2016年度でのHelio P10を搭載したスマートフォンの乱発によってユーザーに混乱を引き起こし、明らかな戦略ミスを指摘された所、副総裁の李楠 氏がこのミスを認めました。
普通の企業は戦略ミスを認めないことが多いので、この事例は非常に珍しいです。
2015年度のMeizuは以下の5機種を販売し、2000万台を売り上げるという功績をあげました。
- Meizu PRO 5
- Meizu MX5
- Meizu m2 note
- Meizu m2
- Meizu m1 metal
この5機種は少数精鋭という販売をし、PROシリーズは最高スペック高価格、MXシリーズは高スペック中価格、Mシリーズは中スペック低価格という様に明確に分けたので、販売されるスマートフォンの立ち位置をユーザーがどのスマートフォンを購入するべきなのかをわかりやすくしたため、2015年通年での成長率でトップを飾ることが出来ました。
特に販売が伸びたのはMシリーズスマートフォンで、インドを中心とする新興国市場での展開に成功しました。
Meizu m2 note、Meizu m2はスペックを考えると、後2年は常用できると思います。
この2機種は非公式にブートローダーをアンロックすることに成功しており、CyanogenModを始めとするカスタムROMの開発が盛んに行われており、Meizuがアップデートを打ち切ったとしても開発者が使用を続ける限りは安泰でしょう。
この2015年度で成功したMシリーズスマートフォンを更に強化しようと考えたのが2016年度で、以下の8機種が発表、販売されております。
※ 発表順
- Meizu M3 note
- Meizu M3
- Meizu M3s
- Meizu M3E
- Meizu U10
- Meizu U20
- Meizu M3 Max
- Meizu M5
上記のスマートフォンでスペック被りが起きているのは、Meizu M3 noteとMeizu M3EとMeizu U20とMeizu M3 Max、Meizu M3とMeizu M3sとMeizu U10とMeizu M5となっています。
まず、前者4機種に共通しているのはディスプレイが1920 x 1080のFHD、SoCにMediaTek Helio P10(MT6755M)が搭載、RAM 3GB LPDDR3、リアカメラ 1300万画素 / フロントカメラ 500万画素というスペックです。
Meizu M3 Maxは6.0インチですが、その他は5.5インチで共通し、RAMはMeizu M3 Max以外の機種では2GB LPDDR3のモデルが存在しています。
搭載されているFlymeはMeizu M3 noteとMeizu M3 Maxが通常のFlyme 5、Meizu M3EとMeizu U20がFlyme powered by YunOSとなっています。
デザインはMeizu U20のみが今までと異なったデザインとなっておりますが、他はいつものMeizu製スマートフォンのデザイン。
後者4機種に共通しているのはディスプレイが5.0インチの1280 x 720のHD、SoCにMediaTek MT6750、RAM 2GB LPDDR3 / 3GB LPDDR3、リアカメラ 1300万画素 / フロントカメラ 500万画素、バッテリー容量が3000mAh程度というスペックです。
搭載されているFlymeはMeizu M3sは通常のFlyme 5、その他はFlyme powered by YunOSとなっています。
デザインはMeizu U10のみが異なり、その他はいつものデザイン。
このように書いているだけでもややこしいものを、新規のユーザーが欲しいと思える訳がないのです。
前者4機種、後者4機種で明らかに必要のないスマートフォンが存在しています。
Meizu M3E、Meizu M3、Meizu M5は完全に必要のないスマートフォンでしょう。
Meizu M3EはMeizu M3 noteと同じスペックで同じデザイン、一方で同じスペックのMeizu U20はデザインが異なります。
ということは今までのデザインよりも新しいデザインのほうが興味がそそられるので、Meizu M3Eは完全に必要ありません。
Meizu M3は、Meizu M3sというこれぞ中国での低価格スマートフォンというような必要最低限のものを搭載しているので、必要ありません。
