台湾のMediaTekは2023年3月21日に新SoCとしてDimensity 7020を発表しました。この製品は新SoCとして発表されていますが、ある製品のリネーム品なので、実質的には新SoCではなく新しい名前が付与された過去の製品です。
名称 | Dimensity 7020 | Dimensity 930 |
CPU | 2x Cortex-A78
6x Cortex-A55 |
2x Cortex-A78
6x Cortex-A55 |
動作周波数 | 2.20GHz+2.00GHz | 2.20GHz+2.00GHz |
GPU | BXM-8-256
HyperEngine 5.0 Lite |
BXM-8-256
HyperEngine 3.0 Lite |
動作周波数 | 950MHz | 950MHz |
NPU/DSP | ? | ? |
カメラ | 1億800万画素 | 1億800万画素 or 6400万画素 |
リフレッシュレート | 120Hz(FHD+) | 120Hz(FHD+) |
エンコード/デコード | Encode: 2K@30fps HEVC, H.264
Decode: 2K@30fps HEVC, H.264, VP-9 |
Encode: 2K@30fps HEVC, H.264
DEcode: 2K@30fps HEVC, H.264, VP-9 |
RAM | LPDDR5(2750MHz)
LPDDR4X(2133MHz) |
LPDDR5(2750MHz)
LPDDR4X(2133MHz) |
ストレージ | UFS 3.1 | UFS 3.1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 5 (11ac) | Wi-Fi 5 (11ac) |
Bluetooth | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 5.2 |
位置情報 | GPS, BeiDou, Glonass, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, BEiDou, Glonass, Galileo, QZSS, NavIC |
通信 | 5G NR; Sun-6GHz
(2.77Gbps/1.25Gbps) |
5G NR: Sub-6GHz
(2.77Gbps/1.25Gbps) |
充電規格 | - | - |
製造プロセス | TSMC 6nm N6 | TSMC 6nm N6 |
型番 | MT6855 | MT6855 |
Dimensity 7020は昨年5月に発表されたDimensity 930のリネーム品で、基本的なスペックに違いはありません。主なスペックは、製造プロセスはTSMC 6nm N6、CPUは2.20GHzで動作するCortex-A78を2基と2.00GHzで動作するCortex-A55を6基の2+6構成、GPUは950MHzで動作するBXM-8-256、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は5Gに対応しSub-6GHz帯をサポート、この他はWi-Fi 5、Bluetooth 5.2をサポートします。
前述の通り、基本的なスペックに違いはありませんが、公式サイトに記載されていた唯一の違いとしてゲーム利用時のCPUやGPUの動きを最適化するHyperEngineが3.0 Liteから5.0 Liteへ世代が更新されています。そのため、Dimensity 7020とDimensity 930を搭載したデバイスで高負荷なゲームをした場合、前者を搭載したデバイスのほうがやや快適に遊べる可能性があります。
CPUはCortex-A78とCortex-A55を組み合わせていますが、高性能側のCortex-A78のクロック数が2.20GHzとそれほど高い部類に入らないので、日常的な利用は問題ありませんが、すべての環境で快適に動く保証はできません。ただ、これは搭載した企業側の調整も大きく関わってくるので、アニメーションなどを駆使して快適に見えるといった事はある可能性があります。
GPUは聞き慣れないと思いますが、PowerVR GE8322などのGPUを開発していたImagination Technologies社製のものなので、安心して使用できると思います。BXMの前の世代にAXMがありますので、2世代目のGPUとなります。クロック数は950MHzですが、明確な競合製品がないので、ベンチマークなどで算出された性能を見て比較する必要があります。
Dimensity 930の搭載製品はいくつか販売されており、moto g73 5Gやvivo Y77などがあります。ただ、リネーム品のDimensity 7020の初搭載機は今のところ発表されていませんので、いつ発表されるのか、どのデバイスが初搭載するのか不明です。近い将来に発表されると思うので、それまでは情報収集を怠らずに待つ必要があります。