5G通信に対応したミドルハイ帯プロセッサー(プラットフォーム)として発表されている、MediaTek Dimensity 1000L、Samsung Exynos 980、Qualcomm Snapdragon 765G 5GをAnTuTu BenchmarkとGeekbenchを用いて比較を行います。
スペック表はこのようになります。それぞれの特徴は、Dimensity 1000LはCPUにARM Cortex-A77を4コアでGPUにARM Mali-G77 MC7(7コア)、Exynos 980はCPUにARM Cortex-A77を2コアでGPUにARM Mali-G75 MP5(5コア)、Snapdragon 765G 5Gは2.4GHzのARM Cortex-A76を1コア、2.2GHzのARM Cortex-A76を1コア、GPUは独自開発のAdreno 620を採用しています。
5G通信に関してはSnapdragon 765G 5GのみmmWaveに対応し、Dimensity 1000LとExynos 980はSub-6GHzのみに対応しています。製造プロセスはExynos 980のみ8nmを採用しています。
AnTuTu Benchmark v8での結果です。総合性能はDimensity 1000Lが428,683点、Exynos 980が334,211点、Snapdragon 765G 5Gが320,822点という結果になりました。
全ての性能でDimensity 1000Lが圧勝している形になっており、この性能はExynos 9820やHuawei Kirin 980に近いです。この製品がミドルハイ帯として発表され、供給されている事実はQualcommやSamsung、Huaweiによって驚異でしょう。
Exynos 980とSnapdragon 765G 5GはCPU性能はExynos 980が、GPUはSnapdragon 765G 5Gが上回っています。
Geekbench v5での結果です。Intel Core-i3-8100を表示しているのは、Geekbench v5がDell Precision 3430のシングルコア性能1,000点を基準にしているためです。
シングルコア性能とマルチコア性能ともにDimensity 1000Lがひとつ抜き出ている状態で、敵無しと言えるでしょう。マルチコア性能でSnapdragon 765G 5GがExynos 980を上回っているのは、スペック表では1.8GHzとなっていますが厳密には1804MHzと1794MHzなので、周波数の高いSnapdragon 765G 5Gが上回ります。
頂点に立ち続けてきたQualcomm Snapdragonですが、2020年はその天下が終わりを迎えるときが来ました。ただ、CPUとGPUの性能では及んでいませんが、通信面ではmmWaveに対応しているという唯一無二のメリットがありますので、先進国ではSnapdragon 765G 5Gを採用したスマートフォンの方が喜ばれると考えています。
単純な性能としてはDimensity 1000LとExynos 980が上回っていますので、“一般”の利用者はより性能の高い両SoC搭載機を購入するほうが満足できるでしょう。