realme narzo 50A Primeが初搭載したUNISOC T612のAnTuTu BenchmarkとGeekbenchの性能が明らかになったので、同じくUNISOC製のT618とT616、T610、T606と比較します。
AnTuTu Benchmarkでの比較に注意点があり、RAM 6GB未満の製品で比較を行っているため、GPU性能がLite版になっています。そのため、RAM 6GB以上の製品で計測した際の通常のGPU性能と比較が出来ないので気をつけてください。
UNISOC T612の主な仕様は、プロセス技術はTSMC 12FFC、CPUは2xCortex-A75 1.82GHz+6xCortex-A55 1.82GHz、GPUはMali-G57 MP1 @650MHz、RAM規格はLPDDR4X(1600MHz)、内蔵ストレージ規格はUFS 2.1、5G通信に非対応で4G通信に対応しています。
CPUの動作周波数は1.82GHz+1.82GHzで、T616(1.95GHz+1.82GHz)とT606(1.61GHz+1.61GHz)の間に位置し、T610(1.82GHz+1.82GHz)と同じ動作周波数を採用しています。
GPUはT616とT606と同じくMali-G57 MP1を採用し、動作周波数は750MHz、650MHz、650MHzに設定されています。T616とT612とT606の関係は、規格適合品がT616、選別品がT612、更にその次の選別品がT606なので、基本的に同じ構成を採用しています。
T612とT610の差はGPUで、Mali-G57 MP1 @650MHzとMali-G52 MP2 @614.4MHzで優劣の判断ができます。ArmはMali-G57はMali-G52から30%性能向上したと発表しているため、動作周波数とコア数を考慮するとT610が優れている可能性が高いです。
UNISOC T612のAnTuTu Benchmark v9の性能は、CPU性能が67,189点、GPU性能(Lite)が22,107点、MEM性能が59,038点、UX性能が58,612点で総合性能は206,946点です。
総合性能はT616、T618、T612、T610、T606の順番なので名称通りの性能を発揮しているように見えますが、MEM性能とUX性能を除いてCPU性能とGPU性能を合算するとT618、T610、T616、T612、T606の順番になるので、細かく見ると名称通りではないわかりにくい命名方式を採用していると理解できます。
T616と比較すると、CPU性能とGPU性能ともにT616が優れました。CPUは1.95GHz+1.82GHzと1.82GHz+1.82GHzを比較するため、動作周波数通りの差が発生しました。GPUもMali-G57 MP1を共通して採用し、動作周波数が750MHzと650MHzで異なるため、CPUと同様に動作周波数通りの差が発生し、T616とT612は性能の優劣が名称で判断できます。
T610と比較すると、CPU性能は同等、GPU性能はT610が優れました。CPUは1.82GHz+1.82GHzで共通なので同等の性能ですが、GPUは前述の通りMali-G52 MP2 @614.4MHzとMali-G57 MP1 @650MHzを比較するため、動作周波数が近くて性能向上幅が30%程度だとコア数の多いほうが性能が優れます。これはT612とT610だけでなく、競合他社でもたびたび発生しているため、Mali-G57とMali-G52を比較するのではなく、動作周波数とコア数をよく見る必要があります。
Geekbench 5での性能は、シングルコア性能が345点、マルチコア性能が1,321点でした。Geekbench 5のシングルコア性能は2017年発表のIntel Core i3-8100の1,000点を基準としています。
T616と比較すると、シングルコア性能は1.95GHzと1.82GHzを比較するので約7%の差が発生し、マルチコア性能は1.95GHz+1.82GHzと1.82GHz+1.82GHzを比較するので、こちらも約4%の差が発生しました。差はありますが、小さなものなのであまり気にしなくてもいいと思います。
T610と比較すると、シングルコア性能は1.82GHzと1.82GHzを比較するので差はほぼありません。マルチコア性能においても1.82GHz+1.82GHzで共通なので、こちらも差はありません。
名称で上に位置するT616と比較するとT612は正しく下にいますが、T610と比較するとGPU性能はT610が優れており、T612はT616とT610の間に位置していないと感じます。そのため、T612とT610だから無条件でT612が優れていると判断すると、後々に落胆する可能性があるので、後悔しないためには正しく性能を知る必要があります。
そして、今回の比較に影響しない部分に差があり、ISP性能が異なっています。T612は5000万画素対応、T610が3200万画素対応を謳っているため、同じ5000万画素の製品の場合はT612搭載機のほうがややきれいに撮影できる場合があります。つまり、CPUやGPUの性能はT610が、ISPの性能はT612が優れますので、自分が何を求めるかによってどちらを選ぶべきか変わります。