サムスン電子の3nmプロセスの歩留まりが最大70%まで上昇、一方でTSMCは歩留まりの確保に苦戦との報道

サムスン電子の3nmプロセスの歩留まりが最大70%まで上昇、一方でTSMCは歩留まりの確保に苦戦との報道

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サムスン電子が最先端プロセスとなる3nmプロセスの歩留まりが最大70%に達し、競合他社のTSMCよりも高い可能性があると韓国のメディアが報じました。

 

同メディアは、サムスン電子が最近発表した新しい報告書で、同社の次世代プロセスの3nmプロセスの歩留まりが60%から70%に達したと報告されていたと報じました。同社の3nmプロセスはSF3E(旧3GAE)とSF3(3GAP)がありますが、おそらくは前者のSF3Eの歩留まりが最大70%に達したと思います。

 

サムスン電子は昨年の7月に、TSMCに先立ってGAA構造を採用した3nmプロセスの量産を発表しましたが、直後に20%に満たない歩留まりが報告されました。業界初の3nmプロセスなので大きな注目を集めましたが、この低すぎる歩留まりが報じられると風向きが変わり、歩留まりの改善には時間がかかるだろうと予測されました。

 

同社は前の世代となる4nmプロセスでも同様に歩留まりの確保に困難を極め、Qualcommが高性能なSnapdragon 8+ Gen 1とSnapdragon 8 Gen 2をTSMCで製造を行うと決めてしまった原因のひとつでもあります。実際にこれらの製品は過度な発熱や過度な性能低下が見られず、過去の悪い印象を吹き飛ばし、大成功を収めています。

 

現在、サムスン電子は3nmプロセスをどのような製品に採用するか明らかにしていませんが、品質検証のためにさまざまな顧客に3nmのプロトタイプを送ったと報告されています。このプロトタイプの完成度によってファブレス企業がサムスン電子の3nmプロセスを採用するかどうかを検証するため、サムスン電子にとっては将来を決める非常に大事なものです。

 

一方で競合他社のTSMSは昨年の末に3nmプロセスの量産を開始しましたが、まだ一定レベルの歩留まりを確保していないことが報告されています。そのため、TSMCが早い時期に3nmプロセスを採用するAppleのA17 BionicやM3の需要を満たさない場合、サムスン電子の3nmプロセスの採用を考慮するかもしれないとの見通しも出ています。

 

また、TSMCの3nmプロセスのウェーハは2万ドル(約272万円)に達するとの噂があり、サムスン電子の3nmプロセスが高い歩留まりを発揮したことで、QualcommやMediaTekが同社の3nmプロセスを利用しながら、TSMCの3nmプロセスも利用してより良いウェーハの供給価格を生み出す戦略に動き出すことも可能になるとの分析も報告されています。そして、この高価格なウェーハを巡ってAppleが採用する製品の選択をめぐって躊躇しているとのニュースも報告されており、少しだけ半導体業界の動きが活発になってきています。

 

サムスン電子の3nmプロセスは従来のFinFET構造ではなくGAA構造を採用しており、FinFETと比較して性能、消費電力、面積の改善が大きく期待できます。一方でTSMCの3nmプロセスはFinFET構造を採用しており、GAA構造を採用するのは2nmプロセスからと発表されています。

 

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