Qualcommは2023年5月29日、新しいモデルとして最大2.5GHzで動作するSnapdragon 7 Gen 1を発表しました。すでに後継製品となるSnapdragon 7+ Gen 2が発表されていますが、今回発表された製品はSnapdragon 7 Gen 1です。
名称 | Snapdragon 7 Gen 1 (New) | Snapdragon 7 Gen 1 (Normal) |
CPU | Kryo 770
1x Cortex-A710 3x Cortex-A710 4x Cortex-A510 |
Kryo 770
1x Cortex-A710 3x Cortex-A710 4x Cortex-A510 |
動作周波数 | 2.52GHz+2.36GHz+1.80GHz | 2.40GHz+2.36GHz+1.80GHz |
GPU | Adreno 644 | Adreno 644 |
動作周波数 | ? | 443MHz |
NPU/DSP | Hexagon | Hexagon |
カメラ | Triple 14-bit Spectra ISP
2億画素 or 8400万画素(ZSL) or 6400万画素+2000万画素(ZSL) or 3x2500万画素(ZSL) 2.5 Gigapixels per Second |
Triple 14-bit Spectra ISP
2億画素 or 8400万画素(ZSL) or 6400万画素+2000万画素(ZSL) or 3x2500万画素(ZSL) 2.5 Gigapixels per Second |
リフレッシュレート | 120Hz(QHD+)
144Hz(FHD+) |
120Hz(QHD+)
144Hz(FHD+) |
エンコード/デコード | Encode/Decode: 4K@30fps 10-bit H.265, VP-9
HDR10+, HDR10, HLG, Dolby Vision Slow-mo: 720p@480fps |
Encode/Decode: 4K@30fps 10-bit H.265, VP-9
HDR10+, HDR10, HLG, Dolby Vision Slow-mo: 720p@480fps |
RAM | LPDDR5(3200MHz) | LPDDR5(3200MHz) |
ストレージ | UFS 3.1 | UFS 3.1 |
Wi-Fi | FastConnect 6700
Wi-Fi 6E (11ax) |
FastConnect 6700
Wi-Fi 6E (11ax) |
Bluetooth | Bluetooth 5.2
LE Audio |
Bluetooth 5.2
LE Audio |
位置情報 | GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC |
通信 | 統合: Snapdragon X62 5G Modem
Sub-6GHz/mmWave (DL: 4.4Gbps) |
統合: Snapdragon X62 5G Modem
Sub-6GHz/mmWave (DL: 4.4Gbps) |
充電規格 | Quick Charge 4+ | Quick Charge 4+ |
製造プロセス | Samsung 4nm 4LPX | Samsung 4nm 4LPX |
型番 | SM7450-1-AB | SM7450-0-AB |
新しいSnapdragon 7 Gen 1の主なスペックは、製造プロセスはSamsung 4nm 4LPX、CPUは2.52GHzで動作するCortex-A710を1基、2.36GHzで動作するCortex-A710を3基、1.80GHzで動作するCortex-A510を4基の1+3+4構成、GPUはAdreno 644、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は5Gに対応しSub-6GHzとmmWaveをサポート、この他にWi-Fi 6E、Bluetooth 5.3をサポートします。
新しいSnapdragon 7 Gen 1と既にいくつかの製品が搭載しているSnapdragon 7 Gen 1の違いは、1基のCortex-A710が2.52GHzで動作するか2.40GHzで動作するか、という部分のみで、その他の違いは残念ながらありません。
そのため、CPUの性能に関しては、Geekbench 6を基準とするとシングルコア性能ではやや優位、マルチコア性能ではほぼ同じになると思います。そもそもCortex-A710がそんなに優れたCPU IPではないので、スペック上の数値が2.52GHzと2.40GHzで異なっていますが、体感や体験に関して違いに気づく人はまったくいないと考えています。
気になる点として、Qualcommの過去の命名規則に則ると、今回の製品は「+」が名称に付与されてSnapdragon 7+ Gen 1になるはずですが、公式サイトを見ると通常のSnapdragon 7 Gen 1の名称が採用されています。そのため、Snapdragon 8+ Gen 1のように名称だけを見ると期待する性能が得られない状態になっており、当然のことではありますが搭載した製品の紹介ページをしっかりと見る必要があります。
今回発表された新しいSnapdragon 7 Gen 1を初搭載したのはHONOR 90で、採用したHonorはこのSoCをSnapdragon 7 Gen 1 Enhanced(直訳)と紹介しています。SoCの開発元よりも採用した企業のHonorのほうがわかりやすい名称を採用しており、通常のSnapdragon 7 Gen 1と何かが異なっているとひと目でわかります。
GPU性能は、Honorの発表によるとSnapdragon 778G 5Gと比較して20%の性能向上に成功したとされており、これは通常のSnapdragon 7 Gen 1が発表されたときと同じ数値なので、Adreno 644のクロック数は443MHzで共通だと考えています。そのため、違いは1基のCortex-A710のみなので、劇的に何かが変わったわけではありません。
初搭載機のHONOR 90 (型番: REA-AN00)は5月29日に発表され、標準モデルの12GB+256GBモデルが2499元(49,500円)に設定されています。Snapdragon 7 Gen 1を搭載した製品としては容量を考えるとやや安く設定されており、また、Honorの製品としてもやや安く設定されているので、気になる方は購入してみてもいいかもしれません。