Google Tensor G3が発表、初代と比べて2倍の機械学習性能を発揮

Google Tensor G3が発表、初代と比べて2倍の機械学習性能を発揮

2023年10月5日
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Googleは2023年10月4日に新製品発表会を開催し、Pixel 8とPixel 8 Pro、Pixel Watch 2を発表しました。今回はPixel 8とPixel 8 Proが初搭載するGoogle Tensor G3に焦点を当てて詳しく解説したいと思います。

 

今回のGoogle Tensor G3はGoogleのGoogle Tensor G3なのかGoogleのTensor G3なのかわかりませんでしたので、前者のGoogleのGoogle Tensor G3として取り扱います。補足情報として、公式サイトではTensor G3のみの表記も見かけます。

 

名称 Google Tensor G3 Google Tensor G2 Google Tensor
CPU 1x Cortex-X3

4x Cortex-A715

4x Cortex-A510 Refreshed

2x Cortex-X1

2x Cortex-A78

4x Cortex-A55

(4MB sL3 Cache)

2x Cortex-X1

2x Cortex-A76

4x Cortex-A55

(4MB sL3 Cache)

動作周波数 2.91GHz + 2.37GHz + 1.70GHz 2.85GHz + 2.35GHz + 1.80GHz 2.80GHz + 2.25GHz + 1.80GHz
GPU Mali-G715 MP7 Mali-G710 MP7 Mali-G78 MP20
動作周波数 ? 848MHz (Shaders)

996MHz (Tiler / L2)

848MHz (Shaders)

996MHz (Tiler / L2)

NPU/DSP 搭載 搭載 搭載
TPU Next Gen edgeTPU edgeTPU (Janeiro) edgeTPU (Abrolhos)
カメラ ? ? ?
リフレッシュレート 120Hz (QHD+) 120Hz (QHD+) 120Hz (QHD+)
エンコード/デコード Encode: 4K@60fps H.265, H.264

Decode: 4K@60fps H.265, H.264, VP9, AV1

Encode: 4K@60fps H.265, H.264

Decode: 4K@60fps H.265, H.264, VP9, AV1

Encode: 4K@60fps H.265, H.264

Decode: 4K@60fps H.265, H.264, VP9, AV1

RAM LPDDR5X (4266.5MHz) LPDDR5 (3200MHz)

(8MB System Level Cache)

LPDDR5 (3200MHz)

(8MB System Level Cache)

ストレージ UFS 3.1 UFS 3.1 UFS 3.1
Wi-Fi Wi-Fi 7 (11be) Wi-Fi 6E (11ax) Wi-Fi 6E (11ax)
Bluetooth Bluetooth 5.3 Bluetooth 5.3 Bluetooth 5.2
位置情報 GPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDou (北斗), NavIC GPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDou (北斗), NavIC GPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDou (北斗)
通信 統合: 不明

Sub-6GHz / mmWave

統合: Exynos Modem 5300G

Sub-6GHz / mmWave

統合: Exynos Modem 5123

Sub-6GHz / mmWave

充電規格 - - -
製造プロセス Samsung 4nm SF4 (旧: 4LPP) Samsung 5nm SF5E (旧: 5LPE) Samsung 5nm SF5E (旧: 5LPE)
型番 GS301 (?) / S5P9865 (?) GS201 / S5P9855 GS101 / S5P9845

GoogleはGoogle Tensor G3の仕様をほぼ語らなかったため、搭載した製品の実機からわかっている情報や公式サイトに記載された情報を仕様として記載しています。

 

今回のGoogle Tensor G3は、Pixel 6とPixel 6 Proが初搭載したGoogle Tensorの3世代目の製品で、「G3」は「Gen 3」を表していると考えています。このGoogleが開発したGoogle TensorはCPUやGPUの性能の底上げよりも、AI性能 (≒ 機械学習性能)を追求しているように見受けられます。

 

Google Tensor G3の主な仕様は、製造プロセスはSamsung 4nm SF4 (旧: 4LPP)、CPUは最大2.91GHzで動作するCortex-X3を1基、最大2.37GHzのCortex-A715を4基、最大1.70GHzのCortex-A510 Refreshedを4基の1+4+4構成、GPUは動作数不明のMali-G715 MP7、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は5Gに対応しSub-6GHz帯とmmWave (ミリ波)をサポート、この他の通信としてWi-Fi 7、Bluetooth 5.3に対応します。

 

CPUは奇妙な構成となる1+4+4構成を採用し、普通の人たちに向けて読みやすく表記するとノナコア構成となります。QualcommやMediaTekの製品では1+3+4構成や2+6構成、4+4構成のオクタコア構成が一般的ですが、新しく発表されたGoogle Tensor G3はそれらのSoCと比較して1基多い構成を採用しています。

 

Cortex-X3を1基採用するのは競合他社と同じですが、高性能なCortex-A715を4基も採用するのはQualcommに似ており、高効率なCortex-A510 RefreshedはQualcommとMediaTekと似ています。

 

高効率なCortex-A510は、2021年に発表されたものとその翌年の2022年に発表されたものがあります。2021年版と2022年版の違いは、前者はAArch64のみをサポートしますが、後者はAArch32もサポートし直し、さらに設計を見直すことで消費電力を5%削減しています。

 

ただ、GoogleはPixle製品においてソフトウェアでArmが推進する64-bit-Onlyを達成しているため、Cortex-A510 RefreshedがAArch32をサポートしていても一斉を風靡したFlappy Birdを導入することはできません。

 

GPUは上位版のImmortalis-G715を採用するとの情報もありましたがMali-G715を搭載していることが判明しました。積載数は7で、Google Tensor G2と不思議なことに同じ数です。

 

ImmortalisとMaliの違いはリアルタイムレイトレーシングの対応可否で、これは前者のみが対応しています。今はリアルタイムレイトレーシングに対応したアプリがないのでMaliを採用しても問題ありませんが、将来的には競合他社の製品と差が出る可能性があります。

 

機械学習 (ML)性能はPixel 6とPixel 6 Proが搭載した初代Google Tensorと比較して2倍になったとしています。

 

この性能は特に音声認識に発揮されます。音声入力で異なる言語を使用した際に話した言葉をシステムが自動的に音声を識別したり、ウェブブラウザ上に記載されている文章を合成音声が自然に読み上げ、早送りや早戻しの他に読み上げる速度を変更することができます。

 

また、コールアシスト機能によって通話時の環境音もしくはノイズを識別して自動的に取り除いたり、コールガイダンスで流れる「◯番を押してください」といった音声をテキスト化したりできます。

 

Google Tensor G3はPixel 8とPixel 8 Proが初搭載し、日本市場でも販売されることが発表されています。

 

価格はGoogle StoreではPixel 8が112,900円 (税込)から、Pixel 8 Proが159,900円 (同)からに設定されており、販売は2023年10月12日に開始する予定です。これらの製品はネットワーク周りに違いがあり、上位版のPixel 8 ProのみmmWaveのn257をサポートしています。

 

 

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