中国のHuaweiは2025年11月25日に新製品発表会を開催し、HUAWEI Mate 80シリーズとMate X7を発表しました。今回、これらの製品に新SoCのKirin 9030とKirin 9030 Proが採用されていることが判明したため、判明している情報をもとに簡単にまとめます。
| 名称 | Kirin 9030 Pro | Kirin 9030 | Kirin 9020 |
| CPU | 1x TaiShan-Big
4x TaiShan-Middle 4x TaiShan-Little (9 Cores / 14 Threads) |
1x TaiShan-Big
3x TaiShan-Middle 4x TaiShan-Little (8 Cores / 12 Threads) |
1x TaiShan-Big
3x TaiShan-Middle 4x TaiShan-Little (8 Cores / 12 Threads) |
| 識別子 | 72_3334
72_3399 72_3364 |
72_3334
72_3399 72_3364 |
72_3333
72_3398 72_3363 |
| リビジョン | r2p0
r2p0 r2p0 |
r2p0
r2p0 r2p0 |
r2p1
r2p1 r2p1 |
| 動作周波数 | 2.75GHz
2.27GHz 1.72GHz |
2.69GHz
2.27GHz 1.72GHz |
2.50GHz
2.15GHz 1.60GHz |
| GPU | Maleoon 935 6CU | Maleoon 935A 5CU | Maleoon 920 4CU |
| 動作周波数 | 933MHz | 933MHz | 840MHz |
| NPU/DSP | ? | ? | Da Vinci NPU
1x Ascend Lite 1x Ascend Tiny |
| カメラ | Kirin ISP 9.0 | Kirin ISP 9.0 | Kirin ISP 8.0 |
| リフレッシュレート | ? | ? | ? |
| エンコード/デコード | ? | ? | ? |
| RAM | ? | ? | LPDDR5X (4266MHz)
(System Level Cache: 8MB) |
| ストレージ | ? | ? | UFS 4.0 |
| Wi-Fi | Wi-Fi 7 (11be) | Wi-Fi 7 (11be) | Wi-Fi 7 (11be) |
| Bluetooth | Bluetooth 6.0 | Bluetooth 6.0 | Bluetooth 5.2 |
| 位置情報 | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC | GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS, NavIC |
| 通信 | 統合: Balong Modem | 統合: Balong Modem | 統合: Balong Modem |
| 充電規格 | HUAWEI SuperCharge (100W) | HUAWEI SuperCharge (100W) | HUAWEI SuperCharge (100W) |
| 製造プロセス | ? | ? | SMIC 7nm N+2 |
| 型番 | ? | ? | Hi36C0-V110 |
| 公式サイト | - | - | - |
Kirin 9030 Proの主な仕様は、製造プロセスが不明、CPUは最大2.75GHzで動作するTaiShan-Bigと最大2.27GHzで動作するTaiShan-Middleと最大1.72GHzで動作するTaiShan-Littleを1+4+4構成で採用、GPUは最大933MHzで動作するMaleoon 935 6CU、RAM規格と内蔵ストレージ規格は不明、モバイルデータ通信に対応します。
Kirin 9030の仕様は少し異なって、CPUについてはTaiShan-Bigが最大2.69GHzで動作し、TaiShan-Middleが1基減って1+3+4構成に、GPUはMaleoon 935Aに変更され、数も6CUから5CUに減っています。
CPUは識別子を見るとわかるとおり、すべて新しいものになっています。これはHuaweiがさらに新しいCPUを開発したことを意味しており、ありとあらゆる設備を利用できる状態ではありませんが、諦めることなく前を見て進化を続けていることがわかります。
CPUについて詳しく見ると、極めてめずらしい1+4+4構成を採用していますが、さまざまなデータを見ると実際には1+(2+2)+4で動作しているように見受けられます。もちろんこの状態でもめずらしいですが、より確かな情報を届けたい身としては看過できませんでした。ちなみに、Middleが減っているKirin 9030は1+(1+2)+4で動作しています。
そして、Huaweiが自社開発したTaiShan CPUは業界に先駆けて同時マルチスレッディング (SMT)に対応していることがわかっており、これを踏まえると実際の構成はKirin 9030 Proの場合は2+(4+4)+4の計14スレッドに、Kirin 9030は2+(2+4)+4の計12スレッドとなります。コア数とスレッド数を正しく理解するには、先程の1+(2+2)+4構成がここで必要になります。
GPUはCPUと同様に進化し、Maleoon 935を採用しています。これまでMaleoon GPUは4CUが最大でしたが、今回は50%増の6CUになりました。数を増やすことは性能向上においてとても大事で、長らく4CUを搭載してきましたがKirin 9030 Proでは壁を壊すことに成功しました。
実はKirin 9030 Proと9030のGPUは同じではなく、名称がMaleoon 935Aに変更され、数も6CUから5CUに削減されています。過去の例から「A」は劣っていることを意味しているので、Maleoon 935Aは1CUあたりの性能も低く、また、5CUに削減しているのでGPUの性能には差があります。
製造プロセスは不明です。事前情報では7nmプロセスのN+2ではなく、TSMCの6nmから5nmプロセス相当のN+3だとされていますが、これについてはTechInsightやKurnal氏の情報を待つしかありません。もしN+3で製造していた場合、間違いなく革命が起きていることになり、Huaweiの脅威は増すことになるでしょう。
Huaweiは、Kirin 9030 Proを搭載した製品はKirin 9020を搭載した製品と比較して総合的な性能が42%向上したと発表しました。しかし、この比較は搭載しているHarmonyOSが同一のものではないため、SoCそのものが42%も向上したと解釈しないように気をつけてください。
Kirin 9030でも同様にHarmonyOSが異なりますが、Kirin 9020を搭載したものと比較して35%の性能向上したと発表されています。しかし、前述の通りCPUとGPUが間違いなく進化しているので、どの程度が不明なものの性能向上しているのは確実です。
Kirin ISPはHuaweiの競合他社に負けない優位点で、Kirin 9030シリーズは1世代進みKirin ISP 9.0を採用しています。発表会では、リアルタイムデータ処理速度が100%向上し、ビデオ撮影関連のAI性能が向上していると発表されました。
HUAWEI Mate 80シリーズの中でKirin 9030を搭載しているのはRAM 12GB版のMate 80 Proのみで、価格は5999元 (約132,500円)からに設定されています。11月28日より中国で販売を開始します。
Kirin 9030 Proを搭載するのはRAM 16GB版のMate 80 Proと、その上位版のMate 80 Pro Max、よりデザインに力を入れているMate 80 RS、フォルダブルのMate X7とRAM 16GBのMate X7 典蔵版です。
「Kirin 9030 Proを入手したい」場合はRAM 16GB版のMate 80 Proがおすすめで、価格は6999元 (約15,4500円)からとなっています。高いと感じる人が多いと思いますが、比較対象として中国ではiPhone 17 Proが8999元 (約199,000円)からに設定されていることを考えると、それほど極端なものではないことは理解できると思います。