Meizu M5はMeizu M3の後継機として発表、販売されていますが、進化しているところは一切ありませんので、焦って新機種を発表する必要はなく、いらないスマートフォンです。
完全に共通したスペックというだけで、「ややこしい」という印象を植え付けてしまい、新たなユーザーを獲得するのは厳しいです。
もっと言えば、Meizu M3 noteよりもMeizu M3 Maxを全面的に販売しても良かったと考えております。
5.5インチのスマートフォンではデザインが異なっているMeizu U20が存在しているので、6.0インチのMeizu M3 MaxとMeizu U20だけであればまた面白い展開になっていたと思います。
ReaMEIZUでは、2016年度のMシリーズスマートフォンはMeizu U10、Meizu U20、Meizu M3s、Meizu M3 Maxで良かったのではないかと考えています。
8機種全てスペックが異なっていれば良いですが、スペックが同じであればわざわざ被っているものを発表する必要はありません。
Huaweiも乱発傾向にありますが、高いブランド力、欧米を含むグローバル展開もしておりますので、Meizuは中国国内では人気がありますが、海外に出るとイマイチ有名ではないので、話は違ってきます。
2015年のXiaomiは同スペックのスマートフォンを乱発したことによって、目標であった1億台に届かず7000万台に終わっております。
「後継機」というのはスマートフォンメーカーではとても重要なワードで、前モデルの購入者は後継機と比較をして買い換えるかの判断をします。
同スペックのスマートフォンは後継機ではなく、同じ製品として見てしまうので、思うように買い替えが進みません。
MeizuはHelio P10を採用し続けたことによってユーザーに「万年P10」という煽りや、「魅族聯發有限公司」というMeizuとMediaTekを合わせた造語による蔑称が用いられております。
「万年Snapdragon820」や「○○ + 高通公司」という蔑称はありませんので、ユーザーは我慢の限界なのでしょう。
幸いなことに李楠 氏は「何故2016年のMeizuは戦略ミスをしてしまったかを理解しており、来年(2017)年には修正をする」という旨の発言をしており、来年の戦略に期待がかかります。
昨今のスマートフォン市場では、市場を読み解かずに踏ん反り返っているだけでは他社にシェアを奪われて過去の企業となってしまうので、新たな戦略を練って実行することが大切です。
Meizuは新たな戦略がMシリーズスマートフォンの乱発となってしまい、2016年の戦略ミスを起こしてしまいました。
しかし、当初の目標であったオフラインチャネルの拡充には成功しており、2016年に大きくシェアを伸ばしたOV(OPPO、vivo)と同じ手法を取り、いずれは大きな効果をもたらすと思います。
OPPOの様に、オーディオ部門(Meizu M3 Music Card)からスマートフォン市場に参入した企業でも有るので、ハイエンドモデルの競争力を獲得できた場合は、OVに追いつき追い越す可能性が有ります。
もちろんオンライン市場も大事で、オフライン・オンラインどちらも蔑ろにしてはいけません。
天猫・京東を始めとするオンラインチャネルの安定に力を入れつつ、オフラインチャネルのサポートの拡充に務めることが出来れば、さらなる成長が望めるでしょう。
一番重要なことは、Qualcommとの和解です。
これが少しでも遅れると2017年も失敗の年となるでしょう。
通年で失敗した企業はゴマンとあります。
HuaweiはAscend P6を販売し、後継機となるAscend P6Sを販売していた頃は終わった企業と思われたこともありますし、Xiaomiも今でこそまたシェアを獲得しつつありますが2015年は確実に失敗していました。
SAMSUNGもGalaxy Note 7のリコール問題が有り、2016年は失敗の年となるでしょう。
Meizuは中国で9番目に人気のある企業で、GioneeやLenovo、LeEcoやZTEよりも人気があります。
日本ではOnePlusやZUKが人気ですが、中国の市場で見ると零細企業ですので、そこまでの人気があるかと言えば別になります。
ここからどう立て直すか、見ものです。
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