TSMCが3nmに基づく「N3」の量産を2022年9月に開始する可能性があると台湾の媒体の工商時報が報じました。TSMCでは現在、5nmに基づく「N5」、4nmに基づく「N4」の量産を行っています。
同媒体は、「N3」の技術研究開発と試作が完了した後、第3四半期の後半に生産量が大幅に増加し始めると予想しています。その根拠は「N3」を採用する見込みの企業が、TSMCの「N3」の試作から判断すると、9月に量産を開始し、初期の歩留まりは5nmに基づく「N5」の初期段階よりも優れていると予想したためとしています。
TSMCのCEOの魏哲家(C.C.Wei)氏は、最近の法人説明会で「TSMCの“N3”の進捗状況は予想通りで、2022年後半に良好な歩留まりで大量生産される」と述べています。この「N3」はHPC(High Performance Computing)やスマートフォン向けが牽引し、2023年に量産が安定し、2023年前半に収益に貢献すると見られています。
また、TSMCが「N3」を最適化した「N3E」の研究開発成果は予想以上に優れており、「N3E」は「N3」と比較して性能、消費電力、歩留まりが向上します。2023年に量産を開始する予定の「N3E」の主要な顧客はAppleとIntelの2社が挙がっています。
競合会社のひとつのSamsung Foundryは最近、3nmの大量生産に成功したと発表し、業界で初めてGAA(Gate-All-Around)構造を採用して製造・出荷を行った半導体企業であると発表しました。TSMCの3nmは依然としてFinFET構造を採用しますが、革新的なTSMC FINFLEX技術を採用し、通常のFinFET構造よりも優れたPPA(性能、消費電力、面積)を提供できると発表しています。
2022年-2023年はSamsung Foundryの3nm GAA、TSMCの3nm FinFETがしのぎを削る構図となりそうです。しかし、Snapdragon 8 Gen 2は「N4」を採用する予定なので、Android陣営が「N3」の技術を享受するのはもう少し先になると思います。