HuaweiがIFA2019にて新プロセッサーとしてHuawei Kirin 990 5G、Huawei Kirin 990を発表しました。前者の“5G”を冠しているKirin 990は5G通信に対応し、“5G”のないKirin 990は4G通信に対応しています。製造はHiSiliconが行っていますが、SoCの名称にはHuaweiが付けられています。
名称 | Kirin 990 5G | Kirin 990 | Kirin 980 |
CPU | 2xA76 + 2xA76 + 4xA55 | 2xA76 + 2xA76 + 4xA55 | 2xA76 + 2xA76 + 4xA55 |
クロック数 | 2.86GHz + 2.36GHz + 1.95GHz | 2.86GHz + 2.09GHz + 1.86GHz | 2.6GHz + 1.92GHz + 1.8GHz |
GPU | Mali-G76 MP16 | Mali-G76 MP16 | Mali-G76 MP12 |
クロック数 | 700MHz | 600MHz | 720MHz |
NPU | 2 + 1
Da Vinci |
2 + 1
Da Vinci |
2
Cambricon |
RAM | LPDDR4x | LPDDR4x | LPDDR4X |
ストレージ | UFS 3.0
UFS 2.1 |
UFS 3.0
UFS 2.1 |
UFS 2.1 |
通信規格 | 2G/3G/4G/5G | 2G/3G/4G | 2G/3G/4G |
Modem | Balong 5G | ||
製造プロセス | 7nm+ EUV FinFET | 7nm FinFET | 7nm FinFET |
スペックはこのようになります。ARMは新マイクロプロセッサとしてARM Cortex-A77 CPUやARM Mali-G77 GPUを発表しており、昨年発表されたKirin 980がその時最新であったARM Cortex-A76 CPUやARM MAli-G76 GPUを先立って使用したことからKirin 990も全てが刷新されると思われていましたが、蓋を開けてみるとKirin 990 5GとKirin 990はKirin 980をマイナーチェンジしたモデルではないかという疑問が浮かべられるほど期待から大きく外れる仕上がりとなりました。
HuaweiのHuawei Consumer Business Group CEOの余承東(Richard Yu/リチャード・ユウ)氏は発表会にてA77を使用しなかった理由を答えており、A77がより高いピークパフォーマンスを発揮したとしても、7nm製造プロセス環境下においてはA77とA76の電力効率は実質的に同じであったようです。昨年7nm製造プロセスのKirin 980にA76を搭載したことでA76との長い経験によってコアのクロック数をさらに高くするほうが望ましいと判断。他の企業でA77を採用している製品はクロック数が2.2GHzと低く、7nm製造プロセス環境下でのA77採用はふさわしくなく、A77がハイパフォーマンスを発揮するには5nm製造プロセス環境で広く利用可能になると発表しています。
GPUが変更されていないことに関しての理由の名言はなかったですが、12コアから16コアへコア数を増やすことで高性能化を実現。
Kirin 990 5Gの大きな特徴は5G通信に対応している点で、SoCに5Gモデムを初統合した製品ではありませんが7nm+ EUV FinFET製造プロセス環境では初統合。5G NR方式のみの通信速度は下り最大2.3Gbpsで上り最大1.25Gbpsになります。EN-DCによる通信速度は公開されていません。
この他Huaweiが採用したことで大きくスマートフォン市場が進化したと言っても過言ではないNPUは更に強化。2つのBigコアと1つのTinyコアによって、前奏の効率が向上し省電力化に優れると発表。
Huawei Kirin 990 5GとHuawei Kirin 990はHUAWEI Mate 30シリーズに初搭載することを告知し、その発表会はドイツのミュンヘンで2019年9月19日に行います。更にKirin 990シリーズの発表後、Honor公式アカウントがHonor Vera 30にKirin 990シリーズを採用することを発表しています。