Dimensity 7200のベンチマークスコアが判明

Dimensity 7200のベンチマークスコアが判明

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vivo V27が初搭載したMediaTekのDimensity 7200のベンチマークスコアが判明したため、2023年度の主力製品として販売されているDimensity 9200、Dimensity 8200と比較します。

 

今回の比較で用いる「性能」はピーク性能を意味しており、安定して継続的に高い性能を発揮する安定性は考慮していません。個人的な意見ですが、安定性に関しては搭載したデバイスを購入し使用する以外にわからないと思うので、今回の比較では考慮していません。

 

そして、性能の比較に採用したベンチマークのひとつのAnTuTu Benchmarkは開発元がiOS搭載デバイスとAndroid搭載デバイスの数値を比較することが出来ないと声明を発表しているため、今回の比較で使用した数値をiPhoneやiPadと比較するのはやめてください。ただ、Geekbenchに関してはクロスプラットフォームでの比較を認めているので、こちらの数値は比較することが出来ます。

 

Dimensity 7200の主なスペックは、製造プロセスはTSMC 4nm N4P、CPUは最大2.80GHzで動作するCortex-A715を2基、最大2.00GHzで動作するCortex-A510 Refreshedを6基の2+6構成、GPUは最大1130MHzで動作するMali-G610 MC4、RAM規格はLPDDR5、内蔵ストレージ規格はUFS 3.1、モバイルデータ通信は5Gに対応しSub-6GHz帯をサポート、この他にWi-Fi 6EやBluetooth 5.3に対応します。

 

このSoCの大きな特徴はCortex-A715を高性能コアとして採用している点で、現時点でこのCPUを主たる高性能コアに採用しているのはDimensity 7200のみです。つまり、唯一無二の製品を生み出すことに成功しています。高効率コアのCortex-A510 RefreshedはSnapdragon 8 Gen 1が採用したCortex-A510と異なって、AArch32をサポートするようになっています。

 

GPUはMali-G610 MC4を採用し、クロック数は1130MHzに設定されています。1000MHzを超える数値は今の時代としては珍しいですが、MediaTekの製品として考えると特段珍しいものではなく、さまざまな製品が1000MHzを超えるクロック数を採用しています。

 

製造プロセスはTSMC 4nm N4Pを採用しており、プレミアムセグメント用SoCのDimensity 9200と同じ技術で製造されています。ちなみに、Snapdragon 8 Gen 2はTSMC 4nm N4で製造されているため、製造にかかわる技術だけを見るとDimensity 7200が上回っています。

 

Dimensity 7200のAnTuTu Benchmark v9における性能は、CPU性能が161,162点、GPU性能が199,445点、MEM性能が127,626点、UX性能は148,602点で、総合性能は636,835点となりました。vivo V27はLPDDR5 RAMとUFS 3.1 内蔵ストレージを組み合わせているので、この点数がDimensity 7200が発揮できる最高の性能となります。

 

Dimensity 9200の性能を100%として比較すると、CPU性能は約57%、GPU性能は約36%の性能を発揮しており、プレミアムSoCとミドルレンジSoCの差はGPUの性能が大きく関わっていることがわかりました。Dimensity 9200が2023年において最高級の性能を誇るSoCなのでそれと比較して下に位置するのは当然ですが、GPU性能の差はなかなかに開いていると感じます。

 

Dimensity 8200の性能を100%として比較すると、CPU性能は約77%、GPU性能は約60%の性能を発揮しており、名称のとおりに正しく下に位置しています。こちらもDimensity 9200と同じくCPU性能よりもGPU性能に差が大きく出ており、製品のセグメントを分けるのはCPU性能もそうですがGPU性能の差が重要視されているようです。

 

Geekbench 6での性能は、シングルコア性能が1,181点、マルチコア性能は2,641点となりました。このベンチマークには基準点があり、2022年1月に発表されたIntel Core i7-12700の性能が2,500点に設定されています。このCPUを基準として倍の計測時間であれば1,250点、半分の計測時間であれば5,000点となり、基準点が設定されていることで自分の製品のCPUがどの程度の性能なのかわかりやすくなっています。

 

Dimensity 9200の性能を100%とすると、シングルコア性能は約68%、マルチコア性能は約57%となり、3.05GHzで動作するCortex-X3に対して2.80GHzで動作するCortex-A715が善戦しているように感じます。マルチコア性能はCortex-A510 Refreshedが多く採用されているのでシングルコア性能よりも低い数値が算出されましたが、半分よりも高い性能を有しているのであれば問題ないような気がします。

 

Dimensity 8200の性能を100%とすると、前者の性能は約97%、後者の性能は約72%となり、シングルコア性能に関してはほぼ差がないことがわかりました。つまり、3.10GHzのCortex-A78と2.80GHzのCortex-A715は同等の性能で、ゲームや動画のエンコードなどをあまり利用しないのであれば、Dimensity 8200を搭載した製品ではなくDimensity 7200を搭載した製品を選んでも満足できると思います。

 

Dimensity 7200の性能は、Dimensity 9200とDimensity 8200と上手に差別化出来ており、名称の通りの性能を発揮しているので、自分の予算と相談して正しい製品を選べるようになっています。

 

ただ、注意点としてはゲームをしないのであればDimensity 8200よりもDimensity 7200を選んだほうが満足できる可能性が高く、今回の比較を見て適切にスマートフォンを購入して欲しいと思います。

 

今回の比較では言及していませんが、カメラの性能はDimensity 7200よりもDimensity 8200の方が優れるので、同じイメージセンサーを採用していた場合はDimensity 8200を搭載した製品が優れた写真や動画を撮影することが出来ます。そのため、より美しい写真や動画を自身のSNSに投稿したい場合はDimensity 8200を搭載した製品を購入しましょう。

 

日本市場でのDimensity 7200を搭載した製品の販売に関しては、現時点ではほぼ無いと見てもいいでしょう。現時点で日本市場へ参入していないvivo V27のみの採用に加えて、高性能なDimensityを搭載した製品を販売しても、企業にはおいしさはない市場だと考えているためです。