MediaTekは2023年2月13日に新製品としてHelio G36を発表しました。Helio Gシリーズに属する製品で、すでに同社はHelio G37とHelio G35を発表しているため、命名規則だけを考えると間に位置する製品となります。
名称 | Helio G37 | Helio G36 | Helio G35 |
CPU | 4x Cortex-A53
4x Cortex-A53 |
4x Cortex-A53
4x Cortex-A53 |
4x Cortex-A53
4x Cortex-A53 |
動作周波数 | 2.30GHz+1.80GHz | 2.20GHz+1.80GHz | 2.30GHz+1.80GHz |
GPU | IMG PowerVR GE8320
HyperEngine 2.0 Lite |
IMG PowerVR GE8320
HyperEngine 2.0 Lite |
IMG PowerVR GE8320 |
動作周波数 | 680MHz | 680MHz | 680MHz |
NPU/DSP | - | - | - |
カメラ | 5000万画素 or 2500万画素 or 2x1300万画素 | 5000万画素 or 2500万画素 or 2x1300万画素 | 2500万画素 or 2x1300万画素 |
リフレッシュレート | 90Hz(FHD+) | 90Hz(FHD+) | 60Hz(FHD+) |
エンコード/デコード | Encode: 1080p@30fps H.264
Decode: 1080p@30fps HEVC, H.264 |
Encode: 1080p@30fps H.264
Decode: 1080p@30fps HEVC, H.264 |
Encode: 1080p@30fps H.264
Decode: 1080@30fps HEVC, H.264 |
RAM | LPDDR4X(1600MHz)
LPDDR3(933MHz) |
LPDDR4X(1600MHz)
LPDDR3(933MHz) |
LPDDR4X(1600MHz)
LPDDR3(933MHz) |
ストレージ | eMMC 5.1 | eMMC 5.1 | eMMC 5.1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 5(11ac) | Wi-Fi 5(11ac) | Wi-Fi 5(11ac) |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 |
位置情報 | GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS | GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS | GPS, Glonass, BeiDou, Galileo, QZSS |
通信 | LTE Cat, 7/13 | LTE Cat. 7/13 | LTE Cat. 7/13 |
充電規格 | - | - | - |
製造プロセス | TSMC 12nm 12FFC | TSMC 12nm 12FFC | TSMC 12nm 12FFC |
型番 | MT6765H | ? | MT6765G |
今回発表されたHelio G36の主なスペックは、製造プロセスがTSMC 12nm 12FFC、CPUは2.20GHzで動作するCortex-A53を4基、1.80GHzで動作するCortex-A53を4基の4+4構成、GPUはPowerVR GE8320でクロック数は680MHz、RAM規格はLPDDR4Xに対応、内蔵ストレージ規格はeMMC 5.1に対応、通信は4G LTE、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0に対応しています。
CPUがCortex-A53で構成されているため、エントリー向けの製品となります。Cortex-A53は2012年に発表されたCPU IPで、どちらかというと性能よりも省電力に力を入れたものになっているので、キビキビとした動きは期待できないでしょう。そのため、意外と高負荷な要求を行う最近のウェブサイトやSNSでは緩慢な動作をすることが多々あるでしょう。
GPUはPowerVR GE8320を採用し、こちらも優れたGPUではありますが高い性能を発揮することが出来ないので、さまざまな部分を我慢する必要があるでしょう。ただ、MediaTekが開発・提供しているHyperEngine 2.0 Liteによって、ゲーム利用時にCPUやGPUの動作が調整されるため、いくつかの体験は良くなるでしょう。
通信は5Gではなく4Gに対応しており、現時点では世界を見ると4Gを利用している人が多いので、非対応であることは問題はないでしょう。ちなみに、MediaTekの製品展開における5Gに対応した製品の名称には「Dimensity」が付与されるので、この名称を見てどの通信に対応しているのか見極めてほしいと思います。
Helio G36はTSMCの12nmプロセスで製造されており、最新の製品は4nmプロセスや5nmプロセスで製造されていることを考えると、レガシーと表現すると行き過ぎですがやや遅れた技術を採用しています。12nmプロセスは今から6年前の2017年に大量生産を開始したので、確かにやや遅れた技術を採用していると表現しても差し支えないと思います。
Helio G37とHelio G35と比較すると、Helio G37からの変更点は4基のCortex-A53のクロック数が2.30GHzから2.20GHzへ減少し、Helio G35からの変更点はCPUに関してはHelio G37と同じくクロック数が減少し、GPUに関してはHyperEngine 2.0 Liteが採用され、リフレッシュレートは最大60Hzから最大90Hzにまで上がり、ISPは更に高い画素数の5000万画素に対応しました。
現時点でHelio G36を搭載した製品は発表されておらず、MediaTekも初搭載した商用製品の発表時期を明らかにしていないため、どの企業が採用しどの時期に発表されるのか不明です。ただ、TwitterではMediaTek IndiaがHelio G36の発表を案内しているため、インド市場で初搭載製品が発表されるのではないかと考えています。
ちなみに、Helio G37を初搭載した製品はMotorola製のmoto g22で、この製品は2022年3月に発表されたため、今回発表されたHelio G36を搭載した製品も似たような時期に発表されると思います。