MediaTekがDimensity 6100+を発表、6nmプロセスで製造されたメインストリーム向けSoC

MediaTekがDimensity 6100+を発表、6nmプロセスで製造されたメインストリーム向けSoC

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台湾のMediaTekは2023年7月11日、新製品としてDimensity 6100+を発表しました。新製品の名称には「+」が付与されていますが、「+」のないDimensity 6100は現状は存在しません。

 

そして、MediaTekはこの製品をもってDimensity 6000シリーズの展開を開始したと発表しました。すでに発表されているDimensity 6080やDimensity 6020がその6000シリーズに属していますが、今回発表されたDimensity 6100+でシリーズの展開を開始しています。

 

名称 Dimensity 6100+ Dimensity 6080 Dimensity 6020
CPU 2x Cortex-A76

6x Cortex-A55

2x Cortex-A76

6x Cortex-A55

2x Cortex-A76

6x Cortex-A55

動作周波数 2.20GHz + 2.00GHz 2.40GHz + 2.00GHz 2.20GHz + 2.00GHz
GPU Mali-G57 MC2

(HyperEngine 3.0 Lite)

Mali-G57 MC2

(HyperEngine 3.0 Lite)

Mali-G57 MC2

(HyperEngine 3.0 Lite)

動作周波数 ? ? 950MHz
NPU/DSP ? ? ?
カメラ 1億800万画素 or 2x1600万画素 1億800万画素 or 2x1600万画素 6400万画素 or 2x1600万画素
リフレッシュレート 120Hz(FHD+) 120Hz(FHD+) 120Hz(FHD+)

90Hz(FHD+)

エンコード/デコード Encode: 2K@30fps H.265, H.264

Decode: 2K@30fps H.265, H.264, VP9

Encode: 2K@30fps H.265, H.264

Decode: 2K@30fps H.265, H.264, VP9

Encode: 2K@30fps H.265, H.264

Decode: 2K@30fps H.265, H.264, VP9

RAM LPDDR4X(2133MHz) LPDDR4X(2133MHz) LPDDR4X(2133MHz)
ストレージ UFS 2.2 UFS 2.2 UFS 2.2
Wi-Fi Wi-Fi 5 (11ac) Wi-Fi 5 (11ac) Wi-Fi 5 (11ac)
Bluetooth Bluetooth 5.2 Bluetooth 5.2 Bluetooth 5.1
位置情報 GPS, BeiDou (北斗), GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC GPS, BeiDou (北斗), GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC GPS, BeiDou (北斗), GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC
通信 統合: 5G Modem

Sub-6GHz

(DL: 3.3Gbps/UL: ?Gbps)

統合: 5G Modem

Sub-6GHz

(DL: 2.77Gbps/UL: ?Gbps)

統合: 5G Modem

Sub-6GHz

(DL: 2.77Gbps/UL: ?Gbps)

充電規格 - - -
製造プロセス TSMC 6nm N6 TSMC 6nm N6 TSMC 7nm N7
型番 ? MT6833GP MT6833

Dimensity 6100+の主なスペックは、製造プロセスはTSMC 6nm N6、CPUは最大2.20GHzのCortex-A76を2基と最大2.00GHzのCortex-A55を6基の2+6構成、GPUはMali-G57 MC2、RAM規格はLPDDR4X、内蔵ストレージ規格はUFS 2.2、5G通信に対応しSub-6GHz帯をサポート、この他の通信としてWi-Fi 5、Bluetooth 5.2をサポートします。

 

製造プロセスはTSMCの6nmプロセスに基づくN6を採用し、Dimensity 6100+はミドルレンジ向けではあるものの先端プロセスで製造されています。6nmプロセスはSnapdragon 778G 5Gでも採用されており、高い性能を継続的に安定して発揮することができます。

 

Dimensity 6100+のCPUはCortex-A76とCortex-A55を組み合わせ、同じくDimensity 6000シリーズに属するSoCを同じ構成を採用しています。しかし、性能に関してはDimensity 6100+は2.20GHzと2.00GHzに設定されていますが、Dimensity 6080は2.40GHzと2.00GHzに設定されているため、名称の数字の大きい方が性能が低い現象が発生しています。

 

GPUはMali-G57 MC2を採用しました。残念なことにこのGPUは決して高い性能を発揮するものではありません。そのため、PUBG Mobileや原神 (Genshin Impact)などの高い性能を要求するゲームでは、満足の出来るプレイはできないかもしれません。

 

RAM規格はLPDDR4X、内蔵ストレージ規格はUFS 2.2で、現在の標準的なミドルレンジ向けの製品が搭載する規格をサポートしています。ミドルレンジは範囲が広く、CPU性能など一部の性能でハイエンド並の性能を有するミドルハイがありますが、今回はCPU性能を鑑みるとエントリー寄りのミドルレンジとなりそうです。

 

5Gモデムを統合しているので5G通信に対応し、FR1で定義されたSub-6GHz帯での通信をサポートしています。FR2で定義されたmmWave (ミリ波)はサポートしていませんが、SoCの位置を考えるとサポートしていないことは問題ないように感じます。そして、他のDimensity 6000シリーズに属するSoCと比較するとダウンリンクの速度が最大2.77Gbpsではなく最大3.3Gbpsに高速化しており、CPU性能では優位点が見られませんでしたが通信速度では間違いのない強みを持っています。

 

Dimensity 6100+の発表によって展開が始まったDimensity 6000シリーズについて、同社のワイヤレスコミュニケーション事業部門の副ゼネラルマネージャーのCH Chen氏は「発展途上市場が急速なペースで5Gネットワークの展開を続け、先進市場の通信事業者が4G LTEから5G NRへの移行を完了させるために取り組んでいる中、次世代接続を備えたメインストリームのモバイルデバイスの増加に対応するチップセットの必要性が、かつてないほど高まっています」とし、さらに「Dimensity 6000シリーズにより、デバイスメーカーは、性能を向上させ、電力効率を高め、材料コストを削減する印象的なアップグレードにより時代の先を行くことが可能になります」と述べました。

 

MediaTekはDimensity 6100+を搭載した最初の製品は2023年Q3 (7月-9月)に発売される予定だと明らかにしました。現時点では採用を表明している企業はありませんが、Dimensityの存在感は中国市場だけでなくインド市場、日本市場でも高めており、さまざまな製品がDimensity 6100+を搭載してさまざまな国や地域で搭載した製品が発表・販売されるでしょう。

 

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