主に欧州市場で展開されるGalaxy S22とGalaxy S22+、Galaxy S22 Ultraが搭載するExynos 2200(S5E9925)のAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 5の性能が明らかになったので、Exynos 2100とSnapdragon 8 Gen 1とSnapdragon 888 5Gと比較します。
Exynos 2200の主な仕様は、プロセス技術はSamsung 4nm LPE、CPUは1xCortex-X2 2.80GHz+3xCortex-A710 2.52GHz+4xCortex-A510 1.82GHz、GPUはXclipse 920 @1306MHz、LPDDR5 RAM、UFS 3.1 Storage、5GはSub-6GHzとmmWave(対応)です。
CPUはArmv9に基づいたCortex-X2とCortex-A710とCortex-A510を、GPUはAMD RDNA 2に基づいて独自開発したXclipse 920 3WGP 6CUを搭載しています。XclipseはExynosを表す「X」と日食や月食の食を表す「Exlipse」を組み合わせた造語です。
GovernorはExynos 2100がenergy_stepでしたが、Exynos 2200はenergy_awareへ刷新されました。“aware”は「気づいている/知っている」を表す形容詞で、高効率な電力効率を実現させることを目的に名付けられたと思います。
Exynos 2200を搭載したGalaxy S22 UltraのAnTuTu Benchmark v9の性能は、CPU性能が229,909点、GPU性能は408,168点、MEM性能が166,127点、UX性能が161,148点で総合性能は965,352点となりました。Snapdragon 8 Gen 1とDimensity 9000は100万点を超える・超えることが確定していますが、残念ながらExynos 2200は大台に乗れませんでした。
Exynos 2100と比較してCPU性能は約12.5%向上、GPU性能は約41.6%向上しました。前述の通りGovernorがenergy_stepからenergy_awareに刷新されているので単純な比較は出来ませんが、SoCの根幹とも言えるCPUとGPUの性能が向上し、特にGPUに目覚ましい成長が見えるのでAMD RDNA 2に基づいたXclipse 920の採用は大きな意味がありそうです。
Exynos 2200のGeekbench 5での性能は、シングルコア性能が1,158点でマルチコア性能が3,568点となりました。Exynos 2100と比較してシングルコア性能は約9.7%、マルチコア性能は約7.7%の成長に成功しました。
シングルコア性能に関してはSnapdragon 8 Gen 1も苦慮している様子が見受けられ、ArmはCortex-X1からCortex-X2の性能は16%向上と発表していますが、Exynos 2200は約9.7%でSnapdragon 8 Gen 1は約12.1%の成長のため、思うような成長ができていない現状です。
2021年発表のGalaxy S21 5GとGalaxy S21+ 5G、Galaxy S21 Ultra 5Gが採用したExynos 2100とSnapdragon 888 5Gは明確な差が存在したので、Exynos 2100を搭載した3製品はハズレ扱いを受けていました。
より優れたものが求められるハイエンド市場ですが今回もSnapdragon 8 Gen 1よりもExynos 2200が劣っていることが明らかになったので、欧州に居住する人々から落胆の声が聞かれます。この現象は2019年に発表されたGalaxy S10から続いているのでSamsungは早くこの状況から脱する必要があります。
日本市場ではSnapdragon 8 Gen 1が搭載される予定ですが、Galaxy S22+は投入されず、Galaxy S22とGalaxy S22 Ultraの2製品が投入される見込みです。ちなみに、昨年はNTTドコモではGalaxy S21 5G SC-51BとGalaxy S21 Ultra SC-52B、KDDIが展開するauではGalaxy S21 5G SCG09とGalaxy S21+ SCG10が販売されました。