台湾のMediaTekは2023年4月28日、新製品としてDimensity 8020を発表しました。先に結論を申し上げると、この製品は過去に発表した製品のリネーム品となっています。
名称 | Dimensity 8020 | Dimensity 1100 |
CPU | 4x Cortex-A78
4x Cortex-A55 |
4x Cortex-A78
4x Cortex-A55 |
動作周波数 | 2.60GHz+2.00GHz | 2.60GHz+2.00GHz |
GPU | Mali-G77 MC9
(HyperEngine 3.0) |
Mali-G77 MC9
(HyperEngine 3.0) |
動作周波数 | ? | 836MHz |
NPU/DSP | APU 570 | APU 3.0 |
カメラ | 1億800万画素 or 3200万画素+1600万画素 | 1億800万画素 or 3200万画素+1600万画素 |
リフレッシュレート | 90Hz(QHD+)
144Hz(FHD+) |
90Hz(QHD+)
144Hz(FHD+) |
エンコード/デコード | Encode: 4K@60fps H.265, H.264
Decode: 4K@60fps H.265, H.264, VP-9, AV1 |
Encode: 4K@60fps H.265, H.264
Decode: 4K@60fps H.265, H.264, VP-9, AV1 |
RAM | LPDDR4X(2133MHz) | LPDDR4X(2133MHz) |
ストレージ | UFS 3.1 | UFS 3.1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 6 (11ax) | Wi-Fi 6 (11ax) |
Bluetooth | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 5.2 |
位置情報 | GPS, BeiDou, Glonass, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, BeiDou, Glonass, Galileo, QZSS, NavIC |
通信 | 統合: 5G Modem
Sub-6GHz (DL: 4.7Gbps/UL: 2.5Gbps) |
統合: 5G Modem
Sub-6GHz (DL: 4.7Gbps/UL: 2.5Gbps) |
充電規格 | - | - |
製造プロセス | TSMC 6nm N6 | TSMC 6nm N6 |
型番 | MT6891_Z | MT6891 |
Dimensity 8020の主なスペックは、製造プロセスはTSMC 6nm N6、CPUは2.60GHzで動作するCortex-A78を4基、2.00GHzで動作するCortex-A55を4基の4+4構成、GPUはMali-G77 MC9、RAM規格はLPDDR4X、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は5Gに対応しSub-6GHz帯をサポート、この他にWi-Fi 6、Bluetooth 5.2に対応します。
Dimensity 8020はDimensity 1100のリネーム品ですが、型番がまだ確証は持てませんが少し異なっていることがわかっており、まったく同じ製品ではない可能性がほんのわずかですがあります。ただ、製品を構成する基本的なスペックは同じですので、性能が劇的に変わるというのはなさそうです。
名称上はDimensity 8000の上位製品になりますが、製造プロセス、CPU、GPU、RAM規格などのさまざまな点で劣っており、奇妙な名称を採用した製品となっています。ただ、残念ながら奇妙な名称を採用するのはこれが初めてではありませんので、自分でスペックをしっかりと比較をして搭載した製品を購入する必要があります。
製造プロセスはTSMCの6nmプロセスに基づくN6を採用しており、先端プロセスで製造された製品となっています。ただ、Dimensity 8000はTSMCの5nmプロセスに基づくN5で製造されているため、名称では上の製品なのに製造プロセスは古いものを採用しています。
CPUはCortex-A78とCortec-A55を組み合わせ、高性能側は4基、高効率側も4基の4+4構成を採用しています。これに関してはDimensity 8000と同じ構成ですが、クロック数が異なっており、Dimensity 8020は2.60GHz、Dimensity 8000は2.75GHzに設定されているため、確実に後者の性能が優れます。
GPUはMali-G77 MC9を採用し、クロック数は不明ですが、もしDimensity 1100とまったく同じであれば836MHzとなります。Dimensity 8000と比較した場合は、わずかにDimensity 8020が劣る性能となり、CPU性能とGPU性能ともに下に位置するのに名称は上に位置している状態となります。
MediaTekは先月からリネーム戦略を行っており、過去に発表した製品にDimensity 6020やDimensity 7020の名称を付与して新しい製品に見せています。このリネーム戦略によってわかりやすくなるといいのですが、残念ながら今回の製品のように性能が劣っているのに名称では上に位置するような現象が発生しているので、私個人の意見ですがあまりうれしくありません。
Dimensity 8020はHonorが中国市場向けに発表したHONOR Pad V8が初搭載機として発表されています。販売は2023年5月8日で、価格は8GB+128GBモデルが1899元(約37,500円)、8GB+256GBモデルが1999元(約39,500円)に設定されています。