Apple、業界初の3nmプロセス採用Apple Silicon「A17 Pro」を発表

Apple、業界初の3nmプロセス採用Apple Silicon「A17 Pro」を発表

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iPhoneやiPadを手がけるAppleは現地時間2023年9月12日に基調講演を行い、新型iPhoneとなるiPhone 15シリーズを発表しました。今回は、上位版のiPhone 15 Proシリーズに新しく搭載された新世代Apple SiliconのA17 Proについて簡単にまとめます。

 

名称 A17 Pro A16 Bionic A15 Bionic
CPU 2x Unknown Cores

4x Unknown Cores

2x Everest

4x Sawtooth

2x Avalanche

4x Blizzard

動作周波数 ? 3.46GHz + 2.02GHz 3.23GHz + 2.02GHz

(2.93GHz + 1.82GHz)

GPU Apple Design GPU 6-Cores Apple Design 5th Gen GPU 5-Cores Apple Design 5th Gen GPU 5-Cores

(Apple Design 5th Gen GPU 4-Cores)

動作周波数 ? ? ?
NPU/DSP 16x 7th Gen Neural Engine

35 TOPS

16x 6th Gen Neural Engine

17 TOPS

16x 5th Gen Neural Engine

15.8 TOPS

カメラ ? ? ?
リフレッシュレート 120Hz (2796 x 1290) 120Hz (2796 x 1290) 120Hz (2778 x 1284)
エンコード/デコード Encode: 4K@60fps H.265, H.264, ProRes

Decode: H.265, H.264, ProRes, AV1

HDR10, HLG, Dolby Vision

Slow-mo: 1080p@240fps

Encode: 4K@60fps H.265, H.264 / 4K@30fps ProRes

Decode: H.265, H.264, ProRes

HDR10, HLG, Dolby Vision

Slow-mo: 1080p@240fps

Encode: 4K@60fps H.265, H.264 / 4K@30fps ProRes

Decode: H.265, H.264, ProRes

HDR10, HLG, Dolby Vision

Slow-mo: 1080p@240fps

RAM LPDDR5 (3200MHz) LPDDR5 (3200MHz) LPDDR4X (2133MHz)
ストレージ ? ? ?
Wi-Fi Wi-Fi 6E (11ax) Wi-Fi 6 (11ax) Wi-Fi 6 (11ax)
Bluetooth Bluetooth 5.3 Bluetooth 5.3 Bluetooth 5.0
位置情報 GPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDou (北斗), NavIC GPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDou (北斗) GPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDou (北斗)
通信 ? 外部: Snapdragon X65 5G Modem

Sub-6GHz/mmWave

(10Gbps/3Gbps)

外部: Snapdragon X60 5G Modem

Sub-6GHz/mmWave

(7.5Gbps/3Gbps)

充電規格 - - -
トランジスタ数 190億 160億 150億
製造プロセス TSMC 3nm N3B TSMC 4nm N4P TSMC 5nm N5P
型番 ? APL1W10 APL1W07

今回発表されたA17 Proの主な仕様は、製造プロセスはTSMC 3nm N3B、CPUは高性能コアを2基と高効率コアを4基の2+4構成、GPUは自社開発したApple Design GPUを5基、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格は不明、5G通信はSnapdragon 5G Modemを外部に搭載することで対応しSub-6GHz帯とmmWave (ミリ波)をサポート、この他にWi-Fi 6EとBluetooth 5.3をサポートします。

 

今回のApple Siliconは2017年9月に発表されたA11 Bionicから継続的に採用してきたBionicがなくなり、新たにProが採用されました。これによって通常版のA17やA17 Bionicがあるのではないかと考えてしまいますが、基調講演では特に言及はなかったため、少なくとも現時点ではA17 Proのみが存在していることになります。

 

A11 BionicはiPhone 8やiPhone 8 Plus、iPhone Xが搭載しており、偶然にも最新のiOS 17がサポートされない製品です。Proが始まった年にBionicが始まった製品を搭載したiPhoneのOSサポート終了するのは面白いです。

 

また、業界で初めて3nmプロセスで製造されたチップとしており、Appleは台湾のTSMCとの結び付きが強いので詳細な製造技術はTSMC 3nm N3B (旧: N3)であると考えています。

 


 

A17 ProのCPUは2基の高性能コアと4基の高効率コアの2+4構成を採用しており、Android陣営の主要なSoCが採用している1+3+4構成や4+4構成、2+6構成とは異なっています。

