HUAWEI Mate 60シリーズとHUAWEI Mate X5が搭載したKirin 9000sを量産したSMICですが、技術的には7nmプロセスが限界なのではないかと報告されています。
台湾メディアの経済日報によると、HUAWEI Mate 60 Proが搭載したKirin 9000sの製造にSMICが関わっているのはほぼ確実としています。しかし、半導体業界によると、SMICにはEUV (極端紫外線)露光装置がないため、SMICの7nmプロセスはTSMCの10nmプロセスと比較して性能と密度がわずかに優れているだけで、歩留まりもそれほど良くないと分析しています。
SMICの7nmプロセスはN+1とN+2があり、それぞれLPE (Low Power Early)とLPP (Low Power Plus)とされています。Kirin 9000sの製造に使用したものは後者のN+2とされ、SMICの中でも優れた方となっています。
しかし、半導体業界の関係者は、Kirin 9000sの製造はDUV (深紫外線)露光装置のみを採用しており、この機械で7nmプロセスでの製造がまったくできないわけではありませんが、複数回の露光が必要になり、歩留まりが商業水準に達するのは非常に厳しいと指摘。Kirin 9000sを安定して供給するための歩留まりに達するには露光工程を減らす必要があるようです。
実際、SMICと同じくDUV露光装置を用いて7nmプロセスを製造した企業があり、それは今や巨大な企業となったTSMCです。A12 BionicとA13 BionicはDUV露光装置を使用した7nmプロセスで製造されており、それぞれの詳細な技術はN7とN7Pです。
しかし、機械の技術的な限界を迎え、HUAWEI Mate 30シリーズのKirin 990 5GではEUV露光装置が使用されました。その後はEUV露光装置の開発・販売を手掛けるASLMによるソフトウェアとハードウェアの技術的なサポートを受けてEUV露光装置が更新され、TSMCは3nmプロセスまで進化させることが出来るようになりました。
そういった理由によって業界関係者は現在のDUV露光装置の物理的な限界は7nmプロセスとしており、SMICの7nmプロセスの歩留まりはかなり低い可能性があるとしています。つまり、SMICがEUV露光装置を入手、もしくは自前で開発することが出来ない限りは7nmプロセスの量産はもちろんのこと、5nmプロセスや3nmプロセスへの進出は難しいとしています。