2017年5月に発表されたミドルレンジモデル向けプラットフォーム「Qualcomm Snapdragon 660 Mobile Platform」には高クロック版と低クロック版が存在していることがわかりました。便宜上高クロック版と低クロック版と書いていますが、正しくは通常モデルと低クロック版の2種類です。当然クロック数が異なっているので性能に差が出ており、スペック表にSnapdragon 660が書かれていることだけを確認して購入するとがっかりする可能性が出てくるため、今回は高クロック版と低クロック版の差についてベンチマークを用いて明らかにしたいと思います。
あくまでもベンチマークの数値となっていますので、カスタムUIのアニメーションを含めた実使用感に関して考慮していないことをご了承ください。
スペック表は上図にようになります。Snapdragon 660の話なのにSnapdragon 636が存在しているのは、Snapdragon 636はSnapdragon 660の下位方向のマイナーチェンジモデルとして開発されているからです。Snapdragon 636が発表された当初、スマートフォン内部での型番にSnapdragon 660であることを表すsdm660と書かれており、Geekbenchでもsdm660として認識されるため、スコアを見て判断をしないといけない時がありました。つまり、簡単に言うとSnapdragon 636が並んでいるのはおかしくありません。
高クロック版と低クロック版の大きな違いはbigコア、つまりA73のクロック数が異なっている点です。Snapdragon 660搭載スマートフォンを購入する際に気をつけるべき点は2.2GHzなのか1.95GHzなのかです。一部の販売サイトでは低クロック版のクロック数を2.0GHzと記載するところもありますが、2.2GHzではない場合はどの数値でも低クロック版と認識すればすぐに判別できると思います。
更に、低クロック版のGPUのクロック数が不明になっているのは後述するベンチマークで数値に差が出ており、クロック数が異なっている可能性があると考えているためです。
本日1月9日に発表されたRedmi Note 7も今回の比較に入れています。Redmi Note 7は高クロック版のSnapdragon 660を搭載しています。
総合性能では高クロック版と低クロック版で約9,000点の差が生まれており、これは何回も計測しても絶対に埋まることのない差でしょう。購入したSnapdragon 660搭載機でAnTuTuベンチマークを使って計測している時に、何回やっても13万点台の場合は必ず低クロック版です。
やはりCPUのクロック数が異なるのでCPU性能では約5,000点の差が生まれており、エンコードや単純処理を2機種並べて行うと差があると実感できるはずです。更にGPU性能でも差が生まれており、その差は約3,000点。この文章を書いている間に多数の高クロック版と低クロック版のベンチマークスコアを見ましたが、低クロック版で30,000点を超えているものはありませんでした。なので、先程のスペック表でGPUのクロック数が異なっている可能性があると考えていると記述しました。
やはりA73のクロック数が2.2GHzと1.95GHzで異なっているのでシングルコア性能、マルチコア性能ともに差が生まれています。高クロック版は低クロック版に比べてシングルコア性能は約12%、マルチコア性能は5%の性能差があり、この差は全く別のSoCと見ていいレベルで差があります。
Snapdragon 660搭載機を購入する前にスペックを隅まで確認し、特にクロック数には目を光らせる用にしましょう。2.2GHzとそれ以外、この認識を覚えていると違いがわかると思います。
ちなみに日本で販売されているOPPO R17 Neoは低クロック版、日本市場へ挑戦する時に投入したOPPO R11sは高クロック版、SHARP AQUOS R Compact SH-M06は高クロック版です。