HuaweiがKirin 9010Lを市場に投入、規格不適合品を有効に活用

HuaweiがKirin 9010Lを市場に投入、規格不適合品を有効に活用

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中国のHuaweiは2024年5月14日にHUAWEI nova 12 Ultra 星燿版を発表し、その製品がKirin 9010Lを搭載していることが確認できました。

 

名称 Kirin 9010 Kirin 9010L
CPU 1x TaiShan-Big

3x TaiShan-Mid

4x Cortex-A510 r1

(8MB L3 Cache)

1x TaiShan-Big

2x TaiShan-Mid

3x Cortex-A510 r1

動作周波数 2.30GHz

2.18GHz

1.55GHz

2.19GHz

2.18GHz

1.40GHz

GPU Maleoon 910 4CU Maleoon 910 3CU
動作周波数 750MHz 750MHz
NPU/DSP Da Vinci Architecture 3.0 (?)

1x Ascend Lite

1x Ascend Tiny

?
カメラ Kirin ISP 7.0 (?) Kirin ISP 7.0 (?)
リフレッシュレート ? ?
エンコード/デコード ? ?
RAM LPDDR5 (3200MHz)

(4MB System Level Cache)

LPDDR5 (3200MHz)
ストレージ UFS 3.1 UFS 3.1
Wi-Fi Wi-Fi 6E (11ax) Wi-Fi 6E (11ax)
Bluetooth Bluetooth 5.2 Bluetooth 5.2
位置情報 GPS, A-GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC GPS, A-GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC
通信 統合:: Balong 5G Modem 統合: Balong 5G Modem
充電規格 ? ?
製造プロセス SMIC 7nm N+2 SMIC 7nm N+2
型番 Hi36A0-GFCV121-CN ?

Kirin 9010Lの主な仕様は、製造プロセスがSMIC 7nm N+2、CPUは最大2.19GHzで動作するTaiShan-Bigと最大2.18GHzで動作するTaiShan-Midと最大1.40GHzで動作するCortex-A510 Refreshedを1+2+3構成で採用、GPUは最大750MHzで動作するMaleoon 910 3CU、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は少なくとも4G LTEに対応しています。

 

Kirin 9010LはKirin 9010からCPUとGPUが「欠けて」おり、Kirin 9010になりきれなかった規格不適合品を活用したものでしょう。SDGsにうるさい昨今、電子ゴミを増やさない素晴らしい行動だと思います。

 

まずはCPUに注目すると、超高性能なTaiShan-Bigが最大2.30GHzから最大2.19GHzに下がり、高効率なCortex-A510 Refreshedが最大1.50GHzから最大1.40GHzに下がっています。これによってKirin 9010Lは規格適合品となるKirin 9010よりも性能が低くなるのは間違いないです。

 

そして、コア数に注目すると、高性能なTaiShan-Midは3基から2基へ、高効率なCortex-A510 Refreshedが4基から3基に減っています。つまり、Kirin 9010LはKirin 9010と比べて動作する数値が下がり、コア数が欠けています。

 

自社開発CPUのTaiShanはSMT (同時マルチスレッディング)に対応しており、1コア・2スレッドとなっています。そのため、Kirin 9010は8コア・12スレッドでしたが、Kirin 9010Lはさまざまな要因によって欠けた結果6コア・9スレッドで、やはり欠けた製品となります。

 

GPUも実は欠けており、自社開発したMaleoon 910を共通して採用していますが、Kirin 9010は4CUなのに対してKirin 9010Lは3CUとなっています。これもSMICによる影響が要因だと考えています。これに関してはなぜかGPUは大手のメディアでも深く追求していないので同じだと思っている人が多くいますが、実際は違うと認識してほしいと思います。

 

NPUに関してはHuaweiがどうなっているのか明らかにしていないので不明です。過去の例では高性能なAscend Liteのみが動作しており、規格適合品から欠けているということもありました。

 

初搭載した製品は冒頭に記載した通り、HUAWEI nova 12 Ultra 星燿版です。こちらの製品は5月17日より中国市場のみで販売されています。

 

容量は12GB+512GBと12GB+1TBを用意し、価格はそれぞれ4799元 (約99,000円)と5599元 (約116,000円)に設定されています。

 

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