台湾のMediaTekは2025年9月22日に新製品発表会を開催し、Dimensity 9500を発表しました。Armが同月10日に発表したばかりのArm Lumex CSSを採用し、業界の先陣を切る性能はもちろんのこと、新しい技術も取り入れた意欲も見える素晴らしい製品に仕上がっています。
| 名称 | Dimensity 9500 | Dimensity 9400 | Dimensity 9300 |
| CPU | 1x C1-Ultra
3x C1-Premium 4x C1-Pro (L3 Cache: 16MB) |
1x Cortex-X925
3x Cortex-X4 4x Cortex-A720 (L3 Cache: 12MB) |
1x Cortex-X4
3x Cortex-X4 4x Cortex-A720 (L3 Cache: 8MB) |
| 動作周波数 | 4.21GHz
3.50GHz 2.70GHz |
3.62GHz
3.30GHz 2.40GHz |
3.25GHz
2.85GHz 2.00GHz |
| GPU | Mali G1-Ultra MC12 r0p1 | Immortalis-G925 MC12 r0p1 | Immortalis-G720 MC12 r0p0 |
| 動作周波数 | 1716MHz | 1612MHz | 1300MHz |
| NPU/DSP | NPU 990 | NPU 890 | APU 790 |
| カメラ | Imagiq 1190
3億2000万画素 |
Imagiq 1090
3億2000万画素 |
Triple 18-bit Imagiq 990
3億2000万画素 |
| リフレッシュレート | 180Hz (WQHD+) | 180Hz (WQHD+) | 120Hz (4K)
180Hz (WQHD) |
| エンコード/デコード | Encode: 8K@30fps H.265, H.264
Decode: 8K@60fps H.265, H.264, VP9, AV1 |
Encode: 8K@30fps H.265, H.264
Decode: 8K@60fps H.265, H.264, VP9, AV1 |
Encode: 8K@24fps H265, H.264
Decode: 8K@30fps H.265, H.264, VP9, AV1 |
| RAM | LPDDR5X (10667Mbps)
(System Level Cache: 10MB) |
LPDDR5X (10667Mbps)
(System Level Cache: 10MB) |
LPDDR5T (9600Mbps)
(System Level Cache: 10MB) |
| ストレージ | UFS 4.1 | UFS 4 + MCQ | UFS 4 + MCQ |
| Wi-Fi | Wi-Fi 7 (11be)
7.3Gbps |
Wi-Fi 7 (11be)
7.3Gbps |
Wi-Fi 7 (11be)
6.5Gbps |
| Bluetooth | Bluetooth 6.0 | Bluetooth 6.0 | Bluetooth 5.4 |
| 位置情報 | GPS, BeiDou, GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, BeiDou, GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, BeiDou, GLONASS, Galileo, QZSS, NavIC |
| 通信 | 統合: 5G Modem
Sub-6GHz (DL: 7.4Gbps) |
統合: 5G Modem
Sub-6GHz (DL: 7Gbps) |
統合: 5G Modem
Sub-6GHz / mmWave (DL: 7Gbps) |
| 充電規格 | - | - | - |
| 製造プロセス | TSMC 3nm N3P | TSMC 3nm N3E | TSMC 4nm N4P+ |
| 型番 | MT6993 | MT6991 | MT6989 |
| 公式サイト | MediaTek | MediaTek | MediaTek |
Dimensity 9500の主な仕様は、製造プロセスがTSMC 3nm N3P、CPUが最大4.21GHzで動作するC1-Ultraと最大3.50GHzのC1-Premiumと最大2.70GHzのC1-Proを1+3+4構成、GPUが最大1716MHzで動作するMali G1-Ultra MC12、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.1、モバイルデータ通信は5Gに対応します。
Dimensity 9500は第3世代の3nmプロセスで製造された製品です。MediaTekは公式サイトでTSMCで製造したこと、N3Pを採用したことも明らかにしています。
最近はあまり発表されなくなったトランジスタ数ですが、Dimensity 9500は300億を超えるようです。前作のDimensity 9400は不明ですが、さらに前のDimensity 9300は227億としているので、順当に密度が上がっていることがわかります。
Dimensity 9500の主な特徴して同社は、CPUはオールビッグコアで性能がPCレベルであること、GPUのレンダリング性能がゲーム機レベルであること、超性能NPUと超効率NPUのデュアルNPUを採用していることを挙げています。この場合の「ゲーム機」はPS5やNintendo Switch 2、Xbox Series Xなどを指します。
CPUはDimensity 9300の構成を第1世代として、第3世代目のオールビッグコア構成を採用しています。第1世代と第2世代の構成はCortex-X4なのかCortex-X925なのかといった違いしかありませんでしたが、第3世代目ではすべてのコアが新しくなりました。
その新しい構成は「Cortex」が終了した最初の製品の「C1」で、Ultraを1基、Premiumを3基、Proを4基の1+3+4構成です。これが第3世代のオールビッグコア構成です。
その新しい構成によってGeekbench 6.4における性能は、シングルコア性能が4,007点で32%の性能向上、マルチコア性能が11,217点で17%の性能向上に成功しました。シングルコア性能は4,000点の大台を突破し、マルチコア性能は10,000点に到達しました。
キャッシュの容量についても言及し、C1-UltraのL1はCortex-X925よりも100% (2倍)も増え、L3は33%も増えました。キャッシュの容量が増えるとCPUのみでデータをやり取りする状況が増え、メモリを介しないことからより高速で効率がよくなるとされています。
Dimensity 9500は4レーンUFS 4.1を始めてサポートした製品です。シーケンシャルリードおよびライト性能が100%も向上したとしています。これまでに採用していたのは2レーンUFS 4.1のため、レーン数が倍になりました。
GPUはMali G1-Ultra MC12を採用し、Dimensity 9400と比較してピーク性能が33%向上、ピーク時の電力効率が42%向上しました。
レイトレーシング性能は119%の向上で、その向上した性能を鳴潮やIdentityV 第五人格、王者栄耀などで利用できます。不思議なことにmiHoYoが提供するゲームはありません。
NPUは超性能NPUと超効率NPUを組み合わせたデュアルNPUで、その中で超効率NPUは業界で初めてとなるCIM (Compute-In-Memory)アーキテクチャを採用しました。
この珍しいデュアルNPUを採用したことでピーク時のAI性能は111%向上し、ピーク時の電力効率が56%も向上しました。昨今のスマートフォンにおいてAI性能は切っても切れない関係のため、AI性能の向上はCPU性能とGPU性能と同じくらい大事です。
このCIM技術を用いた超効率NPUは低負荷のAIモデル、Always-On演算において一般的なNPUと比較して消費電力が42%も減少するとしています。
このDimensity 9500を初採用するのはvivo X300シリーズで、10月13日に発表すると案内しました。
そして、OPPOもDimensity 9500の採用を表明し、10月16日にOPPO Find X9シリーズを発表すると案内しました。
vivoとOPPOのほかにTranssionが登壇、XiaomiとHonor、Lenovoがビデオで参加し、Dimensity 9500の発表を祝いました。これらの企業は採用こそ明らかにしませんでしたが、過去にDimensity 9000シリーズの採用経験があることを考えると採用を前向きに考えていることがうかがえます。