 

Appleによると高性能コアは従来のA16 Bionicと比較して10%高速になり、高効率コアはもっとも効率の良いモバイルCPUとし、競合他社比で3倍のワットあたりの性能を発揮するとしています。

 

GPUは自社開発したApple Design GPUを6基採用し、従来のA16 Bionicと比較して20%も高速になったとしています。A16 BionicとA15 Bionicは5世代GPUを採用していましたが、A17 Proでは新世代となる6世代GPUになるのではないかとの見方が強いです。

 

そして、大きな特徴のひとつとしてソフトウェアベースのレイトレーシングよりも4倍も高速なハードウェアアクセラレーションのレイトレーシングに対応しました。基調講演が開催される前日の9月11日に3DMarkのmacOS版とiOS版が更新され、レイトレーシングの性能を計測するSolar Bayが追加されました。世の中には不思議なことがたくさんありますね。

 

また、基調講演では発表されませんでしたが、Apple公式サイトのiPhone 15 Proシリーズは2020年9月に発表したiPhone 12シリーズA14 Bionicと比較して最大70%も高速になったと発表されています。

 

NPUはNeural Engineを16基採用し、従来のA16 Bionicが搭載した16基のNeural Engineと比較して2倍の計算速度になっています。具体的には35 TOPSで、A16 Bionicが17 TOPSだったので実際には2倍以上も早くなっています。

 

この大幅な進化の要因として世代が新しくなったことが挙げられ、A16 Bionicは6世代のものでしたが、A17 Proは新世代となる7世代になりました。これによって約2.1倍の計算速度になりましたが、世代が更新しただけで倍以上の計算速度を実現するのは素晴らしいです。

 

専用エンジンはApple独自コーデックのProResに対応し、大きな特徴としてAV1デコードをサポートするようになりました。

 

AV1は非営利団体のAlliance for Open Media (AOMedia)が開発したオープンかつロイヤリティフリーな動画圧縮コーデックです。最近ではQualcommやMediaTek、サムスン電子がAV1コーデックの対応を進めるなど世のトレンドとなりつつあります。

 

この他大きな特徴としてiPhone 15シリーズは接続端子がUSB Type-Cに変更され、それにともなってUSBコントローラーが刷新されUSB 3.x規格に対応します。従来のiPhoneのLightningではUSB 2.0でしたので、USB Type-Cになったことはケーブルの持ち歩きが減るといった利点も語られますが、魅力のひとつとしてデータのやり取りも高速になります。

 

詳細な規格は、基調講演や公式サイトには特定の規格は記載されていませんが最大10Gbpsのデータ転送速度と明らかにしていますので、USB 10Gbps (旧: USB 3.2 Gen2 / USB 3.2 Gen1x2 / USB 3.1 Gen2)に対応しています。

 

今回Appleが発表したApple A17 ProはiPhone 15 Proシリーズが搭載しており、いわゆる上位版に位置する製品群が初搭載機となりました。

 

日本における価格は、iPhone 15 Proが128GB版は159,800円 (税込)で、256GB版は174,800円 (同)、512GB版は204,800円 (同)、1TB版は234,800円 (同)に設定されています。

 

最上位モデルのiPhone 15 Pro Maxは、256GB版は189,800円 (税込)、512GB版は219,800円 (同)、1TB版は249,800円 (同)に設定されています。

 

※ 価格はApple公式ストアのものを採用。NTTドコモやau、SoftBank、楽天モバイルでは異なる価格の可能性があります。

 

今回の基調講演では標準版となるiPhone 15とPlus版となるiPhone 15 Plusも同時に発表されており、こちらは両機種ともにiPhone 14 Proシリーズが搭載したA16 Bionicを搭載しています。

 

こちらも日本における価格は、iPhone 15が128GB版は124,800円 (税込)、256GB版は139,800円 (同)、512GB版は169,800円 (同)に設定されています。1TB版はProシリーズのみで展開されています。

 

Plus版となるiPhone 15 Plusの価格は、128GB版は139,800円 (税込)、256GB版は154,800円 (同)、512GB版は184,800円 (同)に設定されています。こちらもiPhone 15と同様に1TB版は展開されていません。

 

※ 価格はApple公式ストアのものを採用。NTTドコモやau、SoftBank、楽天モバイルでは異なる価格の可能性があります。

 

iPhone 15、iPhone 15 Plus、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Maxは2023年9月15日より予約受付を開始し、同年9月22日より販売を開始します。

 

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