UNISOC T820のベンチマークスコアが判明

UNISOC T820のベンチマークスコアが判明

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ZTEの連結子会社Nubiaより発表されたnubia Neo 5Gが搭載したUNISOC T820のベンチマークスコアが判明したので、名称の近いUNISOCの製品と比較します。

 

SoC (System on a Chip)という言葉がすでに存在するのでSoCの意味合いが強く出てしまってUniSoCと書いてしまうメディアを見かけますが、それは完全な誤りです。ちなみに、企業名としてはUnisocですが、ブランド名としてはUNISOCです。

 

同様の例として中国企業のHuaweiやHonorがあり、これらの企業が発表する製品はHUAWEIブランドとHONORブランドで、具体的な例としてHUAWEI P40 Pro+やHONOR Magic5 Proなどがあります。

 

UNISOC T820の主なスペックは、製造プロセスはTSMC 6nm EUV N6、CPUは最大2.70GHzで動作するCortex-A76を1基、最大2.30GHzのCortex-A76を3基、最大2.18GHzのCortex-A55を4基の1+3+4構成、GPUは最大850MHzのMali-G57 MP4、RAM規格はLPDDR4X、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は5G NRに対応しSub-6GHz帯をサポート、この他の通信としてWi-Fi 5とBluetooth 5.0をサポートします。

 

UNISOCは、T820が属する8シリーズ、T770やT760が属する7シリーズ、T618やT610が属する6シリーズの他に今のところ製品が存在しない9シリーズの4展開を明らかにしています。それを考えるとT820が属する8シリーズは同社としては上位のシリーズとなり、それなりの性能を発揮することを期待しているでしょう。

 

しかし、T820のスペックを比較対象のT770やT760と比較すると、CPUとGPUともに数値が上昇しただけのオーバークロック品となっており、T820をT780として発表しても問題がないように感じます。

 

CPUは最大2.70GHzのCortex-A76、最大2.30GHzのCortex-A76、最大2.18GHzのCortex-A55で構成されており、T770と比較するとそれぞれ0.15GHzと0.09GHz、0.18GHz上昇していることになります。すべてのコアで数値が程度上昇しているため、T820はT770よりも性能が高くなることは確実です。

 

GPUは最大850MHzのMali-G57 MP4を採用しており、同じ構成を採用しているT770と比較すると100MHzも上昇しています。そのため、CPU性能と同様に高い性能を発揮してくれるでしょう。

 

製造プロセスTSMCの6nmプロセスに基づくN6で、ミドルレンジ帯の製品ですが新しい技術を用いて製造されたものになっています。TSMCの発表によると、6nm N6は7nm N7と比較してロジック密度が18%も向上させることが出来るとしています。

 

 

AnTuTu Benchmark v10 OBにおけるUNISOC T820の性能は、CPU性能が171,563点、GPU性能 (Lite版)が115,034点、MEM性能が87,040点、UX性能が99,064点で、総合性能が472,701点となりました。

 

CPU性能はT770から約3.4%の成長に成功しました。CPUを構成するCortex-A76とCortex-A55がT770から向上しているので成長することは確実ですが、期待しているほど成長していないような印象を受けます。UNISOCはT820がT770と比較してどの程度の成長をするのか明らかにしていないので約3.4%は許容範囲かもしれませんが、シリーズが変わるのであれば10%とは言いませんが5%から8%は成長してほしかったと思います。

 

GPU性能はT770から約11.5%の成長に成功しました。数値としてはたった100MHzの上昇ですが、性能は10%以上も成長しています。CPU性能では成長こそはしていますが10%の成長はしていないので同じシリーズの製品で良いのではないかと思いましたが、GPU性能は11%の成長に成功しているのでシリーズが異なる意味が少しだけ理解できたような気がします。

 

 

Geekbench 6におけるUNISOC T820の性能は、シングルコア性能が887点、マルチコア性能が2,400点となりました。Geekbench 6はAnTuTuと異なって基準点が設定されており、2022年1月に発表されたPC向けのIntel Core i7-12700の性能が2,500点に設定されています。

 

シングルコア性能はT760から約21.0%、T770から約7.4%の成長に成功しました。これらの製品で共通しているのは高性能側がCortex-A76を採用している点で、T760から0.49GHz、T770から0.15GHzも上昇したことで性能が向上しました。

 

マルチコア性能はT760から約9.0%、T770から約2.3%の成長となりました。シングルコア性能の程の成長が期待できなかったのは、あいだのコアとなるCortex-A76が0.09GHz、高効率コアとなるCortex-A55が0.18GHzの上昇にとどまった点だと思います。製造プロセスがTSMC 6nmで共通なので、高効率側だけが大きく上昇しただけでは大きな成長は望めません。

 

 

UNISOC T820は確かにT770から成長していますが、数値を除いてSoCを構成させるCPUやGPUは同じものを採用しているので、何故T770からT780ではなく、より上のシリーズとなる8シリーズに属するT820の名称を付与したのか不明です。

 

CPU性能に関しては1基のCortex-A76が最大2.55GHzから最大2.70GHzに上昇し、それを表すように性能が向上しているので瞬間的な処理を行う際にT820は優位点があるでしょう。GPU性能は100MHz上昇していますが、Mali-G57 MP4で共通なのでアプリの設定の段階をひとつ上げることは出来ますが、設定を最大まで上昇させるとカクつきなどが出ると思います。

 

UNISOC T820を搭載したnubia Neo 5Gは主に東南アジア市場で販売されており、価格はタイ市場では6,999バーツ (約29,000円)に設定されています。容量は8GB+256GBモデルのみです。