スマートフォンの情報を見ていて、RAMの部分にLPDDR5X UltraやUltra Proといった表記を見かけたことはあるでしょうか。「すごいことはすごいんだろう」とぼんやりと理解している人が多いように見受けられたので、なぜこの表記がされているのか、なぜこの表記が生まれたのかを簡単に解説します。
LPDDR5XはRAMの規格で、現時点で最新の規格です。次世代のLPDDR6がすでに策定されていますが、搭載した製品は2026年以降に登場する予定なので、LPDDR5Xのことだけを考えても問題ありません。その他の規格としてLPDDR5やLPDDR4Xなどがあります。
そして本題となるLPDDR5XやLPDDR5X Ultraといった表記ですが、RAMのデータ転送速度に応じて使い分けています。ただ、UltraやUltra Proの表記は規格を策定している業界団体による公式の名称ではありません。つまり、LPDDR5X RAMを使用している企業がそれぞれ使っているだけです。
表記の使い分けはデータ転送速度と記載しましたが、どのように使い分けているかというと、9600Mbpsの場合はUltraで、10667MbpsはUltra Proとなっています。ただ、注意点としてLPDDR5Xのみの場合は8533Mbpsで確定ではなく、Ultraに位置する9600Mbpsの場合もあります。これは正しい表記ではLPDDR5XにUltraもUltra Proも存在しないので、規格として正しくするために表記しない企業があるためです。
| 名称 | 速度 |
| LPDDR5X Ultra Pro | 10667Mbps |
| LPDDR5X Ultra | 9600Mbps |
| LPDDR5X | 8533Mbps - 10667Mbps |
それぞれの表記が意味するものを表にしました。UltraやUltra Proの表記があれば確定、何も表記がなければ8533Mbpsの場合もありますし9600Mbpsの場合もある、ということになります。この速度はGPUの性能に影響するので多少は気にしたほうがいいですが、Ultra Proは現時点でvivoのみが採用しているので、Ultraにあたる速度であれば十分です。
最後に、この表記が発生している背景について知っている限りの情報をまとめます。実は、LPDDR5Xという規格はLPDDR5の改良版で、いくつかの仕様が共通しています。そういったことから、中国ではLPDDR5の完全版がLPDDR5Xといった状態になり、初期の8533MbpsのLPDDR5Xが完全版となってしまいました。
しかし、8533MbpsのLPDDR5Xは完全版ではなく9600Mbpsに達してしまったので、新しいものに対して上位を意味するUltraが付与されました。そして驚くことに、それでも完全版ではなく10667Mbpsに達してしまったのでUltraよりも上のUltra Proとなりました。という感じです。
現時点でUltra Proの上になりそうなものはなく、次世代のLPDDR6が控えているのでこれで終わりでしょう。安易に完全版を使ってしまうと後から大変になってしまいますので、今後は気をつけたほうがいいですね。



