Qualcommは2022年5月20日に中国でSnapdragon Nightを開催し、Snapdragon 8 Gen 1の「+」版のSnapdragon 8+ Gen 1を発表しました。
Snapdragon 8 Gen 1は新しい命名規則を採用した製品なので、「+」の位置がシリーズ番号の後ろに付与されるのか製品名称の末尾に付与されるのかわかっていませんでしたが、Snapdragon 7c+ Gen 3の前例の通りシリーズ番号の後ろに付与されました。
Snapdragon 8+ Gen 1の命名規則により、2023年に発表される予定のSnapdragon 8 Gen 2の「+」版の製品名はSnapdragon 8+ Gen 2でほぼ確定です。また、Snapdragon 7 Gen 1においても同様の命名規則が採用される見込みなので、「+」版が発表された場合はSnapdragon 7+ Gen 1になるでしょう。
名称 | Snapdragon 8+ Gen 1 | Snapdragon 8 Gen 1 |
CPU | Kryo
(1xX2+3xA710+4xA510) 6MB sL3 |
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動作周波数 | 3.19GHz+2.75GHz+2.02GHz | 3.00GHz+2.50GHz+1.79GHz |
GPU | Adreno 730 | |
動作周波数 | 900MHz | 818MHz |
NPU/DSP | Hexagon(7th Gen) | |
カメラ | Triple 18-bit Spectra ISP
2億画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3600万画素(ZSL) or 3x3600万画素(ZSL) 3.2 Gigapixels per Second |
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リフレッシュレート | 60Hz(4K)
144Hz(QHD+) |
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エンコード/デコード | 8K@30FPS/4K@120FPS H.265, VP9
Dolby Vision, HDR10+, HDR10, HLG Slow-mo: 720p@960FPS |
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RAM | LPDDR5(3200MHz)
4MB System Level Cache |
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ストレージ | UFS 3.1 | |
Wi-Fi | Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E | |
Bluetooth | Bluetooth 5.3 | |
位置情報 | GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC | |
通信 | 統合: X65 5G Modem
Sub-6GHz/mmWave (10Gbps/3Gbps) |
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充電規格 | Quick Charge 5 | |
プロセス技術 | TSMC 4nm(N4) | Samsung 4nm(4LPX) |
型番 | SM8475 | SM8450 |
Snapdragon 8 Gen 1からの変更点はCPUとGPUの動作周波数が向上し、製造場所が韓国のSamsungから台湾のTSMCへ変更され、消費電力が大幅に減少、電力効率が大幅に向上しました。
CPUはArmv9アーキテクチャに基づいたCortex-X2、Cortex-A710、Cortex-A510を引き続き採用し、動作周波数が3.19GHz、2.75GHz、2.0GHzに向上しました。
GPUはAdreno 730を引き続き採用し、動作周波数が818MHzから900MHzへ上昇しました。
Snapdragon 8+ Gen 1のCPU性能は、Geekbench 5のマルチコア性能で10%程度の性能向上に成功しました。全体的な動作周波数の向上が要因ですが、特にCortex-A710が2.50GHzから2.75GHzへ変更されたことによって大きく性能が向上したと考えています。
GPUは動作周波数が10%向上し、前述の通り818MHzから900MHzへ向上しました。先代のSnapdragon 888 5GとSnapdragon 888+ 5Gは840MHzで共通でしたが、今回は動作周波数が向上しました。
電力効率はSnapdragon 8 Gen 1と比較してCPUとGPUともに動作周波数が向上しつつも、30%も向上したと明らかにしました。電力効率の改善はバッテリーの持ちに影響するため、Snapdragon 8 Gen 1よりも長く使用し続けられるかもしれません。
消費電力の改善はSoCとして総合的に見た場合は15%も減少。こちらも電力効率と同様にバッテリーの持ちに影響するため、実際の製品が発表されていない現状ではありますが、期待しても良いと考えています。
Snapdragon 8+ Gen 1を搭載した製品を2022年Q3に発表する企業やブランドは、ASUS ROG、Black Shark、HONOR、iQOO、Lenovo、Motorola、Nubia、OnePlus、OPPO、OSOM、realme、RedMagic、Redmi、vivo、Xiaomi、ZTEなどが挙げられています。
いくつか挙げられた採用企業の中でXiaomiの役員が発表会に登壇し、Snapdragon 8+ Gen 1の率先的な採用を明らかにしました。リーク情報では、初搭載製品はXiaomi 12S、Xiaomi 12S Pro、Xiaomi 12 Ultraが挙げられ、6月初旬の発表が予想されています。