Qualcommは2023年3月23日に新製品としてSnapdragon 685 4Gを発表しました。名称に「4G」の名前がある通り「5G」に非対応な製品で、同社の現時点での製品展開において最高性能を誇る4G対応製品向けSoCとなります。
名称 | Snapdragon 685 4G | Snapdragon 680 4G |
CPU | Kryo
4x Cortex-A73 4x Cortex-A53 |
Kryo 265
4x Cortex-A73 4x Cortex-A53 |
動作周波数 | 2.80GHz+1.90GHz | 2.40GHz+1.90GHz |
GPU | Adreno 610 | Adreno 610 |
動作周波数 | ? | 1114.8MHz |
NPU/DSP | Hexagon | Hexagon 686 |
カメラ | Triple 12-bit Spectra ISP
1億800万画素 or 3200万画素(ZSL) or 2x1600万画素(ZSL) or 1300万画素+1300万画素+500万画素 |
Triple 12-bit Spectra 346 ISP
6400万画素 or 3200万画素(ZSL) or 2x1600万画素(ZSL) or 1300万画素+1300万画素+500万画素(ZSL) |
リフレッシュレート | 120Hz(FHD+)
120Hz(HD+) |
90Hz(FHD+)
90Hz(HD+) |
エンコード/デコード | Encode: 1080p@60fps H.265, H.264
Decode: 1080p@60fps HEVC, H.264, VP9, VP8 Slow-mo: 720p@30fps |
Encode: 1080p@60fps H.265, H.264
Decode: 1080p@60fps HEVC, H.264, VP9, VP8 Slow-mo: 720p@30fps |
RAM | LPDDR4X(2133MHz) | LPDDR4X(2133MHz) |
ストレージ | UFS 2.2 | UFS 2.2
eMMC 5.1 |
Wi-Fi | FastConnect 6200
Wi-Fi 5 (11ac) |
FastConnect 6100
Wi-Fi 6 ready (11ax-ready) Wi-Fi 5 (11ac) |
Bluetooth | FastConnect 6200
Bluetooth 5.2 |
FastConnect 6100
Bluetooth 5.1 |
位置情報 | GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS, SBAS, NavIC |
通信 | Snapdragon X11 LTE Modem
LTE Cat.13/13 (390Mbps/150Mbps) |
Snapdragon X11 LTE Modem
LTE Cat.13/13 (390Mbps/150Mbps) |
充電規格 | Quick Charge 3 | Quick Charge 3 |
製造プロセス | TSMC 6nm N6 | TSMC 6nm N6 |
型番 | SM6225-AD | SM6225 |
今回発表されたSnapdragon 685 4Gの主なスペックは、製造プロセスはTSMC 6nm N6、CPUはKryoで2.80GHzで動作するCortex-A73を4基と1.90GHzで動作するCortex-A53を4基の4+4構成、GPUはAdreno 610、RAM規格はLPDDR4X、内蔵ストレージ規格はUFS 2.2、モバイルデータ通信は4Gに対応、この他にWi-Fi 5とBluetooth 5.2に対応します。
基本的にはSnapdragon 680 4Gのオーバークロック版で、Snapdragon 685 4Gの性能はベースモデルと比較してCPU性能は15%、GPU性能は10%も向上しているとしています。そのため、あまり高くない4G対応製品の性能がさらに向上するので、発展途上国や新興国の消費者の体験が良くなるでしょう。
CPUはCortex-A73とCortex-A53を組み合わせていますが、高性能側のCortex-A73は2016年5月に発表されたCPU IPなので非常に古いものを採用しています。そのため、いくらクロック数がSnapdragon 680 4Gから上昇したとしても、飛躍的に体験が良くなることはないと思います。
GPUはAdreno 610を採用していますが、ポリシーの変更によって公式サイトではAdrenoを搭載しているとだけ記載されています。ただ、内部的には型番が存在しており、さまざまな情報を解析した結果、Adreno 610を搭載していると判明しています。性能は10%も向上していると発表しているので、1114.8MHzよりも高いクロック数になっているのは確定です。
モバイルデータ通信は4Gに対応し、現時点で最新の5Gには非対応です。そのため、5Gが商用化していなかったり、5Gに対応した製品が高すぎて購入できないような発展途上国や新興国では一定の需要があると感じます。
製造プロセスは台湾のTSMCの6nmプロセスに基づくN6で、最先端プロセスとまでは表現できませんが先端プロセスを採用して製造されています。最近のQualcommは韓国のSamsung Foundryから一時的とは思いますが離れる動きを見せており、この製品もそれが表れているように感じます。
初搭載製品はXiaomiから発表されたRedmi Note 12 4Gで、2023年3月に発表され、現時点でさまざまな市場で販売が行われています。今後の採用予定は不明ですが、Snapdragon 680 4Gを採用した経験のある企業としてOPPOやHUAWEI、Motorolaがありますので、これらの例に挙げた企業はSnapdragon 685 4Gを採用した製品を発表すると考えています。