アメリカのQualcommは2024年3月21日、新製品としてSnapdragon 7+ Gen 3を発表しました。この新製品を高コスパで人気を誇ったRedmi Note 12 Turboやrealme GT5 Neo SEが搭載したSnapdragon 7+ Gen 2と簡単にですが表にして比較します。
名称 | Snapdragon 7+ Gen 3 | Snapdragon 7+ Gen 2 |
CPU | Kryo
1x Cortex-X4 4x Cortex-A720 3x Cortex-A520 (4MB L3 Cache) |
Kryo
1x Cortex-X2 3x Cortex-A710 4x Cortex-A510 (6MB L3 Cache) |
動作周波数 | 2.80GHz
2.61GHz 1.90GHz |
2.91GHz
2.49GHz 1.80GHz |
GPU | Adreno 732 | Adreno 725 |
動作周波数 | 950MHz | 580MHz |
NPU/DSP | Hexagon | Hexagon |
カメラ | Triple 18-bit Spectra Cognitive ISP
2億画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3600万画素(ZSL) or 3x3600万画素(ZSL) |
Triple 18-bit Spectra ISP
2億画素 or 1億800万画素(ZSL) or 6400万画素+3600万画素(ZSL) or 3x3200万画素(ZSL) |
リフレッシュレート | 60Hz (4K)
144Hz (QHD+) |
60Hz (4K)
120Hz (QHD+) |
エンコード/デコード | Encode: 4K@60fps H.265, H.264 Google Ultra HDR
Decode: 4K@60fps H.265, H.264, VP9, VP8 HDR10+, HDR10, HLG, Dolby Vision Slow-Mo: 1080p@240fps |
Encode: 4K@60fps H.265, H.264
Decode: 4K@60fps, H.265, H.264, VP9, VP8 HDR10+, HDR10, HLG, Dolby Vision Slow-Mo: 1080p@240fps |
RAM | LPDDR5X (4200MHz)
(3.5MB System Level Cache) |
LPDDR5 (3200MHz)
(2MB System Level Cache) |
ストレージ | UFS 4.0 | UFS 3.1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 7 (11be) | Wi-Fi 6E (11ax) |
Bluetooth | Bluetooth 5.4 | Bluetooth 5.3 |
位置情報 | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC |
通信 | 統合: X63 5G Modem
Sub-6GHz/mmWave (DL: 5Gbps) |
統合: X62 5G Modem
Sub-6GHz/mmWave (DL: 4.4Gbps) |
充電規格 | Quick Charge 5 | Quick Charge 5 |
製造プロセス | TSMC 4nm N4P | TSMC 4nm N4 |
型番 | SM7675-AB | SM7475-AB |
新製品となるSnapdragon 7+ Gen 3の主な仕様は、製造プロセスがTSMC 4nm N4P、CPUは最大2.80GHzで動作するCortex-X4と最大2.61GHzで動作するCortex-A720と最大1.90GHzで動作するCortex-A520を1+4+3構成で採用、GPUは最大950MHzで動作するAdreno 732、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.0、モバイルデータ通信は5G NRに対応しています。
CPUは超高性能なCortex-X2からCortex-X3を採用せず、さらに高性能で新しいCortex-X4を採用しました。動作する数値はなんらかの理由によって最大2.91GHzから最大2.80GHzに下がっていますが、ArmのCortex-Xシリーズの進化が滞ったことがほとんどないので心配いらないでしょう。
さらに、構成が1+3+4から1+4+3になり、高性能なコアが増えて高効率なコアが減りました。Cortex-A5xxが減ったことでさらに高い性能を発揮することができるため、大幅な性能向上が期待できます。
GPUはAdreno 725からAdreno 732に進化しました。Qualcommの命名規則では同じ世代の場合は数値が大きいほど性能が高いので、今回の製品のGPUはSnapdragon 8 Gen 1が採用したAdreno 720よりも性能が高く、Snapdragon 8s Gen 3が採用したAdreno 735より性能が低くなります。
Qualcommによるとこの新製品は、Snapdragon 7+ Gen 2と比較してCPU性能は15%、GPU性能は45%、電力効率は5%も向上しているとしています。
この他の変更点としてRAM規格、内蔵ストレージ規格の進化があります。どちらも1世代新しくなっており、RAM規格の進化によってCPUやGPUの性能の向上、内蔵ストレージ規格の進化によって大容量のファイルを容易に扱えるようになります。
また、製造プロセスがTSMCの4nmで共通ですが、詳細な技術はN4からN4Pになっています。この変更によって性能の向上と電力効率の向上が期待でき、発熱が起きにくくなる可能性があります。
Snapdragon 7+ Gen 3を初搭載したのは中国市場向けのOnePlus Ace 3Vで、同じく3月21日に発表されました。
容量は12GB+256GBと12GB+512GB、16GB+512GBを用意しています。価格は標準版の12GB+256GBが1999元 (約40,000円)に設定されており、この高性能な製品がかなり求めやすくなっています。
初採用したのはOnePlusですが、Qualcommによるとこの製品はrealmeとSHARPも採用を行う予定としています。SHARPは日本市場を主戦場としているため、Snapdragon 7+ Gen 3を搭載した製品が日本市場に投入されるのは間違いないでしょう。
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