UNISOC SC9863A1のベンチマークスコアが判明、ベースモデルのSC9863Aと比較

UNISOC SC9863A1のベンチマークスコアが判明、ベースモデルのSC9863Aと比較

2023年3月29日
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UNISOC SC9863A1のAnTuTu Benchmark v9とGeekbench 6の性能が明らかになりました。そのため、同社の製品のSC9863AとT606と比較します。

 

今回の比較で言及する「性能」はピーク時の性能を意味しており、安定して高い性能を継続して発揮する安定性については考慮していないので注意してください。ちなみに、私見ですが、安定性を知りたい場合は搭載した製品を購入する以外にないと思っています。

 

また、AnTuTu Benchmarkにおいては、開発を行っているAnTuTuがiOS搭載機とAndroid搭載機で発揮された性能を比較するのは不適当だと声明を発表しており、例えば、iOS搭載製品が100万点、Android搭載製品が200万点であったとしても優劣をつけることは出来ません。Geekbenchに関しては公式がクロスプラットフォームでの比較を認めていますので、発揮された性能を比較しても問題ありません。

 

SC9863A1の主なスペックは、製造プロセスはTSMC 22nm 22ULP、CPUは1.60GHzのCortex-A55を4基、1.20GHzのCortex-A55を4基の4+4構成、GPUはPowerVR GE8322 @550MHz、RAM規格はLPDDR3、内蔵ストレージ規格はeMMC 5.1、4G通信に対応し、Wi-Fi 4、Bluetooth 4.2に対応しています。

 

SC9863Aとの違いは製造プロセスのみで、28nmから22nmへ微細化しています。TSMCによると28nmから22nmは30%以上の高速化と30%以上の電力削減を実現したようです。ただ、SC9863A1とSC9863AはSoCを構成するものにまったく違いがありませんので、似た性能を発揮すると考えています。

 

SC9863A1のAnTuTu Benchmark v9の性能は、CPU性能が30,216点、GPU性能が13,717点、MEM性能が30,922点、UX性能が29,733点で、総合性能は104,588点となりました。

 

SC9863Aの性能と比較すると、CPU性能は微増、GPU性能はほぼ同じと分かりました。ただ、CPU性能も誤差の範囲に収まるので、多少電力効率は良くなったと思いますが、劇的に改善したとは言えない性能です。

 

SC9863A1とSC9863Aは発展途上国や使用用途が限られている老人向けのエントリー機に搭載されるSoCなので、当然と言えば当然ですが低い性能が発揮されています。そのため、比較的低負荷なWebを閲覧したり、YouTubeを閲覧したり、SNSを閲覧しても何か引っかかりを覚える操作感になると思うので、すべての人におすすめは出来ません。

 

Geekbench 6には基準点があり、2022年1月に発表されたIntel Core i7-12700が発揮する性能が2,500点に設定されています。これを基準に倍の計測時間あれば1,250点、半分の計測時間であれば5,000点となります。

 

SC9863A1のGeekbench 6の性能は、シングルコア性能が128点、マルチコア性能が477点となりました。シングルコア性能に限っては現時点でのAndroid陣営での最高性能を誇るSnapdragon 8 Gen 2が2,000点を超えているので、それと比較したらかなり低いことがわかります。

 

この性能ではAnTuTu v9での考察と同じようにすべての操作で何かしらの不満を感じると思うので、操作の緩慢さに気づかないAndroidに触れたことのない人や、電話やメールなどの割り切った仕様を目的としている人以外はおすすめできません。

 

SC9863A1はSC9863Aから製造プロセスが28nmから22nmへ微細化しましたが、性能の向上はほぼ見受けられませんでした。というのも、CPUが共通して高効率なCortex-A55で構成されていること、22nmへ微細化しましたが5nmなどの最先端なプロセスノードではなく依然としてレガシーなプロセスノードを採用していることが関係しており、性能向上は限定的になったと考えています。

 

NTTドコモやau、SoftBank、楽天モバイルからSC9863A1を搭載した製品が発表される可能性はほぼありませんが、日本のアマゾンなどで搭載した製品が販売され、お手頃な価格に設定されているので購入しようと考えている人がいるかもしれませんが、少々価格が高くなってもCPUにCortex-A75を採用したUNISOC T600シリーズの製品にしたほうが無難かと思います。

 

少し高い価格の製品にすると、SC9863A1を搭載した製品との操作感が段違いで、ディスプレイやオーディオなどのその他の部分の性能も高くなるため、自分の生活を少しでも良くするのであれば、少しだけ頑張るのも大事だと思います。

 

 

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