PC向けにCPUやGPUを開発・提供しているIntel (インテル)が2023年6月21日、投資家とアナリスト向けにウェビナーを開催し、新たな戦略として「内部ファウンドリ」戦略を行うことを明らかにしたと韓国メディアのThe Elecが伝えました。
「内部ファウンドリ」戦略は、現在はひとつに統合されている製品グループ (ファブレス)と製造グループ (ファウンドリ)を分離して、製造グループの独立性を強化する事業構造の再編を意味します。
これはサムスン電子がすでに行っている戦略で、同社は半導体を設計するシステムLSI事業部と半導体を製造するファウンドリ事業部が独立して運営されており、Intelはそれに追随する形で事業構造の再編をします。
この「内部ファウンドリ」戦略が行われると、製品グループと製造グループがそれぞれ独立した事業となるため、Intelが開発するコンシューマ向けCPUブランドの「Core」を製造グループが製造を行うと、ファウンドリ事業部の売上として独自に計上されるようになります。これに関しては従来と別段の差はありませんが、会計上ではコスト削減や売上の拡大などの財務構造が明確になる利点があるとIntelは説明しました。
Intelは、このために設計を担当する製品グループ (クライアントコンピューティングとデータセンター、AI、ネットワーク、エッジ)と生産を担当する製造グループ (製造、技術開発、IFS)を会計上に分離する計画です。事業構造の改変は2024年Q1 (1月-3月)に行われると説明しました。
そして、Intel CFO (最高財務責任者)のデイビッド・ジンスナー (David Zinsner)氏は「2024年には内部物量基準で200億ドル (約2兆9000億円)以上の製造売上を達成し、世界で2位のファウンドリ事業者になると予想する」と説明しました。この発言に続いて同氏は「Intelは2030年までに外部物量基準で世界で2位のファウンドリ事業者になる目標も推進するだろう」と付け加えました。
Intelの「内部ファウンドリ」戦略によって、世界中のファウンドリシェアが大きく変化すると考えられています。2023年5月に市場調査会社Omdiaが発表した情報によると、2022年のサムスン電子のファウンドリ事業部の売上が208億ドル (約3兆円)で2位なので、Intelの内部物量基準だけで200億ドル以上の売上が達成するのであれば、2023年にはサムスン電子のファウンドリ事業部の売上は3位に下落する可能性もあります。