韓国のサムスン電子は、2023年2月18日に自社開発SoCの仕様を公式サイトに掲載しました。このSoCはミドルレンジ帯の製品向けに開発しており、多くの国と地域で搭載した製品が発表、販売されると予想しています。
名称 | Exynos 1380 | Exynos 1330 | Exynos 1280 |
CPU | 4x Cortex-A78
4x Cortex-A55 |
2x Cortex-A78
6x Cortex-A55 |
2x Cortex-A78
6x Cortex-A55 |
動作周波数 | 2.40GHz+2.00GHz | 2.40GHz+2.00GHz | 2.40GHz+2.00GHz |
GPU | Mali-G68 MP5 | Mali-G68 MP2 | Mali-G68 MP4 |
動作周波数 | 950MHz | ? | 897MHz |
NPU/DSP | AI Engine with NPU
(4.9 TOPS) |
- | AI Engine with NPU
(4.3 TOPS) |
カメラ | 2億画素 or 6400万画素(30fps) or 3x1600万画素(30fps) | 1億800万画素 or 3200万画素(30fps) or 2x1600万画素(30fps) | 1億800万画素 or 3200万画素(30fps) or 3x1600万画素(30fps) |
リフレッシュレート | 144Hz(FHD+) | 120Hz(FHD+) | 120Hz(FHD+) |
エンコード/デコード | Encode: 4K@30fps HEVC, H.264, VP8
Decode: 4K@30fps HEVC 10bit, H.264 10bit, VP9 |
Encode: 4K@30fps HEVC, H.264, VP8
Decode: 4K@30fps HEVC, H.264, VP8 |
Encode: 4K@30fps
Decode: 4K@30fps |
RAM | LPDDR5(3200MHz)
LPDDR4X(2133MHz) |
LPDDR5(3200MHz)
LPDDR4X(2133MHz) |
LPDDR4X(2133MHz) |
ストレージ | UFS 3.1 | UFS 3.1
UFS 2.2 |
UFS 2.2 |
Wi-Fi | Wi-Fi 6(11ax) | Wi-Fi 5(11ac) | Wi-Fi 5(11ac) |
Bluetooth | Bluetooth 5.3 | Bluetooth 5.3 | Bluetooth 5.3 |
位置情報 | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo | ? |
通信 | 統合: 5G Modem
Sub-6GHz (3.79Gbps/1.28Gbps) mmWave (3.67Gbps/0.92Gbps) LTE Cat.18/18 (1.2Gbps/211Mbps) |
統合: 5G Modem
Sub-6GHz (2.55Gbps/1.28Gbps) |
統合: 5G Modem
Sub-6GHz (2.55Gbps/1.28Gbps) mmWave (1.84Gbps/0.92Gbps) LTE Cat,18/12 (1.2Gbps/200Mbps) |
充電規格 | - | - | - |
製造プロセス | Samsung 5nm SF5E | Samsung 5nm SF5E | Samsung 5nm SF5E |
型番 | S5E8835 | S5E8535 | S5E8825 |
Exynos 1380の主なスペックは、製造プロセスはSamsung 5nm SF5E、CPUは2.40GHzで動作するCortex-A78を4基、2.00GHzで動作するCortex-A55を4基の4+4構成、GPUは950MHzで動作するMali-G68 MP5、RAM規格はLPDDR5に対応、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1に対応、通信は5GのSub-6GHz帯とmmWaveに対応、Wi-Fi 6に対応、Bluetooth 5.3に対応しています。
昨年に発表されたExynos 1280の正統な後継製品で、さまざまな部分が変更されており、多くの進化が見受けられます。詳細は後述しますが、大きく異なっているのはCPUで、この部分の性能はまったくの別物となるでしょう。
製造プロセスはExynos 1380とExynos 1280は5nmプロセスに基づくSF5Eで共通ですが、韓国メディアが報告した情報によると、この製造プロセスは製造を開始した当初よりも歩留まりや性能が改善されたようなので、Exynos 1380とExynos 1280のCPUのCortex-A78は同じ数値に設定されていますが、発揮する性能は異なる可能性があります。
CPUはArmv8に基づくCortex-A78とCortex-A55をExynos 1280と共通して採用していますが、大きく異なる点として2+6構成から4+4構成に変更されました。この変更によって、サムスン電子はExynos 1380はExynos 1280と比較して、最大で約40%の実行速度の向上を実現し、マルチコア性能は30%も向上したと発表しています。
GPUはMali-G68 MP5を採用し、Exynos 1280のMali-G68 MP4よりも積載数が多くなりました。そして、950MHzと897MHzでExynos 1380の方が数値が高く積載数も多いので、確実にExynos 1380の方が優れた性能を発揮するでしょう。
通信は5GのSub-6GHz帯とmmWaveに対応しており、特に限られたエリアで高速な通信が可能なmmWaveに対応している点は高評価です。Wi-FiやBluetoothに関する記載は公式サイトにはありませんが、Exynos 1380を搭載した製品がFCCの認証を通過した際にWi-Fi 6の対応が判明し、BluetoothはBluetooth SIGでBluetooth 5.3に対応しているとの記載がありますので、今回はその情報をもとにして表に記載しています。
RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1に対応しており、双方の規格に対応した場合は高水準な製品となりそうです。ただ、サムスン電子はミドルレンジ帯ではLPDDR5規格に対応した製品を出し渋る傾向にあるため、この高水準な製品が発表されるのか現状では不明です。ただ、Mali-G68 GPUの性能を最大限発揮するにはより優れたRAMが必要なので、LPDDR5+UFS 3.1の製品が出ることを切に願います。
現時点では噂程度となりますが、いくつかの国や地域向けのGalaxy A34 5GとGalaxy A54 5GがExynos 1380を初搭載する見込みです。日本市場での販売に関してですが、Galaxy A54 5Gの前作のGalaxy A53 5Gが販売されたため、初搭載が予想されている中の後者の製品が販売される可能性があります。
価格に関してはキャリアの発表を待つ必要がありますが、Galaxy A53 5Gが約6万円で販売されたため、後継製品も同様の価格で販売され、コスパの高いお得な製品として人気を集める可能性があります。
Exynos 1280の出来は素晴らしかったですが、残念ながらExynosのシェアは低下している状態なので、Exynos 1380とExynos 1330で巻き返しを図れるのかに注目が集まっています。