MediaTekのDimensity 9200はLPDDR5X RAMをサポートしていますが、現時点では多くの製品がLPDDR5 RAMを搭載しています。そのため、RAM規格の違いによる性能の差がわかりやすいので、vivo X90とvivo X90 Proを使ってその性能の差を簡単にですが比較します。
比較に使用するvivo X90とvivo X90 Proは中国市場向けの製品で、RAM容量は12GB、内蔵ストレージ容量は512GBを採用しています。この容量でないと、vivo X90 ProのRAM規格がLPDDR5Xにならないためです。
Dimensity 9200の主なスペックは、製造プロセスがTSMC 4nm N4P、CPUが3.05GHzで動作するCortex-X3を1基、2.85GHzで動作するCortex-A715を3基、1.80GHzで動作するCortex-A510 Refreshedが4基の1+3+4構成、GPUは981MHzで動作するImmortalis-G715 MC11、RAM規格はLPDDR5Xをサポート、内蔵ストレージ規格はUFS 4.0をサポートしMulti-Circular Queue(MCQ)と呼ばれる技術も採用、5G通信はSub-6GHz帯とmmWaveに対応、Wi-Fi 7 Ready、Bluetooth 5.3に対応します。
記事執筆時で、Dimensity 9200を搭載した製品はvivo X90、vivo X90 Proと少なく、Qualcommと大きな差をつけられている状態です。
性能の差はGPUに現れており、LPDDR5X RAMを搭載したvivo X90 Proは556,279点、LPDDR5 RAMを搭載したvivo X90は505,358点となり、約50,000点の差が発生しました。この差は競合他社ですがSnapdragon 888 5GとSnapdragon 870 5Gの差で、1世代くらい性能の差が出ていることになります。
ただ、昨年の非常に優れたSoCのSnapdragon 8+ Gen 1のGPU性能が470,000点程度なので、それよりは上回っています。そのため、LPDDR5 RAMではDimensity 9200の本当の性能を発揮していないだけで、2023年のSoCとしてはふさわしい性能を発揮しています。高スペックな製品が欲しくてたまらない人以外は、あまり気にする必要はないかもしれません。
当然、RAM規格が異なるのでMEM性能でも差が発生していますが、GPU性能ほどの差ではないので、今回は差が出ていると結論づけるだけで詳細な言及は避けます。
RAM規格が新しくなることの意義が今回の比較でわかっていただければうれしいです。そのため、先日発表されたSK hynixのLPDDR5T規格のDRAMも喜ぶべき技術革新で、旗艦製品にとってはさまざまな部分が新しくなることは非常に大切です。
そして、旗艦製品向けに開発した技術が数年後にはミドルレンジ帯の製品に採用されるので、あなたがより快適さを求めるのであれば新しい技術を否定しないようにしてほしいと思います。当然、オーバースペックな技術もあるので、それに関しては否定はせずに「私には必要ない」と認識し、それが採用されていない製品を選べば満足できると思います。