Googleは2022年10月6日に新製品発表会を開催し、Pixel 7とPixel 7 Proが搭載する「第2世代のGoogle Tensor」のGoogle Tensor G2を発表しました。
Google Tensor G2の「G2」はGen 2を意味していると考えており、この命名規則は来年の製品にも適用されると思うので、Pixel 8とPixel 8 Proが搭載するSoCの名称はGoogle Tensor G3となるでしょう。
名称 | Google Tensor G2 | Google Tensor |
CPU | 2x Cortex-X1
2x Cortex-A78 4x Cortex-A55 (4MB sL3) |
2x Cortex-X1
2x Cortex-A76 4x Cortex-A55 (4MB sL3) |
動作周波数 | 2.85GHz+2.35GHz+1.80GHz | 2.80GHz+2.25GHz+1.80GHz |
GPU | Mali-G710 MP7 | Mali-G78 MP20 |
動作周波数 | ? | 848MHz(Shaders)
996MHz(Tiler/L2) |
TPU | Next Gen edgeTPU | edgeTPU@1066MHz |
NPU/DSP | 搭載 | 搭載 |
カメラ | 1億800万画素(ZSL) | ? |
リフレッシュレート | 120Hz(QHD+)
90Hz(FHD+) |
120Hz(QHD+)
90Hz(FHD+) |
エンコード/デコード | 4K@30fps H.264, H.265, VP9, AV1 | 4K@30fps H.264, H.265, VP9, AV1 |
RAM | LPDDR5(3200MHz)
(8MB System Level Cache) |
LPDDR5(3200MHz)
(8MB System Level Cache) |
ストレージ | UFS 3.1 | UFS 3.1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E |
Bluetooth | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 5.2 |
位置情報 | GPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDou | GPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDou |
通信 | 外部: Exynos Modem 5300
Sub-6GHz/mmWave |
外部: Exynos Modem 5123
Sub-6GHz/mmWave |
充電規格 | ? | ? |
プロセス技術 | Samsung | Samsung 5nm 5LPE |
型番 | GS201/S5P9855 | GS101/S5P9845 |
GoogleはGoogle Tensor G2の詳細な仕様を発表しなかったため、海外の大手媒体で紹介されている仕様を引用して仕様表を作成しました。詳細な仕様を発表しなかった理由は、第1世代と第2世代の差(変更点)がそれほど大きくないことが要因だと思います。
現在判明しているGoogle Tensor G2の主な仕様は、Samsung Foundryで製造、CPUは2.85GHzのCortex-X1を2基、2.35GHzのCortex-A78を2基、1.80GHzのCortex-A55を4基の2+2+4構成、GPUはArmのMali-G710 MP7で動作周波数は不明です。
製造プロセスはSamsung Foundryでの製造は確実ですが、5nm LPEと記載している媒体や4nm 4LPEと記載している媒体があるので、現在は不明とします。現在の主流なSoCは4nmで製造されているので、5nmであればかなり遅れた製品となります。
CPUは2+2+4構成を引き続き採用し、Cortex-X1を2基採用しています。競合他社がCortex-X2を採用しているので性能は劣りますが、Googleは機械学習(ML)性能を追求しているので、Cortex-X1を2基採用するのは理にかなっていると思います。ただ、Cortex-X2の機械学習性能はCortex-X1から2倍に向上したとArmが発表しているので、CPUを基本とする機械学習性能に差は現れない可能性があります。
大きな更新点として真ん中に位置するCortex-A76からCortex-A78へ変更され、動作周波数が上昇しました。Cortex-A78はCortex-A76と比較して性能が向上し電力効率が改善されているので、バッテリーの持ちがよくなると思います。
GPUはMali-G710 MP7を採用し、従来製品がMali-G78 MP20でしたので、世代が向上し積載数が大きく減りました。性能は動作周波数によるところが大きいですが、Armは、Mali-G710はMali-G78から20%の性能向上に成功していると発表しているため、性能向上はあまり期待できないかもしれません。
ちなみに、Mali-G710は積載数によって名称が変化する製品で、MP1からMP6の場合はMali-G610、MP7からMP16の場合はMali-G710の名称を使用します。そのため、Google Tensor G2のMali-G710 MP7は最低積載数となります。
TPU(Tensor Processing Unit)は新たな世代のものを採用し、60%の性能向上と20%の電力効率の改善に成功したと発表しました。発表会の中で具体的な数値が出たのはTPUのみで、AIやMLの性能を追求するGoogleらしいと思いました。
Google Tensor G2はPixel 7とPixel 7 Proが初搭載し10月13日に販売を開始する予定です。価格はPixel 7の8+128GB版が82,500円、8+256GB版が97,900円、Pixel 7 Proの12+128GB版が124,300円、12+256GB版が139,700円に設定されています。
Google Tensor G2はPixel 7系列の他にPixel Tabletが搭載することが明らかになっており、販売時期は2023年とされています。この他、存在は明らかにされていませんがPixel 7aも搭載する可能性が高いです。