Armが新CPU IPのCortex-X3など3製品、新GPU IPのImmortalis-G715など3製品、新DSUのDSU-110を発表

Armが新CPU IPのCortex-X3など3製品、新GPU IPのImmortalis-G715など3製品、新DSUのDSU-110を発表

2022年6月29日
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Armは2022年6月28日(現地時間)、新CPU IPの「Cortex-X3」と「Cortex-A715」、「Cortex-A510」を、新GPU IPの「Immortalis-G715」と「Mali-G715」、「Mali-G615」を、新DSU(DynamIQ Shared Unit)のDSU-110の計7製品を発表しました。

 

Armはこれらの製品群を2022 Total Compute Solutions(TCS22)と呼称し、この呼称は今後も適用され、来年はTCS23、さらに来年はTCS24に、昨年は遡ってTCS21となります。そのため、昨年に発表されたCortex-X2とCortex-A710、Cortex-A510はTCS21に属します。

 

Cortex-A510とDSU-110は新規に開発された製品ではなく設計を見直したRefreshed版なので、2021年に発表したCortex-A510とDSU-110の名称を引き継いでいます。そのため、違いをわかりやすくするために、以降はCortex-A510 (2022)、DSU-110 (2022)と記載します。

 

新CPU IPのCortex-X3は2020年に開始したCortex-X Custom Programの製品で、Cortex-X1、Cortex-X2と続く3世代目の製品です。代表的な例として、Cortex-X1はSnapdragon 888 5G、Cortex-X2はSnapdragon 8 Gen 1が採用しています。

 

Cortex-X3は主にシングルスレッド性能を向上させたようで、Cortex-X2と比較して25%の性能向上に成功したと発表しています。Cortex-Xに属する製品は消費電力の多さが問題視され、今回の製品は発表前から特にひどいと評されていましたが、残念ながらArmは電力効率の向上について触れませんでした。

 

Cortex-A715はCortex-A710の後継で、効率的に性能を発揮することに重きを置かれています。性能はCortex-A710と比較して5%の性能向上、20%の電力効率の向上に成功し、Cortex-X1に匹敵する性能が発揮できるようです。

 

Armは64-Bit Onlyを目標にしており、Cortex-A710は猶予期間として32-Bitも対応した製品として発表されましたが、Cortex-A715は32-Bitの対応を放棄し64-Bit Onlyになりました。そのため、Cortex-X3とCortex-A715、Cortex-A510 (2022)で構成した場合、32-Bitに対応しなくなるため、これらのCPU IPを採用する企業は悩ましい時期に突入したと考えています。

 

Cortex-A510 (2022)はCortex-A510のRefreshed版で、性能は維持しつつ電力効率は5%向上しました。基本的な設計が同じなので名称を引き継いでいますが、「複合的な性能」が異なる製品なので、何か違いをわかるような名称にして欲しかったと思います。

 

Armの記載方法では先代のCortex-A510をCortex-A510 (2021)、最新のCortex-A510をCortex-A510としているため、古い方に年代を付与しています。ReaMEIZUでは最新製品の方に年代を付与しましたが、今後、Cortex-A510を採用した製品が発表された際にどのような記載がされているかで柔軟に変更したいと思います。

 

DSU-110 (2022)は先代のDSU-110と比較して8基から12基へ4基も多く積載可能になり、柔軟性が向上したので様々な顧客の需要に応えられるようになったと発表しています。

 

性能に関してはTCS22で構成された「1xCortex-X3、3xCortex-A715、4xCortex-A510 (2022)」の性能は、TCS21で構成された「1xCortex-X2、3xCortex-A710、4xCortex-A510」よりも12%優れます。また、高性能・高機能のPC向けはCortex-X3、Cortex-A715、Cortex-A510 (2022)を8+4+0構成にすることも可能です。

 

新GPU IPは大きな発表として「Mali(マリ)」の上位に位置する「Immortalis(イモータリス)」を新設しました。その最初の製品としてImmortalis-G715が展開され、主な特徴としてHardware-based Ray TracingをArm製GPUとして初めて搭載しました。

 

Mali-G710を搭載したDimensity 9000でもRay Tracingに対応していますが、今回のImmortalis-G715はHardware-basedに対して、Dimensity 9000はSoftware-basedなので、より没入感が高まるとしています。

 

Immortalis-G715の他に、Mali-G715、Mali-G615を発表しました。こちらの製品はVariable Rate Shadingに対応し、Mali-G710、Mali-G610と比較して15%の性能向上に成功しました。そして、機械学習の演算性能は2倍になったと発表しています。

 

積載数はImmortalis-G715は10から16、Mali-G715は7から9、Mali-G615は1から6です。Mali-G715とMali-G615は積載数に応じて名称が変更しますが、Immortalis-G715は独立した製品なので、1から9の積載数のImmortalis-G715は存在しません。

 

TCS22の製品群はSnapdragon 8 Gen 1の後継製品、Dimensity 9000の後継製品、Exynos 2200の後継製品が採用する見込みで、2022年末から2023年に発表される旗艦製品が搭載する予定です。

 

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