中国のHuaweiは2023年12月26日にHUAWEI nova 12シリーズを発表し、その製品群の一部機種に新SoCとなるKirin 8000 (麒麟 8000)を秘密裏に搭載しました。今回、Kirin 8000の仕様がいくつか判明したので簡単にですがまとめます。
名称 | Kirin 8000 | Kirin 820 | Kirin 810 |
CPU | 1x Cortex-A77
3x Cortex-A77 4x Cortex-A55 (2MB L3 Cache) |
1x Cortex-A76*
3x Cortex-A76* 4x Cortex-A55 |
2x Cortex-A76*
6x Cortex-A55 |
動作周波数 | 2.40GHz
2.19GHz 1.84GHz |
2.36GHz
2.23GHz 1.84GHz |
2.28GHz
1.88GHz |
GPU | Mali-G610 MP4 r0p0 | Mali-G57 MP6 r0p1
(Kirin Gaming+ 2.0) |
Mali-G52 MP6
(Kirin Gaming+) |
動作周波数 | 864MHz | 804MHz | 820MHz |
NPU/DSP | ? | Da Vinci Architecture
1x Ascend D110 Lite |
Da Vinci Architecture
1x Ascend D100 Lite |
カメラ | ? | Kirin ISP 5.0 | Kirin ISP 4.0 |
リフレッシュレート | ? | ? | ? |
エンコード/デコード | ? | ? | ? |
RAM | LPDDR5 (3200MHz)
LPDDR4X (2133MHz) 4MB System Level Cache |
LPDDR4X (2133MHz) | LPDDR4X (2133MHz) |
ストレージ | UFS 3.1 | UFS 2.1 | UFS 2.1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 6 (11ax) | Wi-Fi 6 (11ax) | Wi-Fi 5 (11ac) |
Bluetooth | Bluetooth 5.2 / BLE | Bluetooth 5.1 / BLE | Bluetooth 5.1 |
位置情報 | GPS, A-GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS | GPS, A-GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS | GPS, A-GPS, GLONASS, BeiDou |
通信 | 統合: Balong Modem | 統合: Balong 5G Modem
Sub-6GHz (DL: 2.3Gbps/UL: 1.25Gbps) |
統合: 4G Modem
LTE Cat.12/13 (DL: 600Mbps/UL: 150Mbps) |
充電規格 | ? | ? | ? |
製造プロセス | SMIC 7nm N+2 | TSMC 7nm N7 | TSMC 7nm N7 |
型番 | ? | Hi6290L | Hi6280 |
Kirin 8000の特徴は、製造プロセスがSMICの7nmプロセスに基づくN+2、CPUは高性能なArm製のCortex-A77を採用、GPUもArm製のMali-G610を採用しています。
Kirin 8000は2020年3月に発表されたKirin 820の後継SoCとして考えられており、それを鑑みるといくつかの仕様が向上しています。Kirin 810から始まったこのシリーズからの大きな違いはGPUです。
まず、製造プロセスは中国のSMICの7nmプロセスに基づくN+2で、HUAWEI Mate 60シリーズが初搭載したKirin 9000Sと同じ製造プロセスを採用しています。TSMCではなくSIMCが製造しているのはトランプ政権下から発動した制裁が深く影響しています。
CPUはCortex-A77とCortex-A55を組み合わせ、1+3+4構成に仕上がっています。それぞれのクロック周波数は最大2.40GHzと最大2.19GHz、最大1.84GHzになっており、昨今のミドルレンジ帯と遜色のない仕様になっています。
Kirin 820とKirin 810では、Cortex-A76をArmの設計を少し変更してセミカスタムしていましたが、Kirin 8000はHUAWEI Mate 40シリーズが初搭載したKirin 9000と同じくCortex-A77をセミカスタムすることなくArmの設計をそのまま採用しています。
GPUは最大864MHzで動作するMali-G610 MP4です。Kirin 820はMali-G57 MP6でKirin 810はMali-G52 MP6なのでMP6からMP4に減っていますが、シリーズを維持する場合はMali-G510を採用する必要があります。そのため、Kirin 8000ではひとつランクの高いMali-G610を採用してさらに高い位置の製品に仕上げています。
モバイルデータ通信は5Gに対応していると考えられます。Kirin 9000Sを初搭載したHUAWEI Mate 60シリーズでは5Gに接続したと思われる場合にアンテナピクトから5Gの表示が消えて何に接続しているのか不明になりますが、Kirin 8000を初搭載したHUAWEI nova 12と12 Proも同様の場合に表示が消えることが確認されています。
Kirin 8000を初搭載したHUAWEI nova 12とnova 12 Proは2023年12月26日に発表され、2024年の1月5日に販売を開始します。
価格は以下のようになっており、nova 12シリーズは競合他社の製品と比較するとやや強気の価格設定になっています。ただ、中国人はHuaweiのことを心底愛しており、今回の製品たちもこの価格設定でも問題なく売れるでしょう。
HUAWEI nova 12 Pro
・256GB: 3999元 (約81,000円)
・512GB: 4399元 (約89,500円)
HUAWEI nova 12
・256GB: 2999元 (約61,000円)
・512GB: 3399元 (約69,000円)