HuaweiがKirin 9000Wを国際市場に投入、モバイルデータ通信に非対応

HuaweiがKirin 9000Wを国際市場に投入、モバイルデータ通信に非対応

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中国のHuaweiは2024年1月9日にマレーシアで新製品発表会を開催し、HUAWEI MatePad Pro 13.2"を発表しました。今回、その製品がKirin 9000Wを搭載していることが確認できましたので、表にしてKirin 9000Sと簡単にですが比較します。

 

名称 Kirin 9000S Kirin 9000S Kirin 9000W
CPU 1x TaiShan-Big

3x TaiShan-Mid

4x Cortex-A510 r1

(4MB L3 Cache)

1x TaiShan-Big

3x TaiShan-Mid

4x Cortex-A510 r1

1x TaiShan-Big

3x TaiShan-Mid

4x Cortex-A510 r1

動作周波数 2.62GHz

2.15GHz

1.53GHz

2.49GHz

2.15GHz

1.53GHz

2.49GHz

2.15GHz

1.53GHz

GPU Maleoon 910 4CU Maleoon 910 3CU Maleoon 910 3CU
動作周波数 750MHz 750MHz 750MHz
NPU/DSP Da Vinci Architecture 3.0 (?)

1x Ascend Lite

1x Ascend Tiny

? ?
カメラ Kirin ISP 7.0 (?) Kirin ISP 7.0 (?) Kirin ISP 7.0 (?)
リフレッシュレート ? ? ?
エンコード/デコード ? ? ?
RAM LPDDR5 (3200MHz)

(4MB System Level Cache)

LPDDR5 (3200MHz) LPDDR5 (3200MHz)
ストレージ UFS 3.1 UFS 3.1 UFS 3.1
Wi-Fi Wi-Fi 6 (11ax) Wi-Fi 6 (11ax) Wi-Fi 6 (11ax)
Bluetooth Bluetooth 5.2 Bluetooth 5.2 Bluetooth 5.2
位置情報 GPS, A-GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS
通信 統合: Balong 5G Modem - -
充電規格 HUAWEI SuperCharge HUAWEI SuperCharge HUAWEI SuperCharge
製造プロセス SMIC 7nm N+2 SMIC 7nm N+2 SMIC 7nm N+2
型番 Hi36A0-GFCV120-CN ? ?

新たな存在となるKirin 9000Wの主な仕様は、製造プロセスがSMIC 7nm N+2、CPUは最大2.49GHzで動作するTaiShan-Bigと最大2.15GHzで動作するTaiShan-Midと最大1.53GHzで動作するCortex-A510 Refreshedを1+3+4構成で採用、GPUは最大750MHzで動作するMaleoon 910 3CU、RAM規格はLPDDR5、モバイルデータ通信は非対応です。

 

HUAWEI Mate 60シリーズが搭載した通常のKirin 9000Sと比較すると、CPUとGPU、通信に違いがあります。

 

CPUは超高性能なTaiShan-Bigが最大2.62GHzから最大2.49GHzに下がりました。この0.13GHzの変更によって、瞬間的な操作を行う場合に差がつくでしょう。ちなみに、この他の数値は共通しています。

 

実は完全子会社のHiSiliconが自社開発したTaiShan CPUはめずらしくSMT (同時マルチスレッディング)に対応しており、1コア・2スレッドを実現しています。そのため、それを採用しているKirin 9000SとKirin 9000Wは共通して8コア・12スレッドとなっています。

 

GPUはKirin 9000SがMaleoon 910 4CUですが、新製品は3CUに欠けました。動作する数値は最大750MHzで共通なので、4CUと3CUで発揮される性能が違うことは火を見るよりも明らかです。

 

大きな変更点の通信ですが、Kirin 9000WはSIMカードやeSIMを利用したモバイルデータ通信に非対応です。そのため、末尾の「W」はWi-Fiや無線LAN (Wireless LAN)を意味している可能性があると考えています。この仮定が間違っていたとしても、Kirin 9000Wがモバイルデータ通信に非対応であることは間違いないです。

 

これまで特に言及しませんでしたが、表の真ん中にあるKirin 9000Sは中国市場向けのHUAWEI MatePad Pro 13.2"が搭載しており、発売当初は通常のKirin 9000Sと同じくTaiShan-Bigが最大2.62GHzで動作していました。しかし、ある時の更新をさかいに最大2.49GHzに変更され性能が変わってしまいました。つまり、このKirin 9000Sは通常のKirin 9000Sが登場するよりも突然誕生したものです。

 

ただ、GPUは最初からMaleoon 910 3CUでしたので、その時点で通常版とは異なるKirin 9000Sではありました。とはいえ、サイレントで性能を変更するのは驚きで、なにを搭載しているのか明らかにしていないからこそできることなのかなと個人的には思います。

 

このKirin 9000Wはマレーシア市場向けのHUAWEI MatePad Pro 13.2"が初搭載しました。前述の通り、中国市場向けの同じ名称のHUAWEI MatePad Pro 13.2"はある時をさかいに突然変異したKirin 9000Sを搭載していますので、Kirin 9000Wを初搭載したのはマレーシア市場向けの製品となります。

 

容量は12GB+256GBと12GB+512GBを用意しています。気になる価格は、それぞれ4599リンギット (約153,000円)、4999リンギット (約166,000円)に設定されており、強気の設定になっています。

 

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