Dimensity 9200+のベンチマークスコアが判明

Dimensity 9200+のベンチマークスコアが判明

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iQOO Neo8 Proが初搭載したDimensity 9200+が発表・販売されたので、Dimensity 9000ファミリーに属する製品と性能を比較します。

 

名称を見るとDimensity 9200とDimensity 9000の間にDimensity 9100がありそうですが、残念ながら現時点では存在していません。何故その名称の製品がないのかはわかりません。

 

Dimensity 9200+の主なスペックは、製造プロセスはTSMC 4nm N4P、CPUは最大3.35GHzで動作するCortex-X3を1基、最大3.00GHzのCortex-A715を3基、最大2.00GHzのCortex-A510 Refreshedを4基の1+3+4構成、GPUは最大1150MHzのImmortalis-G715 MC11、RAM規格はLPDDR5X、内蔵ストレージ規格はUFS 4.0、5G通信はSub-6GHz帯とmmWave (ミリ波)をサポート、この他の通信としてWi-Fi 7 ready、Bluetooth 5.3をサポートします。

 

Dimensity 9200との違いは、CPUはCortex-X3とCortex-A715、Cortex-A510 Refreshedともにすべてのコアのクロック数が上昇していること、GPUはImmortalis-G715 MC11のクロック数が上昇していることで、まさに「+」を名乗るのにふさわしい製品になっています。

 

CPUはCortex-X3が0.30GHz、Cortex-A715が0.15GHz、Cortex-A510 Refreshedが0.20GHzも上昇し、MediaTekは通常版のDimensity 9200と比較して高性能側は10%、高効率側は10%の性能向上に成功したと発表しています。

 

GPUは、Immortalis-G715 MC11は共通ですが、最大981MHzから最大1150MHzに上昇しました。GPUは1000MHz (1.0GHz)を超えると発熱が心配され、高負荷な条件がそろうと過度な発熱と性能低下を招くことがありますが、Dimensity 9200+は大丈夫でしょうか。

 

Dimensity 9000シリーズとDimensity 9200シリーズは共通して製造プロセスがTSMCの4nmプロセスに基づいていますが、前者がN4、後者がN4Pなので厳密には異なっています。

 

 

AnTuTu Benchmark v10 OBにおけるDimensity 9200+の性能は、CPU性能は430,319点、GPU性能は633,526点、MEM性能は321,170点、UX性能は296,883点で、総合性能は1,681,898点となりました。

 

ROG Phone 6Dシリーズが搭載した特別版のDimensity 9000+の性能は調べても見つからなかったため今回の比較には加えていません。もし、この記事を読んでいる人で所有している場合は、Xモードを有効にして計測した性能を@reameizuに共有してくれるとうれしいです。

 

Dimensity 9200と比較すると、CPU性能は約6.5%、GPU性能は約10.9%の性能向上に成功しました。CPU性能よりもGPU性能のほうが伸びていることがうかがえます。

 

しかし、CPU性能は確かに成長していますが、スペックを見て期待するほどの成長は実現されませんでした。高性能側と高効率側ともに0.15GHz以上もクロック数が上昇しているのにこの程度の成長に収まってしまった理由として、Cortex-X3やCortex-A715の限界が見えたと考えられます。

 

そして、GPU性能は最大981MHzから最大1150MHzに上昇したことで約10.9%の成長に成功しましたが、GPUそのもののクロック数は17%も上昇しているので、残念ながら数値の上昇と性能の向上が一致していません。

 

 

Geekbench 6におけるDimensity 9200+の性能は、シングルコア性能は2,122点、マルチコア性能は5,699点となりました。Geekbench 6はAnTuTu Benchmarkとは異なり、2022年1月に発表されたPC向けのIntel Core i7-12700の2,500点が基準点として設定されています。

 

シングルコア性能は、Dimensity 9200から約9.1%の成長に成功しました。高性能側のCortex-X3の性能を計測しており、最大3.05GHzから最大3.35GHzに上昇したことで性能向上に成功しました。

 

マルチコア性能は、Dimensity 9200から約7.4%の成長に成功しました。高性能なCortex-X3だけでなく、Cortex-A715と高効率なCortex-A510 Refreshedが0.15GHz以上も上昇しているのにもかかわらず大きな成長はしませんでした。もしかすると、Cortex-A715の完成度がそれほど高いものではなく、それによって数値以上の成長が出来なかった可能性があります。

 

 

Dimensity 9200+は通常版のDimensity 9200と比較して確かにクロック数が上昇し、それにともなって性能も向上していますが残念ながら期待している性能は発揮されていません。

 

CPUはCortex-X3をはじめとするすべてのコアが0.15GHz以上も上昇していますが、目覚ましい成長を見せたのは0.30GHzも上昇したCortex-X3のみでした。実際に使用して違いを感じることはできますが、劇的な差を感じることはないでしょう。

 

GPUは最大981MHzから最大1150MHzに上昇しましたが、性能は約10.9%の成長にとどまっており、上昇したクロック数と上昇した性能が一致しません。また、Immortalis-G715は効率を度外視して高性能を発揮するように設計されているので、最大1150MHzに上昇したことでバッテリーの持ちにも影響を及ぼす可能性があります。

 

そのため、Dimensity 9200+であるからその製品を購入するというのは、間違いな選択だと思います。むしろ、性能を考えるのであれば安定性の高い通常版のDimensity 9200を搭載した製品を購入したほうがいいでしょう。