Exynos 1080のベンチマークスコアが判明、VS. Exynos 990、Exynos 980、Snapdragon 765G 5G、Dimensity 820

Exynos 1080のベンチマークスコアが判明、VS. Exynos 990、Exynos 980、Snapdragon 765G 5G、Dimensity 820

2021年1月13日
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Samsungが中国市場向けに開発したミドルレンジ市場向けExynos SoCとなるSamsung Exynos 1080を搭載したvivo X60とvivo X60 Proが発表・販売されたためベンチマークスコアが判明しました。今回判明したベンチマークスコアを、2020年のハイエンド製品となるExynos 990、2020年のミドルレンジ製品となるExynos 980、Snapdragon 765G 5G、Dimensity 820と比較します。Snapdragon 765G 5Gには上位モデルとしてSnapdragon 768G 5Gが存在していますが搭載製品が1つしかないので参考にならないのでこちらを採用、Dimensity 820はRedmi 10X 5G/10X Pro 5Gが採用しXiaomi以外は採用していませんが、vivoが搭載製品を開発中であることが判明したため採用しています。

 

今回の比較はAnTuTu Benchmark v8とGeekbench 5.2.5を用いて行うため、電力効率やSoCの安定性、通信の安定性は考慮していないことをご理解ください。

 

Exynos 1080はミドルレンジ製品としては異例の最新商用製造プロセスとなる5nm EUV(5nm LPE)を採用しており、競合他社製品はTSMC製7nm FinFETや7nm EUV(7nm LPP)を採用していますので、高性能化と電力効率の改善に期待ができます。CPUは1xARM Cortex-A78 2.8GHz+3xARM Cortex-A78 2.6GHz+4xARM Cortex-A55のオクタコア構成を採用し、最新のCPU IPとなるARM Cortex-A78を採用しています。GPUはARM Mali-G78 MP10 @850MHzとなっており、GPUも最新のGPU IPを採用しています。

 

通信面においてはFR1で定義されているSub-6GHzとFR2で定義されているmmWaveに対応しており、ハイエンド級の通信性能を有していると考えても良いでしょう。この他RAMはLPDDR5、内蔵ストレージはUFS 3.1、Wi-Fi 6やBluetooth 5.2などスマートフォンやタブレットを構成する上で欠かせない規格では最新のものを採用しています。

 

Exynos 1080のAnTuTu Benchmark v8スコアは、CPU性能が172,900点、GPU性能が239,526点、MEM性能は100,229点、UX性能は91,280点で総合性能は603,942点という結果になりました。全ての性能においてExynos 990のスコアを上回っており、特にミドルレンジ製品はGPU性能の低さが問題視されていますがそれも難なくクリアしていますので、わずか1年でハイエンドSoCが翌年のミドルレンジSoCに性能が抜かされてしまうという状態になっています。

 

また、従来製品となるExynos 980と比較した場合、CPU性能は約47%、GPU性能は約175%の性能向上が出来ており、圧倒的な性能差が見えます。Exynos 980はDimensity 820が登場するまではミドルレンジ製品として高水準の性能を有していましたが、今度はExynos 1080の登場によって完全に過去の製品となっており、Exynos 990との比較でも記載しましたがわずか1年でここまで情勢が変わってしまうのかと驚きを隠せません。

 

CPU性能を計測するのに長けているGeekbench 5.2.5では、Exynos 1080のシングルコア性能は906点、マルチコア性能は3,344点という結果になりました。Exynos 990と比較するとシングルコア性能は2.73GHzのExynos M5と同等、マルチコア性能は大幅にExynos 1080が優勢となっており、2020年のハイエンド級のシングルコア性能に加えて、それをはるかに上回るマルチコア性能を2021年のミドルレンジ製品が有していることになります。

 

そしてExynos 980との比較ではSamsungはExynos 1080の発表時にシングルコア性能は1.5倍、マルチコア性能は2倍と発表しており、今回のGeekbench 5.2.5の性能を見るとシングルコア性能は約35%、マルチコア性能は80%の性能向上となっているため、わずかに発表とは異なる数値となっていますが向上していることは間違いなく、また、ミドルレンジ製品における成長幅は10%-25%が多いため、Exynos 980からExynos 1080への成長は異例中の異例であることは抗えない事実です。

 

日本市場においてExynos 980を搭載した製品が発表されていないため、Exynos 1080の魅力が伝わりにくいのが難点です。また、Exynos 1080は中国市場向けに開発したとSamsungによって明らかにされているので、当面はvivoが独占的に採用することが考えられ、国際市場においてもExynos 1080搭載製品が発表されるのはかなり後になるでしょう。更に日本市場におけるExynos SoC搭載製品もかなり少ないので、Exynos 1080は「何やら2020年のハイエンド製品を上回る2021年のミドルレンジ製品」とふわっとした認識で良いと考えています。