Qualcomm Snapdragon 662を搭載したrealme 7iがインドネシア市場で発表され、様々なレビュワーによって先行レビューが行われたので主要なベンチマークソフトとなるAnTuTu Benchmark v8とGeekbench v5のスコアが明らかになりました。そのため、同じSnapdragon 6シリーズに属するSnapdragon 675、Snapdragon 670、Snapdragon 665、Snapdragon 660と簡単に比較をしたいと思います。今回の比較はあくまでもベンチマークスコアを用いていますので、実使用感に関するソフトウェアの安定度や通信の安定性、ゲーム体験やバッテリーの持ちは考慮していないことを理解してください。
Snapdragon 662のスペックはSamsung製11nm LPP製造プロセス、CPUはKryo 260(4xARM Cortex-A73+4xARM Cortex-A53)のオクタコア構成で周波数は2.0GHz+1.8GHz、GPUはAdreno 610 @950MHz、RAMはLPDDR4Xに対応、最大通信速度は下りが390Mbpsで上りが150Mbpsとなっています。Snapdragon 665とCPUとGPUは同じスペックとなっていますが、DSP(AI機能)はSnapdragon 665が優位、ISP(対応するカメラ)はSnapdragon 662が優位、通信速度はSnapdragon 665が優位、BluetoothとWi-FiはSnapdragon 662が優位となっていますので評価の難しいSoCとなっています。カメラの性能やWi-FiやBluetoothの性能はSnapdragon 662の方が優れていますので、2020年において求められている性能余すことなく発揮できるのはSnapdragon 665ではなくSnapdragon 662だと考えています。
Snapdragon 662のAnTuTu Benchmark v8スコアはCPU性能が70,282点、GPU性能が34,220点、MEM性能が44,050点、UX性能が33,454点で総合性能が182,006点という結果になりました。同一のCPUとGPUを採用しているSnapdragon 665とスコアにほとんど変化がありません。
AnTuTu Benchmark v8ではMEM性能がRAMと内蔵ストレージの容量によって数値が変動、UX性能がリフレッシュレートによって数値が変動するため、CPU性能とGPU性能を抽出したものを作成しました。これを見るとSnapdragon 665とSnapdragon 662に差は全く無く、どちらも同じ性能を有していることがわかります。
この他CPU性能はSnapdragon 675が優位で、GPU性能がSnapdragon 670が優位になっており、一方でSnapdragon 670のCPU性能はSnapdragon 665やSnapdragon 662と同水準、Snapdragon 675のGPUはSnapdragon 665やSnapdragon 662と同水準になっています。そのため、CPU性能を重視する場合はSnapdragon 675を、GPU性能を重視するのであればSnapdragon 670を、全ての性能をそつなくこなしたいのであればSnapdragon 665とSnapdragon 662が選択肢になるでしょう。
CPU性能を計測するのに長けているGeekbench v5でのSnapdragon 662の性能は、シングルコア性能が310点でマルチコア性能が1,342点となっており、Snapdragon 665と差はほとんどありません。Snapdragon 662と比較してSnapdragon 675とSnapdragon 670とSnapdragon 660のシングルコア性能が高いのは、Snapdragon 675には高性能な2.0GHzのARM Cortex-A76が、Snapdragon 670には高性能な2.2GHzのARM Cortex-A75が採用されていることが挙げられ、Snapdragon 660はSnapdragon 662よりも周波数が0.2GHz高いことが挙げられます。
Snapdragon 662とSnapdragon 665のCPUとGPUの差はほとんどありませんが、Snapdragon 662は対応しているカメラの画素数が高いことやBluetoothやWi-Fiなどの無線通信技術に優れている点がありますので、2020年に求められるものを搭載したSoCです。更にSnapdragon 662はインド市場向けに開発されたということもあってインドが開発したNavIC 航法衛星システム(NavIC/ナブアイシー)に対応しているので、インド市場においては非常に効果のあるものとなっています。CPUとGPUの差はほとんどないので、Snapdragon 662を搭載しているから購入をやめたり、Snapdragon 665を搭載しているから購入をするといった簡単な見方をしないで、ブランド、ディスプレイ、バッテリーの容量、価格など様々な点を考慮して選ぶほうが良いでしょう。