打ちになるだろうと思われていたSoCの性能ですがCPU性能、GPU性能ともにまだまだ成長するようです。AnTuTuベンチマークで20万点を超えるのはどこのSoCになるでしょうか。

 

 

Source