中国のHuaweiは2024年4月18日、HUAWEI Pura 70シリーズを突如として発表しました。このPura 70シリーズはHUAWEI Pura 70 Pro以上の製品がまったく新しいKirin 9010を搭載していることで大きな注目を集めましたが、標準版のHUAWEI Pura 70も新製品となるKirin 9000S1を搭載していることが確認できました。
今回は、その新たに登場したKirin 9000S1がすでに登場しているKirin 9000Sとどういった違いがあるのか表にして簡単にですが比較します。
名称 | Kirin 9000S | Kirin 9000S1 |
CPU | 1x TaiShan-Big
3x TaiShan-Mid 4x Cortex-A510 r1 (4MB L3 Cache) |
1x TaiShan-Big
3x TaiShan-Mid 4x Cortex-A510 r1 |
動作周波数 | 2.62GHz
2.15GHz 1.53GHz |
2.49GHz
2.15GHz 1.53GHz |
GPU | Maleoon 910 4CU | Maleoon 910 3CU |
動作周波数 | 750MHz | 750MHz |
NPU/DSP | Da Vinci Architecture 3.0 (?)
1x Ascend Lite 1x Ascend Tiny |
? |
カメラ | Kirin ISP 7.0 (?) | Kirin ISP 7.0 (?) |
リフレッシュレート | ? | ? |
エンコード/デコード | ? | ? |
RAM | LPDDR5 (3200MHz)
(4MB System Level Cache) |
LPDDR5 (3200MHz) |
ストレージ | UFS 3.1 | UFS 3.1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 6E (11ax) | Wi-Fi 6E (11ax) |
Bluetooth | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 5.2 |
位置情報 | GPS, A-GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, A-GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC |
通信 | 統合: Balong 5G Modem | 統合: Balong 5G Modem |
充電規格 | HUAWEI SuperCharge | HUAWEI SuperCharge |
製造プロセス | SMIC 7nm N+2 | SMIC 7nm N+2 |
型番 | Hi36A0-GFCV120-CN | ? |
新たに登場したKirin 9000S1の主な仕様は、製造プロセスがSMIC 7nm N+2、CPUは最大2.49GHzで動作するTaiShan-Bigと最大2.15GHzで動作するTaiShan-Midと最大1.53GHzで動作するCortex-A510 Refreshedを1+3+4構成で採用、GPUは最大750MHzで動作するMaleoon 910 3CU、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は少なくとも4G LTEに対応しています。
HUAWEI Mate 60シリーズが初搭載したKirin 9000Sと、今回のKirin 9000S1の違いはCPUとGPUにあります。可能性としてはNPUも違うのではないかと思っていますが、Huaweiが新しいKirinについて詳しく語らないのでこの点は不明です。
まずCPUに注目すると、超高性能なTaiShan-Bigが最大2.62GHzから0.13GHz下がって最大2.49GHzで動作するように設定されています。この他の数値に相違がないので、瞬間的な操作では差がつくと思います。しかし、OSが自社開発のHarmonyOSを共通して採用しているため、綿密な最適化によって違いを実感するのは難しいと思います。
そして、完全子会社のHiSiliconが自社開発したTaiShan CPUはSMT (同時マルチスレッディング)に対応しており、PC向けのCPUと同じように1コア・2スレッドを実現しています。そのため、このKirin 9000SとKirin 9000S1の両製品は8コア・12スレッドの製品となります。
GPUは両製品ともMaleoon 910を採用し、両製品とも最大750MHzで動作しますが、Kirin 9000S1は4CUではなく3CUになっています。つまり、Kirin 9000S1のGPU性能はKirin 9000Sよりも低くなります。CPUは最適化でいくつか課題を突破できますが、GPUに関しては最適化で乗り越えるのは難しいでしょう。
モデムはBalong 5G Modemを統合していることを確認しています。しかし、これらを搭載した製品は4G LTEに接続している際にはアンテナピクトに4Gの表記がある一方で、「なにか」に接続した際はそういった表示が消えるため、現時点では4G LTEには対応しているといった表記をしています。
Kirin 9000S1を初搭載したのは前述の通りHUAWEI Pura 70です。同じPura 70シリーズですがHUAWEI Pura 70 Pro以上の製品はKirin 9010を搭載しており、標準版だけが異なった製品を搭載しています。
容量は12GB+256GBと12GB+512GB、12GB+1TBで、価格はそれぞれ5499元 (約111,000円)と5999元 (約120,000円)、6999元 (約141,500円)に設定されています。