Qualcommが先日発表したQualcomm Snapdragon 855 Plus Mobile Platformを初搭載したASUS ROG Phone IIが発表され、AnTuTuベンチマークスコアとGeekbenchスコアが判明しましたので、様々なSoCと比較してみたいと思います。
今回の比較はあくまでもベンチマークスコアで、実際のスマートフォンにはAndroid OSが搭載されているの為実使用感については考慮していません。
スペックは上の表になります。Snapdragon 855との違いはプライムコアが2.84GHzから2.96GHzへクロックアップ、GPUが585MHzから675MHzへクロックアップしている点です。この他に変更点はなく、“Plus”はクロックアップの意味を持っていると考えて間違いないでしょう。
Snapdragon 855 Plusの総合性能は401,529点で40万点の大台を突破しました。Snapdragon 855からは9%の成長に成功し、クロックアップのモデルの威厳を保つことに成功しています。
CPU性能、GPU性能、UX性能、MEM性能の全ての性能で性能向上が出来ており、他社からすると嫌なプラットフォームが登場したのかもしれません。
Snapdragon 855 Plusの注目点であるCPU性能とGPU性能を抽出したグラフです。Snapdragon 855と比べてCPU性能は約6%、GPU性能は約13%の性能向上です。
CPU性能はA12 Bionicと肉薄するスコアになっており、これはARMの開発とQualcommのマイクロアーキテクチャKryoの開発が上手に行えている証拠です。しかし高クロックにしてようやく近いスコアが出ていることを考えるとAppleの開発のほうが一枚上手なのかもしれません。
GPU性能はSnapdragon 855時点でA12 Bionicを抜かしていましたが更に差をつける形に。高ければ高いほどPUBGやフォートナイト等の高負荷なゲームの快適度が上がりますので、Snapdragon 855 PlusはSnapdragon 855と比較してさらに快適度が上がったことになります。ただSnapdragon 855 Plusを搭載した機種の規格はバラバラ(ディスプレイやRAM、ストレージ等)なのに対して、Appleは製品の規格が統一されているので開発者は最適化しやすく、この点はAppleの方が優れています。
シングルコア性能はプライムコアが2.96GHzへクロックアップしたことでSnapdragon 855では超えられなかった3,600点を超えましたが、Exynos 9820やA12 Bionicには敵っていない現状です。瞬間的な処理や単純処理で差が出る可能性はありますが、今の性能はオーバースペック気味ですのでそれほど心配する必要はないでしょう。
マルチコア性能はわずかですがSnapdragon 855から上回りましたが本当に微々たる差です。Snapdragon 855で11,000点を上回ることは非常に稀(検索した限りでは30件に1回程度ですが、Snapdragon 855 Plusは安定して11,000点を出しているので進化しているのは間違いないでしょう。しかしシングルコア性能とマルチコア性能ともにA12 Bionicに負けている状態なので、CPUの開発はどんどん差がついていく事になるでしょう。