半導体設計会社のArmは2023年5月29日にTCS23 (Arm Total Compute Solution 2023)を発表し、新GPU IPとなるImmotalis-G720とMali-G720、Mali-G620の仕様を公開しました。
Armは同時に新CPU IPを発表しており、超高性能なCortex-X4と高性能なCortex-A720、高効率なCortex-A520の仕様を公開しています。
昨年のImmotralis-G715やMali-G715は4世代GPUアーキテクチャのValhallに基づいて設計されていましたが、今回の新しいGPU IP群は新しく5世代GPUアーキテクチャに基づいて設計されています。
5世代GPUでは、爆発的に増加している複雑なシーンに対応するために遅延頂点シェーディング (Deferred Vertex Shading, DVS)が導入され、原神 (Genshin Impact)では使用される帯域幅が33%減、Fortniteでは26%減少、Epic Gamesが開発者向けに提供するElvens Ruinsで使用される帯域幅は41%も減少したと発表しています。
そして、昨今では開発者がより魅力的な映像体験を作成するためにHDRレンダリングの使用が増加しているとし、5世代GPUで遅延頂点シェーディング (DVS)を導入したことによって、新しいGPU IPのImmortalis-G720は従来のImmortalis-G715と比較して書き込み帯域幅が33%向上し、FPSが推定で20%も向上したとしています。
新しく発表されたGPU IP群は従来のTCS22に属するGPU IP群と比較して、ピーク時の性能は平均で15%向上、省電力性も平均で15%上昇しました。また、メモリ帯域幅の使用量が最大40%も削減されるため、システムレベルでの効率も大幅に向上しました。
そして、機械学習 (ML)性能も向上し、Immortalis-G720は従来品と比較してピーク時の性能は25%高く、メモリ帯域幅の消費が22%も少ないとしています。昨今は機械学習による体験の向上が注目されているため、このような向上はすばらしいです。
最上位のImmotralis-G720はレイトレーシングに対応しており、積載数は10基から16基に設定されています。そのため、新製品がImmortalis-G720を搭載している場合は最低でも10基搭載していることになります。
上位のMali-G720はImmotralis-G720の下位モデルでレイトレーシングに非対応で、積載数は6基から9基です。Mali-G720を搭載した製品は6基未満、10基以上のものはありません。
Mali-G620はMali-G720の積載数が少ないときに使用される名称で、積載数は1基から5基としています。そのため、製造プロセスが同じでどちらも最大650MHzで動作する場合は1基あたりの性能はどちらも同じです。