中国のHuaweiは2026年10月1日に開催した新製品発表会でHUAWEI Mate 90シリーズを発表し、HUAWEI Mate 90 Proに新SoCとなるKirin 9035を搭載していること明らかにしました。未来の自分や誰かがKirin 9035について調べようとした時に情報がないと面白くないので、簡単にではありますがまとめます。
| 名称 | Kirin 9035 | Kirin 9030 Pro | Kirin 9030 |
| CPU | 4th Gen LinxiCore CPU
1x Prime 4x Performance 4x Little (9 Cores / 14 Threads) (L3 Cache: 12MB) |
4th Gen LinxiCore CPU
1x Prime 4x Performance 4x Little (9 Cores / 14 Threads) (L3 Cache: 12MB) |
4th Gen LinxiCore CPU
1x Prime 3x Performance 4x Little (8 Cores / 12 Threads) (L3 Cache: 12MB) |
| 識別子 | 72_3334
72_3399 72_3364 |
72_3334
72_3399 72_3364 |
72_3334
72_3399 72_3364 |
| リビジョン | r2p0
r2p0 r2p0 |
r2p0
r2p0 r2p0 |
r2p0
r2p0 r2p0 |
| 動作周波数 | 2.85GHz
2.35GHz 1.72GHz |
2.75GHz
2.27GHz 1.72GHz |
2.69GHz
2.27GHz 1.72GHz |
| GPU | Maleoon 935 6CU
(OpenGL ES 3.2 / Vulkan 1.3) |
Maleoon 935 6CU
(OpenGL ES 3.2 / Vulkan 1.3) |
Maleoon 935A 5CU
(OpenGL ES 3.2 / Vulkan 1.3) |
| 動作周波数 | 933MHz | 933MHz | 933MHz |
| NPU/DSP | Da Vinci NPU
1x Ascend Lite 2x Ascend Tiny |
Da Vinci NPU
1x Ascend Lite 2x Ascend Tiny |
Da Vinci NPU
1x Ascend Lite 1x Ascend Tiny |
| カメラ | Kirin ISP 9.0 | Kirin ISP 9.0 | Kirin ISP 9.0 |
| リフレッシュレート | ? | ? | ? |
| エンコード/デコード | ? | ? | ? |
| RAM | 4x16-bit LPDDR5X (9600Mbps)
(System Level Cache: 12MB) |
4x16-bit LPDDR5X (9600Mbps)
(System Level Cache: 12MB) |
4x16-bit LPDDR5X (9600Mbps)
(System Level Cache: 12MB) |
| ストレージ | UFS 4.0 | UFS 4.0 | UFS 4.0 |
| USB | USB 3.1 Gen 1 | USB 3.1 Gen 1 | USB 3.1 Gen 1 |
| Wi-Fi | Wi-Fi 7 (11be) | Wi-Fi 7 (11be) | Wi-Fi 7 (11be) |
| Bluetooth | Bluetooth 6.0 | Bluetooth 6.0 | Bluetooth 6.0 |
| NearLink | NearLink E2.0 | NearLink E2.0 | NearLink E2.0 |
| 位置情報 | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC
(GNSS: L1 / L5) |
GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC
(GNSS: L1 / L5) |
GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC
(GNSS: L1 / L5) |
| 通信 | 統合: Balong 5A Modem | 統合: Balong 5A Modem | 統合: Balong 5A Modem |
| 充電規格 | HUAWEI SuperCharge | HUAWEI SuperCharge | HUAWEI SuperCharge |
| 製造プロセス | SMIC 7nm N+3 | SMIC 7nm N+3 | SMIC 7nm N+3 |
| 型番 | ? | Hi36D0-S-GFCV100-CN | Hi36D0-GFCV100-CN |
| 公式サイト | - | - | - |
新たに発表されたKirin 9035の主な仕様は、製造プロセスがSMIC 7nm N+3、CPUはLinxiCoreを採用し最大2.85GHzで動作するPrimeと最大2.35GHzで動作するPerformanceと最大1.72GHzで動作するLittleを1+4+4構成で採用、GPUは最大933MHzで動作するMaleoon 935 6CU、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.0で、モバイルデータ通信はHuaweiが提唱する5Aをサポートします。
HUAWEI Mate 90 Proが搭載したKirin 9035を一言で表すと、Kirin 9030 Proのオーバークロック版です。現時点で判明している限りでは違いはCPUのみで、Primeが0.10GHz上昇し、Performanceが0.08GHz上昇しました。上昇幅はオーバークロック版と考えるとやや控えめですが、Kirin 9000S以降の規格不適合品を活用して下方向の製品が増える傾向に当てはまらない上方向の製品で、新たな時代が始まったように感じます。
