HiSilicon Kirin 960sを様々なSoCと比較

先日日本市場向けに発表されたHUAWEI MediaPad M5 10.8に搭載されているプロセッサーはHiSilicon Kirin 960sというものです。これはHUAWEI P10/P10 ProやHUAWEI Mate 9/Mate 9 Proに搭載されているKirin 960とは異なったものになっています。なのでKirin 960のスコアでHUAWEI MediaPad M5 10.8の購入を検討するのは間違いになるので、正確に検討できるようにKirin 960sと様々なSoCを比較します。

今回の比較はAnTuTu Benchmark 7とGeekbench 4を使用しており、実使用感やバッテリーの消費など生活に関わる部分を考慮していないことをご了承ください。比較対象のSoCはベースモデルのKirin 960、後継機のKirin 970、Xiaomiによってタブレット端末に採用されているQualcomm Snapdragon 660の3種類です。

 

HiSilicon Kirin 960sはKirin 960をベースとしてクロックダウンが図られた製品で、最大クロック数が2.4GHzから2.1GHzに下がっています。この他のスペックに変更点はなく、今の所タブレットにしか搭載されておらず、省電力性を高めるためにクロックダウンが行われたと解釈するのが妥当でしょう。Appleのマーケティングとは逆で、Appleはタブレット向けに大幅にスペックアップしたプロセッサーを製造していますが、HUAWEIはスマートフォン向けを流用したりKirin 960sの様なスペックダウンしたものを採用しています。

 

AnTuTuベンチマークスコアは173,496点でわずかにKirin 960を下回る結果に。スペック表の通りクロックダウンが行われたCPUは差が現れています。一方でGPU性能がKirin 960を上回っており、今回Kirin 960搭載機として使用したのはHUAWEI nova 2sですが、他のKirin 960搭載機(HUAWEI Mate 9 ProやHUAWEI P10 Plus)も66,000点を超えることはなく、クロック数は微量ながら上がっている可能性があります。ただ、タブレットということで通気性が良くなってハイパフォーマンスの状態で測定できるので、スコアが上がってるという可能性も否定できません。

 

Kirin 960とKirin 970のCPUにはクロック数や構成ともに変更はありませんのでほぼ同じスコアとなっています。Kirin 960sは2.1GHz+1.8GHzということでシングルコア性能とマルチコア性能ともに13%の性能ダウンとなっています。Kirin 960と同じ操作をした時に違和感を覚える可能性はあります。

 

2.4GHz+1.8GHzから2.1GHz+1.8GHzへクロックダウンし、その性能がAnTuTuベンチマークとGeekbench双方でスコアとして表れているので正しく理解すればKirin 960sは非常に良いプロセッサーです。

しかし、Kirin 960sの“s”はクロックダウンをしているとわかれば問題はありませんが、多くの機械で“s”がつくとスペックアップしているので、この名称はミスリードを誘っている印象を受けます。Kirin 960自体の性能はそこまで悪くないので、この名称は小癪に障ります。とは言えKirin 960sの搭載機が初登場したのは2018年2月なので今更怒っていても仕方がありませんが、Kirin 970をクロックダウンする際にまた“s”が付いていればHUAWEIへの印象はあまりいい印象にはならないでしょう。

 

 

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