中国市場向けのRedmi Note 12 Pro系列が初搭載したMediaTekのDimensity 1080(型番: MT6877TT)のAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5の性能が判明しました。
今回の性能はあくまでもピーク時のものを表しており、発揮できる性能の安定性や、消費電力あたりの性能を考慮していないことは注意してください。また、同時に、通信の安定性に関しても考慮していませんので、あくまでも製品のピーク時の性能で比較していることを理解してください。
Dimensity 1080は2022年10月に発表された非常に新しい製品で、MediaTekはDimensity 920の後継製品と公式に発表しています。名称が近いDimensity 930が2022年5月に発表されていますが、こちらは残念ながら単独の製品として成立しています。
Dimensity 1080の主な仕様は、製造プロセスがTSMC 6nm N6、CPUは2.60GHzのCortex-A78を2基、2.00GHzのCortex-A55を6基の2+6構成、GPUはMali-G68 MC4を採用し、動作周波数は不明です。
CPUはCortex-A78とCortex-A55を組み合わせており、動作周波数はDimensity 920と比較してbig側のCortex-A78が0.1GHz上昇しました。
GPUはMali-G68 MC4を採用していますが、動作周波数は現在では不明です。Kernel Sourceを見ていないので確たる証拠があるわけではありませんが、発揮された性能を鑑みると従来製品の950MHzと同じ可能性が高いと考えています。
プロセス技術はTSMC 6nm N6を採用しており、6nmプロセスで製造された製品です。こちらに関しては従来製品と同じ製造プロセスなので、この部分による差は発生しにくいと考えています。
Dimensity 1080を搭載したRedmi Note 12 ProのAnTuTu Benchmark v9の性能は、CPU性能が142,524点、GPU性能が133,457点、MEM性能が100,246点、UX性能が137,978点で、総合性能は514,205点となりました。
Dimensity 920と比較すると、CPU性能はわずかに優位、GPU性能はわずかに劣位となり、正直なところ、そんなに大きな性能差はありません。なので、まとめでも記載しますが、性能だけを考えるのであれば、どちらを選んでも問題ないと思います。
CPU性能でわずかに優位に立った理由は、Cortex-A78の動作周波数が向上したからですが、積載数は「2」、動作周波数の向上幅は「0.1GHz」と微々たる差に収まる範囲なので、大きな差は発生しませんでした。
GPU性能でわずかに劣位に経った理由は、動作周波数が同じ可能性を秘めています。その理由は、この性能はDimensity 920を搭載した製品でも発揮する場合があるためです。
Geekbench 5におけるDimensity 1080の性能は、シングルコア性能が834点、マルチコア性能が2,321点となりました。記事執筆時は755点、2,209点を採用していましたが、後日検索し直してみると、より優れた性能を発見したため、こちらを新たに採用して比較を行います。
シングルコア性能は2.60GHzのCortex-A78の性能を表しており、2.50GHzのCortex-A78を採用したDimensity 920よりも高い性能を発揮しました。しかし、多くの場合は750点から770点を算出するため、何が原因なのか不明ですが現在は安定度が低い状態にあります。
マルチコア性能はCortex-A78とCortex-A55の総合的な性能を表しており、動作周波数の差はCortex-A78だけなので性能差がほどんど発生しませんでしたが、Dimensity 920をわずかにですが上回ることに成功しました。しかし、こちらも2,200点から2,250点を算出する場合があり、Dimensity 900よりも低い場合があるので、やはり安定度が低い状況にあります。
安定度が低い要因は「最適化不足」が考えられますが、Redmi Note 12 Pro系列は販売をすぐそこに控えている製品なので、この点はあまり考えられません。それらを考慮するとXiaomi製品が共通して搭載しているMIUIが影響を及ぼしていると考えるのが最善ですが、こちらも確たる証拠がないので安定度が低い理由は不明です。
Dimensity 1080とDimensity 920は、今回の比較ではほとんど差がないことがわかったので、性能を考慮して搭載製品を選ぶ必要はないと思います。そのため、従来製品や後継製品という点を考慮する必要はなく、自分が製品に何を求めているかで選ぶといいでしょう。
ただ、「性能」には差はありませんが、対応する画素数には差があり、前者は2億画素、後者は1億800万画素なので、高画素なカメラを搭載した製品が欲しい場合はDimensity 1080を搭載した製品を購入するべきだと思います。しかし、この高画素の差は「あくまでも対応している」だけなので、撮影された写真がキレイなのかどうかは、チューニングを的確に行えたかどうかによって変わります。
Dimensity 1080を搭載した製品が日本市場へ参入するかという点に関しては、少し前であれば可能性はまったくないと言えましたが、最近はDimensityを採用した製品がいくつか発表されているので、可能性としてはなくはないと思います。
そのため、Dimensity 1080に関しては存在は知っている必要のある製品なので、今回の記事を見て、どの程度の性能を有しているのか理解していて欲しいと思います。