HuaweiによるとKirin 9035の性能は、Kirin 9030と比較してCPU性能が11%、GPU性能が10%、NPU性能が51%も向上しました。Kirin 9035はKirin 9030 Proのオーバークロック版ですが、比較しているのはKirin 9030なのでその点は注意してください。
比較対象になっているKirin 9030はKirin 9030 Proの規格不適合品で、Kirin 9030 ProからCPUはPrimeが0.06GHz下がり、Performanceが1基減って1+4+4構成から1+3+4構成に変更されています。そして、GPUはMaleoon 935 6CUから1CU減ってMaleoon 935A 5CUになり、さらにはNPUはAscend Tinyが無効化されています。
それを踏まえてKirin 9035はKirin 9030からCPUはPrimeが0.16GHz上昇し、Performanceが1基増えて0.08GHz上昇して1+4+4構成になり、NPUはAscend Tinyが復活して1x Liteと2x Tiny構成になっています。そういった状態での11%、10%、51%の向上となります。
比較対象になったKirin 9030はHUAWEI Mate 90が搭載しており、Kirin 9020と比較してCPU性能が13%、GPU性能が54%、NPU性能が13%も向上しました。前世代のSoCと比較しているので非常にわかりやすい性能向上で、また、SMICの設備の限界で7nmプロセスの壁を超えられなくても性能向上が出来ているという驚異的な数値でもあります。
そして、Huaweiはこの発表会でKirin 9035とKirin 9030がタウの法則に則って設計・製造されたSoCであることも発表しています。同社がタウの法則を提唱したのは2026年5月ですが、Kirin 9030 ProとKirin 9030が発表されたのは2025年11月なのでかなり前から法則を編み出して開発を行って性能向上を達成しているので、この開発能力の高さには素直に脱帽です。
Kirin 9030が搭載しているLinxiCore CPUはFFRT (Function Flow Runtime)をサポートしており、画像の読み込み速度が100%も向上しました。FFRTは効率的にマルチスレッド処理を行うHarmonyOSとOpenHarmonyに組み込まれているランタイムで、Kirin 9030は前世代のKirin 9020よりもより効率的に動作するということです。
Kirin 9030が搭載しているMaleoon GPUは、Kirin 9020と比較して3DGS (3D Gaussian Splatting)のレンダリング性能が向上しており、フレームレートが28%も向上しました。Sky株式会社に記載されている情報によりますと、3DGSは「複数視点のカメラ画像から3次元空間を再構成する技術」のようで、従来の技術では難しかった建物内の雰囲気の臨場感を高めたり、物の質感をより正確に表現したり出来るようです。
Kirin 9030は新しいDa Vinci NPUを搭載しており、最初の1文字が表示される速度TTFT (Time to First Token)が59%も早くなった上、通話時の翻訳が正確かつ素早くなるようです。生成AIを利用したことある方は経験があると思いますが、プロンプトを送信してからの待ち時間が長くて作業が一時的に止まったことがあるでしょう。Kirin 9030では待ち時間が減るのでそれが引き起こされにくくなっており、より効率的にAIを利用して効率的な作業ができることになります。
Kirin 9030にはMSP (Mobile Security Processor)が搭載されており、PQC (Post-Quantum Cryptography / 耐量子暗号)をMSPに組み込み、将来的に量子コンピュータが実現されても端末内のデータや通信が解読されないようにしています。現時点での「暗号」は量子コンピュータが実現されると簡単に突破される可能性がありますが、それが実現しても突破されない高いセキュリティを持っており安全だと発表しています。
Kirin 9030を搭載したHUAWEI Mate 90は発表日と同じ2026年10月1により中国で販売を開始し、12GB+256GBモデルが5999元 (約141,500円)、12GB+512GBモデルが6999元 (約165,000円)、12GB+1TBモデルが8499元 (約200,500円)となっています。昨年の2025年11月に発表されたHUAWEI Mate 80には16GB+512GBのモデルがありましたが、HUAWEI Mate 90には存在しておらず、メモリ不足の影響を感じます。
Kirin 9035を搭載したHUAWEI Mate 90 Proも同じく2026年10月1日より中国で販売を開始し、12GB+256GBモデルが6999元 (約165,000円)、12GB+512GBモデルが7999元 (約188,500円)、16GB+512GBモデルが8499元 (約200,500円)、16GB+1TBモデルが9999元 (約236,000円)となっています。
昨年に発表されたHUAWEI Mate 80 Proの最上位構成の16GB+1TBモデルの価格は7999元で、これはHUAWEI Mate 90 Proの12GB+512GBモデルと同じです。もちろんディスプレイやカメラ、SoCなどで多くの性能向上がありますがそれでも2000元 (約47,000円)の値上げとなっており、一体いつまでこの影響が続くのか心配になる価格にまでなっています。










